2006年7月18日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 福田進一ギターリサイタルin神戸

7月15日、神戸文化ホールにおいて、福田進一ギターリサイタルが催され、ご本人のご希望により、富士通テンのスピーカーを使ったPA(SR)システムを持参、行ってきました。
うかがったところ、海外からの帰国後、休むまもなく京都、滋賀、神戸、そして名古屋と連日の公演とのこと。
 それでも今回そういった疲れも見せず約2時間、最近ますます磨きのかかったビルトゥオジティを発揮し、会場を埋めた800人ほどの観客を大いに沸かせました。
 ちなみに、今回楽器は最近福田さんがよく使用している桜井ではなく以前から使っていたブーシェ。

プログラムは前半1曲目がソルの「魔笛の主題による変奏」。次にバッハの「シャコンヌ」、ターレガの「カプリチオ・アラベ」、「アルハンブラの想い出」と続き、最後はアルベニスの「アストゥリアス」。ギターを弾く誰もが憧れ、挑戦するポピュラー名曲が続きましたが、それらに対し福田さんは天性の非凡さを発揮。誰もが弾く定番曲を、あたかも新しい音楽を聴くような錯覚さえ起こさせる新鮮味に溢れた演奏を繰り広げました。
このような演奏を聴かされると、ギターを目指す者であれば、再度自分も挑戦してみようという気持ちになるでしょうし、一般のあまりギターになじみの無い観客に対しては、ギターの魅力を広く知ってもらい、ひいてはギターファンの増加に大いに寄与するチャンスとなるであろうことは容易に想像できます。そういった意味でも、長年にわたって絶えずポピュラー名曲を取り上げ、それらに新鮮な息吹を吹き込み続けるギタリスト福田進一さんの存在は、すべてのギターファンにとってとても大きなものであるし、さらに、すべての音楽ファンにとってもかけがえのない存在といっても言い過ぎではないでしょう。

コンサートの後半は、まず最近ブローウェルから献呈をされたという「ハープと影」から開始。大曲ではありますが内容、テクニック共にとても興味深く聴けて、今後現代の定番曲になっていくのではなかろうかと思われます。
次に武満徹がその死の直前に書き上げたというミュアー・ウッヅ~「森の中で」が演奏されましたが、何故か荘厳さすら感じさせました。
後は「前奏曲第3番」、「第1番」、「ワルツ・ショーロ」、「スコティッシュ・ショーロ」と、ヴィラ=ロボスの名曲4曲が続きますが、やはり福田さんは他とは違うきらめきを見せます。CDで聴く世界のどんなギタリストの演奏よりも、今回の福田さんの演奏の方が「本物」のように聴こえます。
プログラムの最後はピアソラの「ブエノスアイレスの夏」。これも今ではいろんな楽器や編成で聴かれますが、福田さんのギター1本で充分とさえ思えるようなシャープでエスプリの利いた名演。

アンコールではポンセの「エストレリータ」、ファリャの「粉屋の踊り」、「禁じられた遊びのテーマ」と3曲が演奏されたが、いずれも福田さんならではの歌心溢れる演奏で、当日の観客も大満足でした。
35℃を超える猛暑の中(開演はお昼の2時)、駆けつけた大勢の音楽ファンを、しばしギターの魅力に酔わせるには充分過ぎるほどの内容のリサイタルでした。
尚、富士通テンのスピーカーを含むPA(SR)システムについては、コンサートの途中でも福田さんが会場のお客様に丁寧に紹介してくれましたが、会場で聴く限り、音質的にまったくスピーカーの存在は意識されず、しかし音量としては充分確保できており、ご本人も、「やはりこれくらいのホールだと絶対にこれが要るよね。今日は本当に弾き易かった!」と感謝されることしきり。
聴いている方も、皆さん大満足の素敵なコンサートになりました。(内生蔵)


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