それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

誕生日のこと

2012-02-12 03:37:32 | イギリス生活事件簿
今月のはじめに僕の誕生日だったことは、ほぼ誰にも言っていなかった。

とにかく、あらゆる祝祭日を平日のように過ごすことによって精神の平穏を徹底的保ち、それによって研究のペースを可能な限り保つのが僕のやり方だ。

ただ、たまたまラケル(スペイン)に誕生日のことを話したら覚えていて、それで彼女から他のフラットメイトにその話が広まった。

それでも今月の1週目、2週目は女性たちの一時帰国、さらにエースのレポート提出もあり、とにかく何もないまま慌ただしく研究の日々が続いた。

ただ、僕としてはこれまでフラットメイトにはピザを作ってもらったり、ケーキを作ってもらったり、お昼ご飯を作ってもらったり、カクテルを作ってもらったりしていたので、何か日本的なご飯でお返しをしたいと思っていた。

だから、みんなが揃っていて、かつ時間のあるときにお寿司を作ることを公言していた。

アレックス(ギリシャ)もバレ(イタリア)も寿司を食べたことが無いと何度か言っていたので、丁度良いと思った。



一年目にも寿司は作った。そのことはこのブログの最初の方の日記で書いたように思う。

そのときは、思案の挙句に押し寿司にした。結果、悪くはなかったのだが、正直不満だった。

そこで今回は押し寿司ではなく、ちらし寿司にすること、そして出来る限り刺身に近いものを使うこと、しかしイギリスで簡単に手に入るものしか使わないこと、野菜などを使って自分なりに面白いものにすること、またベジタリアン用に野菜の寿司を実験することを目標にした。



アレックスにスーパーに買い物に連れて行ってもらい、対面販売(デリ)のところで魚を見ると、安い値段で色の良いマグロの切り身が売っていたので即決。

さらにスモークサーモンや野菜などを買い込む。

今回、ベジタリアン用に「アボカド、パプリカ、マッシュルーム、キュウリ、プチトマト」を選択。

それと僕の勝手なこだわりなのだが、普通のスーパーでは日本米は売っていないので、その代りにリゾット用のお米を選択。

ちなみに米酢は普通に売っているので、酢飯は一応簡単に作れる(合わせ酢に使う砂糖はブラウンシュガーがおススメ)。



1、ベジタリアンのための寿司

まず前日の下ごしらえから。

アボカド、キュウリ、プチトマトを小さめに切り、オリーブオイル、バルサミコ、醤油、塩でマリネする。

当日。

パプリカとマッシュルームをひと口大に切り、オリーブオイルで(割としっかり)焼き、塩、コショウ、醤油で味付けする。

そして、全ての寿司に共通の卵焼きを作り(豆乳、砂糖、塩などを混ぜる)、切り分ける。

これら3種類の具を寿司飯に乗せれば完成。

ラケルの場合、チーズが食べられないので、もうこれしか思いつかなかった(それに厚揚げなどはスーパーには売っていなかった)。

色々な制約のなかではあったが、僕個人としてはかなり美味しく出来たと思うのだが。




2、イギリス的ちらし寿司

前日にやることはほとんどない。マグロの切り身を米酢と醤油で漬けにするのみ。

当日。

サーモンを一口大に切り、モッツァレラチーズも合わせて小さく切る。

それらを合わせて、醤油、バルサミコ、オリーブオイル、バジルで味をつける。モッツァレラと醤油の相性は抜群。

熱したフライパンで千切りのネギを炒め取り出したあと、漬けにしておいたマグロを軽く表面だけソテーし切り分ける。

魚の具、卵焼きとともに、ベジタリアン用の具を少し乗せて完成。





ここまで書いたように、実際、やることはそれほど複雑でもないので一時間ほどで完成。

ラケルは僕の大好きな彼女の得意料理スペイン風オムレツを作ってくれた。




フラットメイトに、イギリスでの僕の最大の理解者Tさんを加えて食卓を囲む。

このフラットメイトたちと生活するようになって、人と食事する時間を沢山持てるようになった。

スペインもイタリアもギリシャも家族での食事の時間を大切にすると言っているが、実際、イギリスに来ても彼らはそれを実行している。僕はその恩恵にあずかっている。

ちなみに今回のお寿司は、自分個人としては納得の出来。フラットメイトは大そう気に入ってくれた様子だったのだが、まさかマズイというわけはない。こうなると信頼できるジャッジは日本人のTさんのみなのだが、Tさんの評価はとても良かった。

これ以上は無理。これ以上のものにするには、今のところ、最近知った本気のお魚屋さん、本気の日本食材屋さんを利用するしか思いつかない。



全部食べ終わって食後のコーヒーやらカクテルやらが出たとき、突然電気が消えた。

そして、まさかのハッピーバースデイの歌とともにケーキが!!



それはバレお得意の手作り感満載の素朴なケーキだったのだけれど、上にはローソクまで乗っていてそれを消すというまさか小学生の低学年以来やったことのないことをやるという衝撃。

日本に帰っていたとき、自分の彼女にももっと何かしてあげられたら良かったのにという悔悟の念とともに、

あまりにも孤独な研究生活の反動によって僕は思わず軽く涙してしまい、場のテンションはマックスになったのでありました。

そしてフラットメイトともに色々写真を撮って、そのあと、街に繰り出しパーティを渡り歩くという展開に。

そして帰ってきたのがおそるべき午前3時なのでありました。

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