さすらうキャベツの見聞記

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『塩一トンの読書』  壱

2011-03-20 21:12:24 | ひとこと*古今東西
(写真:世界最大の塩湖の、ボリビアのウユニ塩湖Salar de Uyuni)


          


 「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、

  一トンの塩をいっしょに舐(な)めなければだめなのよ」



       ***********


 ミラノで結婚してまもないころ、これといった深い考えもなく夫と知人の

うわさをしていた私にむかって、姑(しゅうとめ)がいきなりこんなことを

いった。

 とっさに喩(たと)えの意味がわからなくてきょとんとしていた私に、

姑は、自分も若いころ姑から聞いたのだといって、こう説明してくれた。


       ***********

 一トンの塩をいっしょに舐めるっていうのはね、

うれしいことや、かなしいことを、いろいろといっしょに経験する

という意味なのよ。塩なんてたくさん使うものではないから、一トンというのは

たいへんな量でしょう。

 それを舐めつくすには、長い長い時間がかかる。

 まあいってみれば、

気が遠くなるほど長くつきあっても、人間はなかなか理解しつくせないものだって、

そんなことをいうのではないかしら。



             (須賀敦子『塩一トンの読書』から抜粋)




※改行は、読みやすいようにキャベツの独断と偏見で行っています。


<後の記事>
『塩一トンの読書』 弐

              
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