それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

ダークナイトも観る

2010-12-14 00:08:07 | コラム的な何か
ダークナイトを観た。

最初から最後の展開まで、あまりの衝撃に一同(ボブ、クリス、僕)声を失う。

傑作だが、嬉々として人に薦めたくはない。僕にとってはカタルシスが非常に少なかったからだ。

感動と言うより、衝撃とその思考の深さに脱帽。

ヒーローというものが驚くほど正確に分析されている。

法の支配から逸脱したところにある暴力こそがヒーローの本質、という示唆。

指摘はさらに深く、その暴力を担う人間の動機(トラウマ)の異常さを示唆。ヒーローをテロリストと対照することで、ヒーローを演ずることそのものが「疾患」であると観客に気づかせる。

同時に、その示唆は「正義」の不安定性にも及ぶ。社会的正義や、各々個人が想像する正義の不可避的矛盾。登場人物によって「正義」は何度も反転し、ことごとく相対化されていく。

困ったことに、この映画は読めば読むほど深く読める・・・。きりがない。

その「きりのなさ」こそ、この映画が傑作である所以と感じた。

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