日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

ロレアル化粧品の創業者支援

2010-01-20 | 欧米企業の中国戦略
 ロレアル化粧品が、ベンチャー融資をするという記事です。

 何でもロレアルは「学生の雇用及び創業支援基金」を設立したそうです。なんでも全国70大学からの200の応募者のうち、27のアイデアに対し語形13百万円を投資するそうです。昨年11月に上海の複旦大学でコンペ上位3チームが発表されたそうです。

 そのうちの一つは、張さんという、アリババの馬会長を最も尊敬すると言う24歳の上海交通大学の大学院生が率いる4名のチームが受賞したそうです。受賞したアイデアは、淘宝に類似する「ケータリング産業向けのサイト構築」だそうです。彼らは投資資金10万元を元に半年前に事業を開始し、毎日10万円の売上を上げているそうです。事業としては中小レストラン向けに食事のオーダー受注プラットホームを提供するもので、そのサイトを www.ele.me 通してオーダーすると5-7%の割引を受けられると言う物だそうです。上海交通大学の学生と、ミンハン地区のホワイトカラー層を対象に無料でこのサービスを提供しているとの事。

 ロレアルは資金供与だけでなく、マーケティングや人事、経営、法的側面のアドバイスもロレアル上海のマネージャークラスが無料で行っており、それが事業の準備段階で非常に助かったと張さんは語っている。

 ロレアルファンドの今年のスコープは、Eビジネス、ハイテク製品、環境保護、チャリティ関連で、受賞者は1万元から10万元を受け取れるそうです。

 ロレアルチャイナのガスパリーニCEOは、中国の学生にお金を出すだけでなく、どうやってお金を使うかを教える方がより有効と考えている。最後の10万元の賞を競う2チームのプレゼンテーションを見て、中国の学生のクリエイティビティと情熱に驚かされた、と語っている。

 2008-2009年に行われた、精華大学とCCTVによる中国企業に関する報告書によれば、学生企業化が失敗する大きな要因は、資金不足と競争力の欠如とされており、わずか2%しか成功していない。http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2009-12/28/content_9235687.htm

 中国の創業事情なんて、正直どうでも良いんです。日本よりは思い切って独立する人は遥かに多いです。一般従業員と経営者の所得格差が恐ろしく大きい。日本以上の学歴社会、コネ社会。日本ほど事業に失敗した人を嫌う傾向が強いとは思えない、身近に独立して少なくとも現在はサラリーマン以上の給与を得ている人が多い、等等の背景を考えれば、その辺は理解できます。

 一方で、独創性のあるビジネスは少ない。もしくは社会も経済も急成長の途上にいるためにそこまで必要とされていない。少し成功すると、それを見た人が簡単に参入してくる。競合との差別化をできる分野って、最終的にはブランディングかR&D
と言う事になるでしょうが、その辺はまだまだじゃないでしょうか。

 まぁ、でもロレアルという会社のブランディングと言う意味で、こういう制度は面白いですね。日本のVCも中国には入ってきていますけど、メーカーでこういう制度を取り入れている会社はあるのでしょうか?

 ロレアルスタイルが全て是かどうかはおいといて、販売チャネルの構築とか、自社のプロモーションに関連するファンド作りって面白くないですかね?ロレアルも資金は僅か年間13百万円。どちらかというと、どの程度か実態は知りませんがこういう企業化候補を指導する時間(人件費)の方がコストはかかっているのじゃないでしょうか。少なくとも13百万円でこういう報道がでて、著名な大学の学生数千名に企業認知をさせると言う事は長期的にはメリットがあるような気がします。

 欧米系企業って、中国では本当に面白い事をしています。

 この差はマーケティング力の差?

 それとも事業推進に対する本気度の差?
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消費の二極化進む中国市場の明暗

2010-01-20 | 日本・日系企業
ダイヤモンド誌より。 

 イトーヨーカ堂は、早朝セールなどの販促で売り場の活性化に取り組んでいるものの、北京に9店舗あるイトーヨーカ堂全店の売上高は2009年度の累計では数%の前年割れとなる見込みだ。「消費者が価格に敏感になっている」。

 一方、上海梅龍鎮伊勢丹では、資生堂や仏ロレアルなどの輸入高級ブランドが人気だ。2009年8月に設置された最新型の高級感あふれる資生堂のカウンターでは、300元(約4000円)~3000元(約4万円)もする商品が飛ぶように売れている。1カ月の売り上げは1000万円を軽く超える。

 2009年第3四半期の中国の経済成長率は8.9%となり、通年の政府目標である8%の達成はほぼ確実となった。消費総額も対前年比でプラス15%前後の水準を維持しているが、先述したように地域や商品によって消費はまだら模様となっている。

 背景には消費の二極化の進展がある。イトーヨーカ堂の顧客調査によると、「安い物を増やしてほしい」という声とともに「ブランド品をもっと増やしてほしい」という声が多くなっているという。食料品や日用品は品質が良くて安い物を求める一方、嗜好品は高くてもいいものがほしい、と考える消費者が増えているのだ。

 世界最大の消費市場として脚光を浴びている中国だが、13億人の市場は決して均一ではない。消費性向も刻々と変化している。この多様性と変化のスピードに適応できなければ、いかに市場が巨大であっても、パイにありつくことはできないだろう。
http://diamond.jp/series/inside/10_01_22_001/

 うーん。やっぱりそうだったんですね。

 僕らがタオバオで日本のベビー用品の販売を開始したのは、2008年8月のメラミン事件の直前で、本格的に事業にしようとして今のサイトを立ち上げたのが208年9月22日。ちょうどメラミン事件直後だったんですが、まだ大きく実態が騒がれていない時でした。

 このメラミン事件のおかげで、僕らの立上は非常にうまく行ったというのが正直な所なんですが、粉ミルクやオムツに関するニーズは依然として強い物の、ベビーフードに関しては昨年の7月をピークに売上が減少しています。

 理由としては、我々事態の取った戦略に失敗があった(値上げ、一方で賞味期限が短いというクレーム)のが最大の理由ですが、最近調べてみるとタオバオの上で販売されている日本のベビーフード自体の数量が大幅に減っている事が見えてきました。一方で、アメリカのべビーフードが伸びています。

 何故か?相対的にアメリカ商品お方が安いんです。タオバオで販売されている粉ミルクやオムツは、実は薄利で販売されており、カルフールなどでみかける中国市場向け外国製品と比べても価格は同じか割安なんです。一方ベビーフード関連は、店頭販売されている中国市場向け製品の3倍とかしてしまう(タオバオでも。これが正規輸入品の和光堂のお菓子になれば5-10倍)。ゆえに、一旦中国市場向け食品の危機が落ち着いてしまったら、日本のものは割高になってニーズが下落してしまった。というのが実態のようです。

 ベビーフードを一例として取り上げていますが、実は色々な商品で日本商品には課題があります。「日本商品が人気があるんだ」なんてマスコミの記事屋、そういうデータの紹介を未だに見ますが。タオバオで見る限り、「韓国製品の方が日本製品より人気が高い物が多い」。ファッション関係なんか特にそうですね。色彩感覚と価格の問題です。

 後、日本はデフレっていってますけど、本当に今でも個々の商品の価格は高いです。多分国際的に見て電気や車は安いんですよね。そして質も世界一。でもね、日用品や生活用品関係は、何でこんなに高いの?っておもう事が多いです。そして、そういう商品分野って、国際競争力のある企業は極めて限定されていますよね。メイドインチャイナの製品は、全く同じ物が包装が日本語だと、韓国語の包装の物に比べて3倍。韓国製品は日本では韓国の3-5倍の価格。一方中国では韓国と同じ価格。あくまでも、身近で見た商品に関してですので個人的意見ですが。家電や自動車に比べると、まだまだ企業や流通構造に無駄の多い業界じゃないかと思います。

 おそらく、日本の複雑な流通構造や、店頭にかかる様々なコスト高からそうなってしまうのでしょう。ここは実は一つのチャンスかなと思っています。でも日本のユーザーは中国からネットじゃ物買わないかな。リスクは高いし、色々な法的問題もありますしね。

 そうか。でもブランド品に対するニーズは強いんですね。国際ブランド品に対するニーズが以前より高まっている事はお客さんを見てわかっていましたけど、リアルの場でもそうなんですね。ふっふっふ。。。
コメント (9)
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