2006年9月5日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> ギターの後でヴァイオリン弾くのはだーれ?

 まずこの写真のレコード、よーく見て下さい。中央でギターを弾いているのは主人公のミヒャエル・エルニさん。1956年、スイス生まれのギタリストです。
演奏しているのは、ご存知マウロ・ジュリアーニ作曲、ギター協奏曲イ長調 作品30とヴィヴァルディの良く演奏されるニ長調とイ長調の2曲。
まあギタリストのエルニさん(こう発音するのかどうかも判然としないのでちょっと心配)が、日本ではちょっとマイナーということもあって、あまりレコードやCDが手に入りません。他にもLPかCDが1枚か2枚あったような気がして探してみたんですが、今は見付かりませんでした。

私はこのジュリアーニのコンチェルトが大好きで、他にも沢山あるのですが、今日聴き返してみても、このエルニさんの演奏するLPは、持っている中では最右翼のうちの1枚なのです。ギターも弦楽もちょっと素人っぽいところがあって、なかなか新鮮で気に入ってます。勿論テクニックは充分余裕をもって弾かれているのでご安心を。

じゃあそのほかにはどんな演奏があるのか、興味がある方にご紹介しましょう。
まずジュリアン・ブリームがメロス・アンサンブルと共演、マルコム・アーノルドが指揮したという結構古い演奏。これはもう名演でした。次にはご存知ジョン・ウィリアムス。彼はこの曲は2回録音しておりまして、1回目は今から36・7年前、イギリス室内管弦楽団と共演、そして2回目の録音は1回目の録音から30年近く経った1998年。オーストラリア室内管弦楽団と共演したもの。楽器も19世紀ギター(ガエターノ・グァダニーニ)に持ち替えての演奏。内容もまったく1回目と異なり、私にするとちょっとやり過ぎの感があってあまり好きになれませんが、それでも1回目があまりにも何もやらなさ過ぎだったような気がするので±ゼロといったところ。

そのほかではアンヘル・ロメロが1983年、イギリス室内管弦楽団と共演。このレコードには他に同じジュリアーニのコンチェルトの第3番、作品70も入れております。この演奏はフルートなど管楽器も入ってなかなか珍しい。
アンヘルときては兄貴のペペを紹介しないわけにはいかないでしょうから、ご存知ネヴィル・マリナー指揮によるアカデミー室内管弦楽団との共演も見逃せません。彼はそのほかにジュリアーニの手になるコンチェルトは全て同じアカデミー室内管弦楽団と録音済み。但し私はこのネヴィル・マリナーと言う人がどうにもこうにも好きになれないので、ペペさんにはもう一回、誰か他の人とジュリアーニのコンチェルトを録音し直して欲しいと、節に願っております。このあたりがメジャーといえばメジャーな演奏家によるジュリアーニのコンチェルトの録音です。おっともう一人、日本の山下和仁さんがおりました。山下さんが1984年。来日したヤナーチェク室内管弦楽団と共演したレコード(LP)がありました。さすがチェコの楽団だけあって弦楽が飛びっきり上等。

そのほかをざっと挙げると1950年生まれ、プラハ出身のウラジミール・ミクルカ。共演はオストラヴァ・ヤナーチェク室内管弦楽団とあるので、前述の山下さんと共演した楽団と同じかも知れないが、違うかもしれない。とにかく弦楽はやはり飛びっきり上手くて誠実な演奏だが、ギターがなんとも頼りない。明らかにテクニック不足がうかがわれて、もたつきがあり、溌剌としたところがないのが残念。
エドァルド・フェルナンデスも1986年、イギリス室内管弦楽団のバックでジュリアーニの作品30を演奏しているが、この頃のフェルナンデスは、上手いけども、面白味というか、深みというか、そういったいわゆる芸術性に乏しい感じがする。ただなんとなくよく指の廻る演奏という感じかな。

そのほかというと、既に亡くなったドイツのジークフリート・ベーレントがイタリアのイ・ムジチ合奏団とやった作品30番。これがなかなか良い。録音は1969年だからもう既に37年も前のことになる。この演奏は例のごとくベーレントの弾き飛ばしが見られますが、イ・ムジチも上手いし、私は何だか嫌いになれず、今でもLPをかけて聴くことがある。
アリリオ・ディアスがフリューベック・デ・ブルゴスの指揮するスペイン国立管弦楽団とやったジュリアーニの30番もなかなかの好演でした。ティンパニーが入ったりして結構楽しめる。

それと最近手に入れたものでは、クラウディオ・マッカーリというギタリストが2002年に入れたもの。楽器は1812年製のカルロ・グァダニーニとあるが、これも極めつけの名演。パオロ・パグリーゼというもう一人のギタリストと交互に演奏して、ジュリアーニのコンチェルトを全て入れており、演奏の内容に対し廉価版ということもあって、ぜひ聴いてみて欲しい演奏のひとつだ。(今だったらミューズで買えます)
もうひとつだけ、めちゃくちゃ上手いのが、エドアルド・カテマリオが2002年、19世紀ギターで弾いた同じくジュリアーニの30番と36番。これはもうこの曲の最最右翼と言っても良いのではないかと思える演奏で、皆さんもぜひこのCDは聴いてみてください。「ARTS」というレーベルの輸入盤で手に入ります。

まだまだマイナーなギタリスト(日本だけかもしれないが)となるといくらでも出てきますが、今回のテーマはジュリアーニのコンチェルトのことではありません。なんと、最初に紹介したミヒャエル・エルニさんのLPのジャケット写真をよーくご覧下さい。エルニさんのバック向かって一番右、ヴァイオリンを弾いているお方。拡大してさらに鮮明度を上げてみると・・・。なななんと、あの有名なピアニストのスタニスラフ・ブーニンさんじゃあありませんか!・・・と思わせるくらいのそっくりさんではないですか!
いや、これはやっぱりブーニンさんだわ、と言う人が出てきてもおかしくないくらい似てるでしょ?髪形といい、お髭といい、大きなメガネといいブーニンさんそのもの。
このお方がブーニンさんではないと言い切れる人がいたら、ぜひお申し出ください。
と今回はあっけない幕切れで失礼。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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