2005年10月13日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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メキシコシティーから700km程離れたミチョアカン州にギター村「パラーチョ」があります。この村は私がメキシコに居た頃は人口3000人程の小さな村で、村中がギターの生産に携わっていました。恐らく7~8割の村人がギター作りに関係していたと思われます。兎に角村の中では子供たちも半完成品のギターを担いで運んでいました。そしてギターを売っているお店がずらり並んでいます。ただし、写真からも想像できると思いますが、日本のギターショップを思い浮かべてはいけませんよ。

村人に「この村で一番良いギターを作る人は誰ですか?」と訊くと、「3年間連続で金賞を取っている人が居るよ」と言われました。「えっ!金賞?」私は最初何の話か分かりませんでした。よく聞くとこの村で毎年ギター製作コンクールがあるんだそうです。びっくりしましたね。こんな小さな村でギター製作コンクールとは。

以前ブログでもユートピアのお話をした時に、スペイン人が原住民「インディオ」は人間か先天性奴隷かを議論して、インディオにも教育すれば人間的集団生活が送れるんだと言う事を証明するための実験村を作ったと言いましたね。その時に農業や文字や集団生活の仕方も教えましたが、ギター作りも教えたんですね。それが16世紀です。そしてフォルクローレなどの融合文化が生まれ、ギター作りもレベルアップしていったんですね。そして今では小さな田舎村がギター作りのメッカになり毎年コンクールが実施されるまで文化として発展したんですね。

私は早速その3年連続金賞受賞者の工房を訪ねました。写真も残っていますが残念ながら名前を忘れてしまいました。私は彼のギターを試奏させてもらいました。なかなか素晴らしいギターでした。値段は3000ペソ(1ペソ=20円)位だったと記憶しています。彼は私の演奏を聴いて「欲しければ売ってもいい」と言ってくれましたが、残念ながらその時はそれだけの現金を持っていませんでした。当然クレジットカードは効きませんし、当時のメキシコにはキャッシュカードも存在しませんでしたから購入は諦めました。代わりに村のお店で安いギターを1本買ってきました。ロゼッタのデザインが思いっきりメキシコしているギターでした。

先日福田進一さんにお会いしたときにこのパラーチョ村の話になりました。彼も数年前に行っているんですね。今ではこの村でギターの演奏コンクールも行われていて審査員として招かれたそうです。そしてその村のコンクールで金賞を取った一番いいギターを買ってきたそうです。福田さんは「なかなかいいギターですよ」と誉めていました。ひょっとしたら同じ製作家かな?いや、そんな事はあり得ないかな等と思いながら聞いていました。今その製作家のギターが東京のある専門店にあります。皆さんもいつか出会うかも知れませんね。

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