2007年6月27日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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和声学あれこれ(11)転調 その2 どこへ?(近親調について)

前回はいつ転調するのかを形式からそのポイントやタイミングをみてきましたが、今回は「どこへ?」転調したらいいのかを述べてみましょう。

結論からいえば、どこへでも、即ちあらゆる調へ転調してもかまいません。
しかし、通常(古典)は近親調と呼ばれる一群の調へ転調するのが抵抗や違和感なく、感覚的にも自然に受け入れられますので殆どがこの近親調に転調します。では何故自然なのでしょうか?それは上の図や叉、以前「和声学あれこれ」(6)で示しました五度圏表をみていただければお分かりかと思いますが、元の調(原調ともいい、転調前の調を云います)の5度上の属調、4度上(5度下)の下属調とそれらの並行調及び同主調(主音が同じ)と短3度関係の並行調の6種を云い、5度圏表では元の調の左右隣りの調になります。例えば元の調がハ長調の場合、5度上の属調はト長調、4度上の下属調はヘ長調、ト長調の並行調のホ短調、下属調ヘ長調の並行調である二短調、そしてハ長調の並行調のイ短調と同主調のハ短調になります。(同主調を調号が三つ違うため近親調に入れない説もあります。)向こう三軒両隣りとでもいいましょうか、近所付きあいで親しい間柄と云うわけです。このうち属調、下属調、並行調、同主調が最も自然に転調し易くその他の2調はワンクッション置いて入ったほうが無難です。これ以外の調を遠隔調といいます。近代以降意外性やロマン性を重視するため、とんでもなく遠方の調へ飛んだり、頻繁に転調して元々何調だったか判らなくなったりする曲が主流になってきましたが、やはり近親調へ転調するのが基本となりますので、覚えておきましょう。
次回はいよいよその方法「どうやって?」の予定です。
                            服部修司


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