消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

非番研修

2010-05-20 23:22:26 | 消防・救急
昨日は2件の出場、ですが病院に搬送したのは1件だけ。1件は不搬送で帰ってきました。

1時間近く現場におり、結局不搬送。病院側の態度に半分『?』もあり、怒りもあり…と釈然としない事案でした。


さて今日は研修に行ってきました。

大学病院で定期的に行われる救急セミナーに出席。特異な事案の症例発表と、救命センターの先生の講義。

午後から夕方までみっちりと勉強してきました。


救急隊が扱った事案で、なかなか遭遇することのないような事案が3つほど。そのうちの1つは、先日の記事に書いたAEDに関することも。

救急隊が到着するまでに、その場所に設置されていたAEDを有効活用して現在は何の後遺症も無く社会復帰をされたと言う症例発表がありました。


私達が救命講習の講師として各事業所などに出向く際、いきなり実技に入ると言うことは無く、まずはちょっとしたお話から入ります。

その中で『救命の連鎖』と言うお話をさせて頂くのですが、その救命の連鎖の始まりはあなたたちなんですよ、と言う話をします。


救命の連鎖と言うのは、

1.早い通報(119番通報)

2.早い応急手当(救急車が来る前に、心肺蘇生法やAEDなどの手当)

3.早い救急処置(救命士、救急隊員が行う処置)

4.早い医療処置(医療機関での専門的な処置)

のこと。

これらが上手く、途切れることなく繋がって、初めて救命できるチャンスがあると言うことになります。

そしてその始まりは119番から。救命の連鎖は、その時その場にいた人から始まるのです。


救命の連鎖の3番と4番は必ず繋がっているものですが、1番の早い通報、その後の2番、早い応急手当が飛んでしまって3番の救急隊員が行う処置になってしまうことがあります。

119番して救急車は呼んだけど、心肺蘇生法も何もやらないで救急車が来るのを待ってたよ。これでは助かる確率はグッと減ってしまうのです。


先日の記事の中で少し触れた『心室細動』。

心臓が細かく震えてしまい放っておけば確実に死に至るものですが、心室細動になったばかりの時に除細動をかければ元に戻る可能性も大です。

心肺停止からおおよそ5分以内に心肺蘇生法(または除細動)を行えば、息を吹き返す可能性も高くなります。反対に、5分を過ぎてしまうと確率はグッと下がり、たとえ一命は取り留めたとしても何かしらの障害を残すことになる確率が高くなります。

その救命の連鎖の中の早い119番通報と早い応急手当、何度も言ってしまいますがこれらを行うのは私達救急隊でも、病院にいるドクターやスタッフではありません。

その時その場にいた、あなたから始まるのです。


救急車が現場に着くまでの時間が、全国平均で7分弱。あくまでも平均ですので、10分以上もかかると言うこともあればものの1~2分で到着と言うこともあるでしょう。

平均値の7分ほどで来るとしたら、応急手当を行わない限り完全な社会復帰はとても難しくなってしまいます。

今回の参加させて頂いた研修の中で発表された症例は、この救命の連鎖の繋がりが上手くいった症例でした。


実際にあったことを話すことによって、決して教科書の中だけの理論ではないんだと言うことを理解してもらえば良いなと思っています。

私が出場した事案においても似たような事案はありましたが、ここまで無駄なくスムーズに流れてはいませんでした。

今度の日曜日に救命講習がありますので、早速使わせてもらおうかなと思っています

他の2症例も、とても興味深いものでとても勉強になりました。



明日はお休みです。