2006年9月24日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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昨日は期待の女流ギタリスト宮下祥子さんにミューズサロンで演奏していただきました。彼女との出会いは4~5年前に福田進一さんの企画で静岡で行われた国際ギター講習会とその演奏会でした。その時は受講生による演奏とゲスト(鈴木大介、村治佳織、大萩康司)によるのコンサートもあったのですが、宮下さんはオスカー・ギリアにより最優秀生として選出されました。その時の印象は他の一流の演奏家に混じっても遜色ないものでした。

そして今回は彼女のソロコンサートとして札幌からやってきてくださいました。
私は改めて彼女の人気ぶりに驚きました。先ずはサロンが満席になったことから見ても彼女の人気振りが覗えますが、驚いた事に福岡からもコンサートを聴きに見えた方がいらした事です。その方は先日の大阪のコンサートにも行かれたそうです。そして浜松からもお二人、三重の津市からもと結構遠方から彼女を聴きに来て頂きました。

彼女はとても端正な演奏をします。決して派手にダイナミックな演奏をするのではなく、音楽に正面から四つに組んだ、正統派で美しい演奏です。
楽器は2003年のアルカンヘル・フェルナンデスで、彼女の特注で同厚を少し薄く、ネックも少し細めにしたものを使用されました。現高が少し高めですがローテンションの弦を張り、弾き易い楽器でした。芯のあるしっかりとした音ですが、固くもなく気持ちよく鳴ってくれる楽器です。

プログラムは:
1.社交界の小品作品33-1 (F.ソル)
2.アラビア風奇想曲  (F.タレガ)
3.ヘネラリーフェのほとり  (J.ロドリーゴ)
4.さくらの主題による変奏曲 (横尾幸弘)
5.祈祷と踊り(J.ロドリーゴ)
6.ソナタ (L.ブローウェル)
    1楽章 ファンダンゴとボレロ
    2楽章 スクリャービンのサラバンド
    3楽章 パスキーニのトッカータ
7.トゥリアエラ (R.ディアンス) 
    1楽章 ライトモチーフ ~ ブラジルの武満
    2楽章 ブラックホルン ~ スペインがジャズと出会う時
    3楽章 クラウンダウン ~ サーカスのジスモンチ

先日ブログにも彼女自身のメッセージをご紹介した通り、聴き所としてはフェルナンド・ソルの「社交界の小品」、レオ・ブローウェルの「ソナタ」、彼女が今年5月に日本初演したと言うローラン・ディアンスの「トリアエラ」。この曲は私も初めて聴きましたが楽しい曲です。6弦を超低音の「ラ(5弦より一オクターブ低い)」に下げで全楽章演奏されるんですが、美しくメランコリックなメロディーの1楽章、ジャズ、ブルースのフレーズ有りの2楽章、タッピングやボディーを叩く特殊奏法満載の3楽章とディアンスらしい面白い作品でした。ただ、普通の6弦をラに下げているので音量が物足りなさを感じました。理想的にはギターを2本用意しておいてこの曲用にはバスギター用の弦を張るといいのではと思いましたね。

アンコールの2曲目にはタンゴ・アン・スカイを披露してくれましたが、これも有りがちなオーバーな演奏ではなく、しなやかな美しい演奏でした。大きな会場の場合はもう少しメリハリを利かした派手目の演奏が聴き栄えするとは思いますが、意図してかどうかは別にしてミューズサロンで聴くには全プログラムを通して彼女らしくまた会場の大きさにあった演奏だったと思います。これで中部にも宮下ファンが出来た事と思います。
終演後の打上げでも皆さんから『また来て下さいね!』と熱いラブコールが飛んでいました。


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