yahooの井上社長が、Googleなんてグレーゾーンを渡るばかりで評価に値しない、と言う趣旨の発言をされていて、グレーゾーンばかりの中国ビジネスに従事する物としては、内心むかついたのですが、私だけではなかったんですね。
以下引用抜粋
・滝井秀典さんのブログ『滝井秀典 キーワードマーケティング・ブログ』からご寄稿いただきました。
ヤフーの井上社長の記事が、日経ビジネスオンラインに掲載されていました。
「グーグル?すごいとは思わないね?」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20091222/211839/
この記事の中で注目すべきポイントは、「グーグルのすごいは、いずれもグレーゾーンでは(法務的に)」と井上社長が苦言を呈しているところ。
検索連動広告は米ヤフーの真似だし、ストリートビューはすごいけど一種の「のぞき」。ブックサーチは著作権無視のコピーだ。YouTubeだって、違法の動画がトラフィックの多くを占めている」
このへんのところですね。
さて、これからの日本は間違いなく訴訟社会になり、法務知識がビジネスマンにとっては、とても重要になるので、このポイントを私なりに解説しておきます。
・大半の人は、法的にやってはいけないこと、やってよいことは所与と考えるが、実は違う。何をもって”法律違反かを判断するのは、「最終的に訴訟で争って、裁判官が判断を下した瞬間」なのです。
・Googleは過去商標権の訴訟があり買ったこともある。Google アドワーズは、今ではYahoo参加の『GoTo.com』に訴訟されたが270億円払って解決した。現在のGoogleの収入2兆円の90&を締める事業となっている。
・そもそもYahooやGoogleのような検索エンジン会社は、基本的に著作権侵害をしているメディアだ、とも言える可能性があるが、日本では合法になるし、引用するメディアに実損を与えていないと言う事で、問題になっていないが、ヨーロッパでは検索エンジンの収集行為は、著作権侵害、という判例も出ているようです。
まとめるとこういうことです。
1)法律違反かどうかは、事前にきまっていることではなく、訴訟になって司法が判断してはじめて決まる(ほとんどがグレーだと言ってもよいくらい)。
2)合法とされてきたことが、ある日突然、違法とされることもある。
3)違法と判断されたとしても和解金を支払って、問題を解決することもできる。さらにビジネスとしての仕入れにすることもできる。
4)明らかに法律違反のことであっても、迷惑がかからなければ、訴訟にすらならないことも多い。むしろ歓迎されることもある(それで法律が改正されることもある)。
これで『Google』が、いくら著作権侵害が大問題、といわれても『YouTube』を推し進め、プライバシー侵害、といわれても『Googleストリートビュー』を推し進めるか、が少しわかるのではないでしょうか。
要するに、
『Google』という会社は、「法律という壁にチャレンジする」会社、なわけです。ビジネスは、競争優位がすべて、といっても過言ではありません。他人がやらないこと、他人が手を付けないこと、他人がやりたくても手を付けられないこと、をあえてやるから、価値が出るわけです。
法的リスクを果敢に取り入れて対処ができる『Google』と、最初から法的リスクを避ける日本の『ヤフー』では、その将来性の差は歴然かもしれません。
日本は法治国家というより、情緒国家なので、「法的トラブルのリスクを取ってビジネスをする」という風土が、なかなか根付かない。日本の裁判所は、論理だけではなく、社会的情緒を優先することも多く、あまりにも不確実性が高くて、ビジネスとして手を出しにくい。
また、日本では法律は「守るもの」と考える人が多く、アメリカでは法律は「つくるもの」と考える人が多い、ということも関係しているかもしれません(訴訟にチャレンジして勝てば、判例によって法律が新たに作られる可能性が出てくる、ということです)。
良くも悪くも、これからの時代、日本は訴訟社会になっていきます。というか、もうなっています。法的なリスクにチャレンジし、適切に対処できる会社と、そうでない会社には、これからのネットビジネスでは、大きな違いが出てくると思います。『Google』の例をあげるまでもなく、法的なハードルの向こう側には、莫大(ばくだい)なチャンスがあるからです。これは大企業だけの話ではなく、これからの中小企業の重要なテーマでしょうね。
http://news.livedoor.com/article/detail/4537066/
GoogleとYahoo Japanの比較として書かれていますが、アメリカ企業、中国企業と日本企業の対比として大きく捉えられる話かと思います。別に今自分がやっている事業のグレーゾーン部分を勧めているわけではありません。日本国内で事業をする場合は、グレーゾンーんを歩む事は大きなリスクを抱える事になり、滝井さんの文章に書かれていた消費者金融業界などはその典型でしょう。
でも、一旦お国を出て海外の国で戦う時は、相手の国にあわせてやり方を変えないといけないと強く信じています。
時に「日本人としてのこだわり、日本企業としてのこだわり」こういう言葉を上海でも聴きます。このグレーな中国でも、日本人として正々堂々とわが道を行くと言う物です。その意気やよし。
但し、彼らのビジネスは日本企業、日本市場向けの商売です。多分1銭も中国人や中国企業からは稼いでいない。嫌、稼ぐには膨大な投資資金と時間が要る。一部の大企業のみのできる事ではないだろうか。中国現地化が必要と言う言葉の中には、単に中国人を経営者として置く事ではない。中国人のニーズに合わせた商品開発、マーケティング、その中にはグレーゾーンを完全に避ける事は恐らくできない。そして、その分野は日本人ではハンドルできない、もしくは大半の日本人は過去の自分の経験を通して関わろうとしない(下手したらやばいですからね)。
中国ビジネスにはリスクが山ほどある。如何にそのリスクをマネジメントしていくかが勝つために必要だろうと思います。容易ではないですけど。Googleは当然もっと大きな視点で物を見ていますが、一般的な日本企業のビジネス論として、Yahoo Japan以外の企業にも、滝井さんのコメントは参考にすべきだろうと思います。
元々色々な企業のCFOをしていた関係で、コンプライアンスの重要性は理解していますが、過剰なコンプライアンスは自分の首を絞めてしまう。そして、サラリーマンの場合、一般にミスを犯すと昇進できないために、コンプライアンスを掲げてリスクを避ける傾向が強くなる。またその方がサラリーマンとしては楽ですし。
難しいですね、本当に。海外現地法人では国を問わず、現場で実行するには本社に黙って実行するとかの腹が無いと無理なんですよね。正直、日本企業サラリーマンを長く勤めた身としては、問題起きて首になったら転職すれば良いと思える自信が無ければできないですよ。大企業の場合、最初に入った会社でのんびり昇進するほうが遥かに楽で、社会的地位も、待遇も良いですからね。偉そうに語る私自身も、ずっと最初の会社にいて家族がいたら、ぶつぶつカラオケで憂さを晴らしながらリスクを避ける路を歩んでいたかもしれません。
多くの上海駐在組みの行動に不満を覚えている反面、悩みも理解できるんですよね。日本企業の中国事業は、現地法人というより、日本本社の経営陣、海外、中国事業担当側の意識を変えないとしんどいんですよね。