前回記事「武器」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12002408026.html
PP(政治警察)の地下牢からビンカたちを助け出したアミは、
ビンカとペドゥリートを円盤に乗せて、
今まで見てきたどこよりも進んだ文明があるという
エクシスの世界へと連れて行きます。
ペドゥリート「ここは生命のいない、
乾いた惑星なんだね…」
アミ「うん、表面には石ころしかない。
でも内部には…」
ペドゥリート「この世界の文明は
地下の中にあるなんて言わないだろうね…」
アミ「まさしくそうなんだ。
この惑星の人たちみたいな、
高い進化水準に達した人類は皆、
文明基盤を地下に移しているんだ」
アミは、エクシスの乾いた地表に向けて、
円盤を急降下させた。
「サリャ・サリムと同じ様に、
ここにも秘密の入口があるんだ。
そこから地中に入ろう」
円盤は"非物質化"され、
入口を隠す暗い岩の中をくぐり抜けた。
ペドゥリート「うわー!凄い!」
湖、緑やオレンジ色の草原、
色ガラスで出来たビル群、
オフィルでも目にしなかったような未来建築物
…巨大な球形だったり、
色んな形をした建物の数々が、
なんと、"空中に浮かんでいる"!
キレイに舗装された広々としたテラスの上には、
思い思いにスポーツを楽しむ人々。
美しい競技場や沢山の宇宙船も見えてきた。
そして大小様々な木々や花々で彩られた庭園は、
空から見た方が楽しめるような、
美しいデザインでつくられていた。
ビンカ「こんなキレイなの、
わたし、生まれて初めて見たわ!」
ここでもサリャ・サリムと同じで、
"空"は本物の空にしか見えなかった。
ただ、違っていたのは、
その"空"が水色ではなく、
明るいピンクのような色をしていた事だ。
でも、何と言っても驚きだったのは、
いくら巨大な洞穴の中に都市がつくられているとはいえ、
一体どこまで続いているのやら、
その洞穴の終わりが見えなかった事。
ペドゥリート「これは超文明だよ!」
アミ「そうだよ。じゃ、これからみんなで、
惑星間の美人コンテストを見に行こう」
色とりどりの服を身にまとい、
大きな赤い頭をした巨大な人間たち。
ペドゥリートには彼らの顔が、
どう見ても人間のものとは思えなかった。
その他にも色んなタイプの異星人がいたけれど、
誰もが仮装パーティの様な出で立ちで、
そしてとっても楽しそうだった。
みんなかなり個性的な頭をしていて、
果たしてそれが、飾り帽子なのか、
はたまた突飛なヘアスタイルなのか、
ペドゥリートには区別がつかなかった。
顔や体つきも、何とも不思議な感じだ。
ペドゥリート「それにしても、宇宙には、
こんなに色々な種類の人間がいたなんて!」
ステージでは、がっちりと背が高く、
おまけにかなり太った、
灰色の顔に大きな口をした司会者が、
これから登場する出場者を紹介していた。
まるで歩くレタスとでも呼べそうな人が現れ、
自己紹介をして、朗らかに挨拶し、
精神を集中させ、そして退場していった。
ペドゥリート「アミ、これ一体何なの?」
アミ「美人コンテストの様なものだよ。
でも、きみたちの惑星の美人コンテストとは
二つの点で大きく違っているけどね。
まず第一に、ここでは誰も他人と競争してない。
勝ち負けはないんだよ。
ただ一人が精一杯観客を楽しませようとする。
彼らにとっては、観客の喜びがただ一つの賞なんだよ。
次に、美人コンテストとは言っても、
ここで披露しているのは出場者の
外見の美しさじゃないんだ。
外側の形のバリエーションは物凄く沢山あるから、
我々にとって"この人は最も美しい"とか、
"この人はあの人より醜い"とか言うのは、
あまり意味がない。
実際、我々は人の外見にそれほど注意を払わない。
ある場所では"美しい"ものが、
一度場所が変わると、
途端に"醜い"ものに成り下がる。
美意識なんていうのは、
時代によって簡単に移り変わる気まぐれなものだし、
相対的な(他に比べるものがあって初めて成り立つ)ものだからね。
だから我々は、ダイレクトに内面を問題にするんだよ。
本当の美しさというのは、
内面にあるものだからね。
出場者たちは、今まさに、
それを見せているんだよ、
彼らの内面の美をね」
続く…
過去記事「美人コンテスト」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12002517350.html
クラトが地球でペドゥリートのおばあちゃんと
暮らしていく事を決めたので、
ゴロおじさんとクローカおばさんは、
クラトの住んでいた山小屋で
PP(政治警察)から身を隠して暮らす事にしました。
そこでの自然に触れたことで、
実は自然の中に住むのが夢だった事を思い出すゴロ。
感動したゴロは、幸せの涙をこぼし、
テリからスワマへと変身するのです。
こうして、物凄いスピードで進化したゴロは、
なんと!
ビンカが地球に行く事を許可してくれたのです!
そして、円盤に戻ったアミとペドゥリートとビンカ。
アミがとても重要なところへ案内すると言い
連れて来てくれたところは…
…地球だった。
円盤はゆっくりと下降を始め、
ヒマラヤ山脈の上空を進んでいった。
そして突然、切り立った岩山のひとつに向かって
凄まじいスピードで近づいていった。
岩の中をくぐり抜けた後、
大きな都市が目の前にあらわれた。
サリャ・サリムやエクシスの時みたいな
超モダンなものとは違い、
小さな半円形の家々ばかりの白い都市の風景で、
その他には、巨大な球形の白い建物だけが、
都市の中心部に堂々と美しい姿を見せていて、
儀式か何か、そんな感じの事を行なう所のような印象を受けた。
それ以外には、大きな建物は全くなかった。
その光り輝く球形の建物は、
地球で言うなら赤道にあたる部分を、
4本のウデ…(やや曲がった支柱)で支えられ、
お尻の部分を地面につけているかっこうだ。
沿道に木々や草花が植えられた4本の通りが、
四方からその建物に向かって伸び、
それぞれの支柱の前で終わっていた。
たくさんの円盤とたくさんの人々が
行き来しているのが見えたけど、
全体が大きな調和と平安に包まれているように思えた。
アミ「この基地はシャンバラって言うんだよ」
ペドゥリート「シャンバラ!
ぼく、その名前、どこかで聞いたことあるよ」
アミ「そうかもしれない。
シャンバラは、アガディールとかアガルティと同じように
古い言い伝えの中に語られているしね。
エル・ドラードやシャングリ・ラなんかは、
さほど知られていないけど」
アミ「これからあの球形の建物の近くに着陸しよう。
あれは研究所なんだよ」
ペドゥリート「研究所?
ぼくは競技場かと思っていたよ…」
アミ「いや、そうじゃないよ。
むしろ寺院とでも呼んだ方が良いかもしれない。
だって、あそこでやっているのは、
寺院の中で行なわれている仕事と
良く似たところがあるんだ。
つまり、最も高い水準の、
精神的で霊的なエネルギーを発生させているんだよ」
アミ「じゃ、下に降りる準備をしてね。
会って欲しい友だちがいるんだ」
ペドゥリートは、この都市には
神秘的な雰囲気が漂っているのを
ハッキリと感じた。
アミ「ここのエネルギーが
ちょっと違っているのによく気がついたね。
そう、より高くて繊細なんだ。
なぜならここが、地球の重要な
霊的中心地のひとつだからだし、
きみが自分の内的な感覚に
注意を払っていたからでもあるんだよ」
ビンカ「それ、どういう事なの?
この都市はサリャ・サリムとは違うの?」
アミ「未開世界には、
目的ごとに違った基地があるんだよ。
例えば、サリャ・サリムは
キアの社会と政治の進歩に関して監督しているけれど、
それとは別に、生物の進化に関して監督していたり、
文化や科学技術の発展を助けたりしている基地もある。
地球人類の精神の進歩を監督する仕事は、
ここシャンバラが中心になっているんだよ」
寺院は、ダイヤモンドかガラスのような物で出来た
巨大な板石の真ん中の上に建っていた。
円盤は、宇宙船専用につくられたパーキングではなく、
そのキラキラと輝く大きな宝石の上にとまった。
アミ「ここは水晶でできた、
この惑星最大のプラットホームなんだよ。
とても繊細な働きをする水晶で、
脳の振動を集中させたり、
増幅させたり出来るんだよ。
ここにいる人たちもやっぱり、
地球人類が精神や脳で高い振動を生み出せるように、
色々と仕事をしているんだ。
そういったエネルギーは、ここから
地球のあらゆる所へと送られているんだよ」
続く…
前回記事「シャンバラ」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12005639918.html
建物を支えている4本の"ウデ"の側面には、
細いフチのようなものが付いていて、
よく見るとそれは、右側は上りの、
左側は下りのオートマチックな階段だった。
そして、球体の赤道部分にある建物の入り口まで続いていた。
そのひとつを上り始めた。
でも、階段の幅は1メートルもなかったし、
それに手すりも付いていなかった。
上に行くにつれ、その高さに圧倒されて、
めまいを起こしそうなくらい緊張したので、
ペドゥリートは出来るだけ壁に張り付くような姿勢をとった。
前にいたビンカがペドゥリートを振り返ると、
肝をつぶしたような顔で、
今にも膝をついてしゃがみ込みそうだった。
ペドゥリートはビンカを後ろから抱えて支えてあげた。
アミ「ビンカ、下を見ちゃダメだ。
大丈夫だよ。落ち着いて、
内面の均衡を保つようにしてごらん」
ペドゥリートは、あの階段はとても危険だと思った。
手すりを付けないなんて全く愚かだとしか思えなかった。
アミ「この中では、精神的な、
霊的なエネルギーを高揚させる仕事をしている。
そのエネルギーの質は、
我々の体と精神状態で決まるんだ。
ここまで上ってくるのに、
心や体のコンディションが充分でないのが分かれば、
中に入ったところで仕方がない。
だって、高い霊的エネルギーを放射することが出来ないからね」
「ここで働いている人たちは、
地球人類に対して大きな責任を負っている。
だから仕事をするときには、
自分の心や体のコンディションを
ベストの状態にしておかなければならない。
この階段はそのためのものなんだ。
この階段を上れば、
自分で自分のコンディションを"測定できる"んだよ。
もし上っていく途中で気分が悪くなったりしたら、
その日は一旦上りきったあと、
中に入らずにそのまま帰って、
新たにベストコンディションの日を待てばいい。
頭と体の状態が良ければ、
健やかな精神状態は保証されている。
我々の体っていうのは、
我々の魂の状態を三次元化したものなんだからね」
階段を上りきって、研究所…寺院の中に入ると、
灌木と草花のあるテラス、
らせん階段なんかがあったけれど、
取り分け目を引いたのが、
たくさんのイスが設置された広いスペースだった。
イスから見下ろすスペースの中央部分には、
水晶の板石が敷かれていて、
その板石の上には、
ライトアップされた美しい祭壇があり、
オベリスク(方形で上に行くにつれ細くなっていき、
先端はピラミッド形をした柱のこと)の形をした
2メートルほどの高さの石が、7つも立っていた。
オベリスクのような石は、
ひとつひとつ違った色をしていて、
宝石のようにまばゆく光り、とてもキレイだ。
そのうちの一つ、紫色をした石のまわりを、
白い服に頭巾をかぶった一団が、
円を描くようにして囲んでいた。
その紫色の宝石は、
三角形のダイヤモンドのように輝いた
ガラスの台の上に乗っていた。
アミ「あれは、純粋なダイヤモンドだよ。
あの頭巾の人たちは、霊的振動をより良く伝えるために、
ダイヤモンドから巨大な水晶の板石を通して、
地球人類の魂に向けてエネルギーを発しているんだよ」
頭巾をかぶっていない人も、大勢いた。
大部分の人は、赤銅色の肌をした人種の人たちで、
背が高くて、2メートル前後はあった。
頭は大きく、体は細っそりしているのに、
筋肉や骨格がしっかりと発達している。
男の人たちの体毛は薄く、
女の人たちの体は、
地球の女の人みたいな曲線的な体つきではなくて、
もっとずっと痩せていた。
顔には1本のシワもなかった。
まるで整形手術かなんかで、
後ろから皮膚をギューっと引っ張ったみたいだ。
とても大きな、そして穏やかな瞳をしていて、
その色が様々…黒、茶、灰色、緑、青、
その中間の微妙な色合い…なのは、
地球人と同じだった。
わずかにカールのかかった金髪や栗毛を
男女共にとても短くしている。
そして皆んな、襟なしの
ゆったりとした服を身につけていた。
見渡したところ、地球人はどこにもいなかった。
アミ「ここにはたくさんの地球人がいるよ…」
続く…
過去記事「ダイヤモンド」の続きになります。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12006527383.html
地球の内部に存在するシャンバラで、
祈りの様子を見て感動するペドゥリートとビンカ。
アミは、1人の男の人を2人に紹介します。
男は親愛の情のこもった眼差しで二人を見つめ、
サリャ・サリムの偽テリたちと同じように、
右腕を肩の高さに水平に伸ばし、
ペドゥリートたちに手のひらを向ける仕草で挨拶をした。
「シャンバラへようこそ。
私の名前は、シルクです。
そして私が、この研究所で行なわれている
色々な活動をコーディネートしています。
どうぞ、座って下さい」
ペドゥリートは、シルクを見ているうちに、
前の旅で会った、地球"救済計画"の総司令官を思い出した。
でも彼に比べると、シルクは外見上は地球人に近かった。
アミ「でも、司令官と同じ惑星の人種だよ」
ペドゥリート「ああ、どうりで
すぐに彼のことを思い出した訳だ」
シルク「彼は、私たちの民族の中でも、
その魂が最も多くの光に包まれているひとりなんだ。
何か質問はあるかね?」
ビンカ「あなたはどの惑星から来たのですか?」
シルク「私は宇宙人ではなく、地球人です」
ペドゥリート・ビンカ「エエーッ!?」
アミ「1回目の旅は、君たちにとって
第一段階"A"にあたっていた。
"宇宙生命"というテーマにおいてね。
2回目の旅は"B"であり、今回は"C"なんだよ。
君たちの書いた本を読んだ人達にとっても、
それは同じなんだよ。
このテーマに関して、
だんだんグレードアップしてきているんだ。
いいかい、これからシルクが言うことを、心して聞いてよ」
シルク「ここは私の世界なんだ。
私はここで生まれた、
何代もの私の先祖たちと同じ様に。
そして君たちが既に目にした私に似たあの者たちも、
みんな地球人なんだよ…」
ペドゥリートの心の声
「エッ!あの人達が地球人だって!?
だってあんなに進化してるのに!?
…しかもぼくたちの地球に、
何代にも渡って生き続けてきてるなんて!」
シルク「でも、ここに来ている兄弟たち全員が、
ここで生まれた訳ではない。
ここには一時的に滞在している者もいる。
彼らは、私たちが大昔にあとにした、
遠い世界から来ているんだ…」
シルクはひとつの例を出して話し始めた。
「君たちのような世界に住んでいる人たちの中で、
砂漠とか人を寄せ付けない寂しい所へ、
自分たちの家族を引き連れて移り住んで行く人たちがいる。
彼らはまず、その地に水を引き、
穀物の種をまき、動物を飼育し、
子どもを増やして行く。
そして、労力と時間をかけて、
住めるような場所を作り上げていく。
もっと後になってから、
その近くに別の家族が住み始める。
だんだん人が増えてきて、
村が出来、町が、そして都市が出来る。
以前には全く何もなかったところに、
たくさんの人が住める都市を作り上げた。
彼らは開拓者たちだよ。
そうして、国家が出来上がってくるにつれ、
政府は、たいてい
人の全く住んでいない地区の開拓を進めるために、
資金を出して開拓者を援助したりするものだ。
国は大きくなればなるほど、
もっともっと大きくなろうとするものだからね。
これは人生に、人間の心に内在している傾向だよ。
より大きく、より広がるように、
より多く手に入るように、より完璧に、
より住みやすくなるように。
それから自分たちの子孫にとってはもちろんのこと、
それ以外の人々にとっても益々
住みやすくなるような可能性を残してあげるために。
宇宙世界の宇宙親交は、
最も高い階級水準の意識に従って、
全ては神聖なる計画のもとに、
数百年もの昔から、
たくさんの惑星惑星(ほしぼし)に
生命の種をまいてきたんだよ」
ペドゥリートの心の声
「これまでアミは、宇宙親交が
銀河系に生命を誕生させる任務を負っているなんてこと、
一度も口にしたことがなかったから、
生命はひとりでに生まれてくるものだと思っていた…」
シルクは続けた。
「宇宙親交は、様々な種の
知的な人類から成り立っている文明なんだよ。
その中には、ずっと古い昔から
我々と同化している種もあれば、
同化してまだ歴史の浅い種もある。
全ての文明が、
進化したと認められるための条件を満たして、
一定の基準まで達した時には、
我々のメンバーとして迎えられるんだよ」
続く…
前回記事「地球人」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12010664440.html
宇宙親交の仲間入りをするには、
国や国境をなくし、すべての国家や民族が
ひとつにまとまる段階に達しなければならない。
つまり、その惑星全体が、
世界政府によってまとめられた
ひとつの国に変わらなければならない。
惑星の独裁政府というのも
ひとつの世界政府と言えるけれど、
宇宙親交の望んでいる世界政府とはまるで別物で、
本当の世界政府は、宇宙の基本法…
つまり、普遍的な愛…にぴったりと
適合していなければならない。
それがもし実現できれば、
もう不正も苦悩もなくなるから、
その時初めて、その文明は
宇宙親交のメンバーとして受け入れられる。
シルク「そうして受け入れられた文明は、
宇宙親交の援助を受けながら進歩、発展していき、
ある水準に達した時には、
任務を与えられるようになる。
今度は自分たちが、
まだ知的生命のいない世界の生命を改良し、
援助していくんだよ」
シルク「任務にあたって銀河当局は、
そこで働く種にふさわしい重力を持つ、
若い惑星を割り当てる。
彼らは基地をつくり、
それから数千年、数万年もそこに住むことになるんだ。
君たちは、我々と違った時間の観念を持っている。
数百年前、私の民族はこの世界にやってきた。
最初に軌道に乗った基地をつくり、
そして地底都市をつくった。
そしてここに移り住み、
そこからはっきりとした目的のもとに、
生態系を改良する仕事に取りかかったんだ。
もう既に生存していた種に変化を与えたり、
新しい種を我々の遺伝子研究所で創造したり、
別の世界から連れてきた種を
地球の環境に適応させるようにしたり、
それから気候や海に関わるものにも手を入れたりした。
我々の民族はもともと宇宙から来たけれども、
私をはじめ、ここにいる大部分の人たちは、
この惑星に何世代にも渡って
長く住み続けている家系に属している。
だから、自ら切り開き、耕し、
暮らしている農場を農民が愛するように、
この地球をとても愛しているんだよ。
何より、この美しい世界は、
我々の先祖やその子孫、
つまり我々自身が住んでいるところだ。
だから、我々は、自分たちを
地球人であると心から思っているんだ。
我々の方が、君たちよりもずっと長く、
この地球に住んでいるんだからね」
シルクは話を続けた。
「現代の人類は、交配によって創り出されたんだよ。
我々の研究所で、地球のサルの遺伝子と、
よその惑星からやってきた我々の遺伝子とをかけ合わせて」
ペドゥリートは、全身ゾッとした。
「彼らがぼくたちを創り出したんだ!
…自分たちの遺伝子を使って!」
シルク「そして新しく誕生した人類が
ちゃんと生き延びていけるように、
ウマだとかラクダだとかゾウだとか、
ニワトリやイヌといった、
あとあと人類の役に立つような動物たちを
創ったり改良したり、
米や麦やトウモロコシや、
色々な果物を創ったりしたんだよ」
ビンカとペドゥリートは呆然とした。
キア星でも、事情は大体同じだった。
シルク「現在の人間は、天と地の子であるんだよ。
だから、時には人間以下のようになり、
時には超人間的になる。
動物的な本性と星の本性とが共存しているんだ」
シルクは、今までの話を要約しようとした。
「地球の人間を創造した目的は、
新しい種の人間を創り、後に、
その人間が親交に入れる水準まで進化した時に、
それに協力出来るようにしてもらうためだ。
君たちが考えるように、
"宇宙大戦争"に協力してもらうためではなく、
数え切れない文明化のための仕事や
銀河系生命の改良に協力してもらうためなんだよ。
一度同化してしまえば、宇宙親交から
科学的、技術的、精神的な援助が受けられる。
そうするともう、苦悩や不安や死を
永遠に過去のものとする事が出来るんだよ」
続く…
「アミ 小さな宇宙人」シリーズと題して、
3冊分を私の主観でまとめて書いてきましたが、
いよいよ今回が最終回です。
過去記事「種の起源」の続きになります。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12011553492.html
ペドゥリートがシャンバラの住人
シルクから聞いた話を要約します。
シルクは、ぼくたち一人ひとりには、
ぼくたちの種の進化のために割り当てられた責任があり、
その為に、一人ひとりが
自分の劣った部分を乗り越えることが
どうしても必要になってくると言っていた。
それはあくまで個人的な仕事で、
個人が内的成長を遂げるために努力することによってのみ、
人類全体が進化していけるのだという事を、
特に強調していた。
そして彼は、ぼくたちに、
自分が人類の進歩に奉仕していると信じ込んでいる
少なからぬ人たちのように、
"黙示録の預言者"や"死の使者"にならないようにと、
特に注意強調していた。
実際、彼らがやっていることは、
不安や恐怖や絶望の種を蒔くことであり、
人々の恐怖心を無意味にあおる
"メッセージ"を広めることであり、
それは人類の頭脳の質をさらに低下させるだけのものだから、
救世の望みは、ますます小さくなっていく事になる。
しかしシルクは、人々が苦悩することも、
大量の死者を出すこともなく、
ぼくたちの惑星が良い方向に
変化していく可能性は残っていると言った。
でも、これはいつもしっかりと
自覚しておかなければいけないけれど、
"もう時間がない"。
つまり、もうぼくたちは時間を
無駄にできないという事だ。
それから、喜び、健康なユーモア、
楽天主義、希望、責任、悪意のない魂、
信念、許し、隣人への助け、本物の愛などが
ますます必要不可欠なものになっていき、
それが人類にとって、
そして一人ひとりにとって、
高い水準の存在へ移るのに必要な
エネルギーになると言っていた。
反対に、どんなものであれ、
恐怖、絶望、堕落などの種を蒔く者からは、
距離を置くことが必要だと付け加えた。
そして自分たちの性格上の劣った部分に対して、
もう少し自分自身に厳格になるべきであり、
友達や指導者を選ぶときにも、
もっと厳しく判断すべきだという事だ。
最後にシルクは、次にあげる欠点は、
どんな犠牲を払ってでも
自分たちの中から追放すべきで、
もしそれらの欠点が大きければ、
新しい世界の一員になる事は出来ないと言っていた。
それは、羨望(ねたみ)、利己主義(エゴイズム)、
暴力、物質主義、人の不幸を望むこと、
(知的、感情的、物質的、性的な事に対する)無責任、
恩知らず、不機嫌、
それからぼくたちの全ての宗教が
そのおきての中で戒めていること。
ぼくは、ねたみと利己主義が
最初に挙げられていた事に
とても興味を惹かれた。
だってぼくたちにとって、
それはとても日常茶飯な事だったからだ。
ぼくたちは、シルクに
感動と感謝を込めて別れを告げた。
ビンカとぼくは、シャンバラで学んだ全ての事に、
とても強い印象を受け、大きな感動を覚えていた。
特に、ぼくたちの世界が思っていた程
ひどいわけじゃないという事や、
大きな変化の時期が訪れるのは、
そんなに先でもないという事が分かったのは、
大きな収穫だった。
アミ「でも、その変化が恐ろしいものじゃなくて、
何かしら美しいものであって欲しいなら、
自己を高めるための努力をしなくっちゃ」
…終わり
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)/エンリケ バリオス
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12002408026.html
PP(政治警察)の地下牢からビンカたちを助け出したアミは、
ビンカとペドゥリートを円盤に乗せて、
今まで見てきたどこよりも進んだ文明があるという
エクシスの世界へと連れて行きます。
ペドゥリート「ここは生命のいない、
乾いた惑星なんだね…」
アミ「うん、表面には石ころしかない。
でも内部には…」
ペドゥリート「この世界の文明は
地下の中にあるなんて言わないだろうね…」
アミ「まさしくそうなんだ。
この惑星の人たちみたいな、
高い進化水準に達した人類は皆、
文明基盤を地下に移しているんだ」
アミは、エクシスの乾いた地表に向けて、
円盤を急降下させた。
「サリャ・サリムと同じ様に、
ここにも秘密の入口があるんだ。
そこから地中に入ろう」
円盤は"非物質化"され、
入口を隠す暗い岩の中をくぐり抜けた。
ペドゥリート「うわー!凄い!」
湖、緑やオレンジ色の草原、
色ガラスで出来たビル群、
オフィルでも目にしなかったような未来建築物
…巨大な球形だったり、
色んな形をした建物の数々が、
なんと、"空中に浮かんでいる"!
キレイに舗装された広々としたテラスの上には、
思い思いにスポーツを楽しむ人々。
美しい競技場や沢山の宇宙船も見えてきた。
そして大小様々な木々や花々で彩られた庭園は、
空から見た方が楽しめるような、
美しいデザインでつくられていた。
ビンカ「こんなキレイなの、
わたし、生まれて初めて見たわ!」
ここでもサリャ・サリムと同じで、
"空"は本物の空にしか見えなかった。
ただ、違っていたのは、
その"空"が水色ではなく、
明るいピンクのような色をしていた事だ。
でも、何と言っても驚きだったのは、
いくら巨大な洞穴の中に都市がつくられているとはいえ、
一体どこまで続いているのやら、
その洞穴の終わりが見えなかった事。
ペドゥリート「これは超文明だよ!」
アミ「そうだよ。じゃ、これからみんなで、
惑星間の美人コンテストを見に行こう」
色とりどりの服を身にまとい、
大きな赤い頭をした巨大な人間たち。
ペドゥリートには彼らの顔が、
どう見ても人間のものとは思えなかった。
その他にも色んなタイプの異星人がいたけれど、
誰もが仮装パーティの様な出で立ちで、
そしてとっても楽しそうだった。
みんなかなり個性的な頭をしていて、
果たしてそれが、飾り帽子なのか、
はたまた突飛なヘアスタイルなのか、
ペドゥリートには区別がつかなかった。
顔や体つきも、何とも不思議な感じだ。
ペドゥリート「それにしても、宇宙には、
こんなに色々な種類の人間がいたなんて!」
ステージでは、がっちりと背が高く、
おまけにかなり太った、
灰色の顔に大きな口をした司会者が、
これから登場する出場者を紹介していた。
まるで歩くレタスとでも呼べそうな人が現れ、
自己紹介をして、朗らかに挨拶し、
精神を集中させ、そして退場していった。
ペドゥリート「アミ、これ一体何なの?」
アミ「美人コンテストの様なものだよ。
でも、きみたちの惑星の美人コンテストとは
二つの点で大きく違っているけどね。
まず第一に、ここでは誰も他人と競争してない。
勝ち負けはないんだよ。
ただ一人が精一杯観客を楽しませようとする。
彼らにとっては、観客の喜びがただ一つの賞なんだよ。
次に、美人コンテストとは言っても、
ここで披露しているのは出場者の
外見の美しさじゃないんだ。
外側の形のバリエーションは物凄く沢山あるから、
我々にとって"この人は最も美しい"とか、
"この人はあの人より醜い"とか言うのは、
あまり意味がない。
実際、我々は人の外見にそれほど注意を払わない。
ある場所では"美しい"ものが、
一度場所が変わると、
途端に"醜い"ものに成り下がる。
美意識なんていうのは、
時代によって簡単に移り変わる気まぐれなものだし、
相対的な(他に比べるものがあって初めて成り立つ)ものだからね。
だから我々は、ダイレクトに内面を問題にするんだよ。
本当の美しさというのは、
内面にあるものだからね。
出場者たちは、今まさに、
それを見せているんだよ、
彼らの内面の美をね」
続く…
過去記事「美人コンテスト」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12002517350.html
クラトが地球でペドゥリートのおばあちゃんと
暮らしていく事を決めたので、
ゴロおじさんとクローカおばさんは、
クラトの住んでいた山小屋で
PP(政治警察)から身を隠して暮らす事にしました。
そこでの自然に触れたことで、
実は自然の中に住むのが夢だった事を思い出すゴロ。
感動したゴロは、幸せの涙をこぼし、
テリからスワマへと変身するのです。
こうして、物凄いスピードで進化したゴロは、
なんと!
ビンカが地球に行く事を許可してくれたのです!
そして、円盤に戻ったアミとペドゥリートとビンカ。
アミがとても重要なところへ案内すると言い
連れて来てくれたところは…
…地球だった。
円盤はゆっくりと下降を始め、
ヒマラヤ山脈の上空を進んでいった。
そして突然、切り立った岩山のひとつに向かって
凄まじいスピードで近づいていった。
岩の中をくぐり抜けた後、
大きな都市が目の前にあらわれた。
サリャ・サリムやエクシスの時みたいな
超モダンなものとは違い、
小さな半円形の家々ばかりの白い都市の風景で、
その他には、巨大な球形の白い建物だけが、
都市の中心部に堂々と美しい姿を見せていて、
儀式か何か、そんな感じの事を行なう所のような印象を受けた。
それ以外には、大きな建物は全くなかった。
その光り輝く球形の建物は、
地球で言うなら赤道にあたる部分を、
4本のウデ…(やや曲がった支柱)で支えられ、
お尻の部分を地面につけているかっこうだ。
沿道に木々や草花が植えられた4本の通りが、
四方からその建物に向かって伸び、
それぞれの支柱の前で終わっていた。
たくさんの円盤とたくさんの人々が
行き来しているのが見えたけど、
全体が大きな調和と平安に包まれているように思えた。
アミ「この基地はシャンバラって言うんだよ」
ペドゥリート「シャンバラ!
ぼく、その名前、どこかで聞いたことあるよ」
アミ「そうかもしれない。
シャンバラは、アガディールとかアガルティと同じように
古い言い伝えの中に語られているしね。
エル・ドラードやシャングリ・ラなんかは、
さほど知られていないけど」
アミ「これからあの球形の建物の近くに着陸しよう。
あれは研究所なんだよ」
ペドゥリート「研究所?
ぼくは競技場かと思っていたよ…」
アミ「いや、そうじゃないよ。
むしろ寺院とでも呼んだ方が良いかもしれない。
だって、あそこでやっているのは、
寺院の中で行なわれている仕事と
良く似たところがあるんだ。
つまり、最も高い水準の、
精神的で霊的なエネルギーを発生させているんだよ」
アミ「じゃ、下に降りる準備をしてね。
会って欲しい友だちがいるんだ」
ペドゥリートは、この都市には
神秘的な雰囲気が漂っているのを
ハッキリと感じた。
アミ「ここのエネルギーが
ちょっと違っているのによく気がついたね。
そう、より高くて繊細なんだ。
なぜならここが、地球の重要な
霊的中心地のひとつだからだし、
きみが自分の内的な感覚に
注意を払っていたからでもあるんだよ」
ビンカ「それ、どういう事なの?
この都市はサリャ・サリムとは違うの?」
アミ「未開世界には、
目的ごとに違った基地があるんだよ。
例えば、サリャ・サリムは
キアの社会と政治の進歩に関して監督しているけれど、
それとは別に、生物の進化に関して監督していたり、
文化や科学技術の発展を助けたりしている基地もある。
地球人類の精神の進歩を監督する仕事は、
ここシャンバラが中心になっているんだよ」
寺院は、ダイヤモンドかガラスのような物で出来た
巨大な板石の真ん中の上に建っていた。
円盤は、宇宙船専用につくられたパーキングではなく、
そのキラキラと輝く大きな宝石の上にとまった。
アミ「ここは水晶でできた、
この惑星最大のプラットホームなんだよ。
とても繊細な働きをする水晶で、
脳の振動を集中させたり、
増幅させたり出来るんだよ。
ここにいる人たちもやっぱり、
地球人類が精神や脳で高い振動を生み出せるように、
色々と仕事をしているんだ。
そういったエネルギーは、ここから
地球のあらゆる所へと送られているんだよ」
続く…
前回記事「シャンバラ」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12005639918.html
建物を支えている4本の"ウデ"の側面には、
細いフチのようなものが付いていて、
よく見るとそれは、右側は上りの、
左側は下りのオートマチックな階段だった。
そして、球体の赤道部分にある建物の入り口まで続いていた。
そのひとつを上り始めた。
でも、階段の幅は1メートルもなかったし、
それに手すりも付いていなかった。
上に行くにつれ、その高さに圧倒されて、
めまいを起こしそうなくらい緊張したので、
ペドゥリートは出来るだけ壁に張り付くような姿勢をとった。
前にいたビンカがペドゥリートを振り返ると、
肝をつぶしたような顔で、
今にも膝をついてしゃがみ込みそうだった。
ペドゥリートはビンカを後ろから抱えて支えてあげた。
アミ「ビンカ、下を見ちゃダメだ。
大丈夫だよ。落ち着いて、
内面の均衡を保つようにしてごらん」
ペドゥリートは、あの階段はとても危険だと思った。
手すりを付けないなんて全く愚かだとしか思えなかった。
アミ「この中では、精神的な、
霊的なエネルギーを高揚させる仕事をしている。
そのエネルギーの質は、
我々の体と精神状態で決まるんだ。
ここまで上ってくるのに、
心や体のコンディションが充分でないのが分かれば、
中に入ったところで仕方がない。
だって、高い霊的エネルギーを放射することが出来ないからね」
「ここで働いている人たちは、
地球人類に対して大きな責任を負っている。
だから仕事をするときには、
自分の心や体のコンディションを
ベストの状態にしておかなければならない。
この階段はそのためのものなんだ。
この階段を上れば、
自分で自分のコンディションを"測定できる"んだよ。
もし上っていく途中で気分が悪くなったりしたら、
その日は一旦上りきったあと、
中に入らずにそのまま帰って、
新たにベストコンディションの日を待てばいい。
頭と体の状態が良ければ、
健やかな精神状態は保証されている。
我々の体っていうのは、
我々の魂の状態を三次元化したものなんだからね」
階段を上りきって、研究所…寺院の中に入ると、
灌木と草花のあるテラス、
らせん階段なんかがあったけれど、
取り分け目を引いたのが、
たくさんのイスが設置された広いスペースだった。
イスから見下ろすスペースの中央部分には、
水晶の板石が敷かれていて、
その板石の上には、
ライトアップされた美しい祭壇があり、
オベリスク(方形で上に行くにつれ細くなっていき、
先端はピラミッド形をした柱のこと)の形をした
2メートルほどの高さの石が、7つも立っていた。
オベリスクのような石は、
ひとつひとつ違った色をしていて、
宝石のようにまばゆく光り、とてもキレイだ。
そのうちの一つ、紫色をした石のまわりを、
白い服に頭巾をかぶった一団が、
円を描くようにして囲んでいた。
その紫色の宝石は、
三角形のダイヤモンドのように輝いた
ガラスの台の上に乗っていた。
アミ「あれは、純粋なダイヤモンドだよ。
あの頭巾の人たちは、霊的振動をより良く伝えるために、
ダイヤモンドから巨大な水晶の板石を通して、
地球人類の魂に向けてエネルギーを発しているんだよ」
頭巾をかぶっていない人も、大勢いた。
大部分の人は、赤銅色の肌をした人種の人たちで、
背が高くて、2メートル前後はあった。
頭は大きく、体は細っそりしているのに、
筋肉や骨格がしっかりと発達している。
男の人たちの体毛は薄く、
女の人たちの体は、
地球の女の人みたいな曲線的な体つきではなくて、
もっとずっと痩せていた。
顔には1本のシワもなかった。
まるで整形手術かなんかで、
後ろから皮膚をギューっと引っ張ったみたいだ。
とても大きな、そして穏やかな瞳をしていて、
その色が様々…黒、茶、灰色、緑、青、
その中間の微妙な色合い…なのは、
地球人と同じだった。
わずかにカールのかかった金髪や栗毛を
男女共にとても短くしている。
そして皆んな、襟なしの
ゆったりとした服を身につけていた。
見渡したところ、地球人はどこにもいなかった。
アミ「ここにはたくさんの地球人がいるよ…」
続く…
過去記事「ダイヤモンド」の続きになります。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12006527383.html
地球の内部に存在するシャンバラで、
祈りの様子を見て感動するペドゥリートとビンカ。
アミは、1人の男の人を2人に紹介します。
男は親愛の情のこもった眼差しで二人を見つめ、
サリャ・サリムの偽テリたちと同じように、
右腕を肩の高さに水平に伸ばし、
ペドゥリートたちに手のひらを向ける仕草で挨拶をした。
「シャンバラへようこそ。
私の名前は、シルクです。
そして私が、この研究所で行なわれている
色々な活動をコーディネートしています。
どうぞ、座って下さい」
ペドゥリートは、シルクを見ているうちに、
前の旅で会った、地球"救済計画"の総司令官を思い出した。
でも彼に比べると、シルクは外見上は地球人に近かった。
アミ「でも、司令官と同じ惑星の人種だよ」
ペドゥリート「ああ、どうりで
すぐに彼のことを思い出した訳だ」
シルク「彼は、私たちの民族の中でも、
その魂が最も多くの光に包まれているひとりなんだ。
何か質問はあるかね?」
ビンカ「あなたはどの惑星から来たのですか?」
シルク「私は宇宙人ではなく、地球人です」
ペドゥリート・ビンカ「エエーッ!?」
アミ「1回目の旅は、君たちにとって
第一段階"A"にあたっていた。
"宇宙生命"というテーマにおいてね。
2回目の旅は"B"であり、今回は"C"なんだよ。
君たちの書いた本を読んだ人達にとっても、
それは同じなんだよ。
このテーマに関して、
だんだんグレードアップしてきているんだ。
いいかい、これからシルクが言うことを、心して聞いてよ」
シルク「ここは私の世界なんだ。
私はここで生まれた、
何代もの私の先祖たちと同じ様に。
そして君たちが既に目にした私に似たあの者たちも、
みんな地球人なんだよ…」
ペドゥリートの心の声
「エッ!あの人達が地球人だって!?
だってあんなに進化してるのに!?
…しかもぼくたちの地球に、
何代にも渡って生き続けてきてるなんて!」
シルク「でも、ここに来ている兄弟たち全員が、
ここで生まれた訳ではない。
ここには一時的に滞在している者もいる。
彼らは、私たちが大昔にあとにした、
遠い世界から来ているんだ…」
シルクはひとつの例を出して話し始めた。
「君たちのような世界に住んでいる人たちの中で、
砂漠とか人を寄せ付けない寂しい所へ、
自分たちの家族を引き連れて移り住んで行く人たちがいる。
彼らはまず、その地に水を引き、
穀物の種をまき、動物を飼育し、
子どもを増やして行く。
そして、労力と時間をかけて、
住めるような場所を作り上げていく。
もっと後になってから、
その近くに別の家族が住み始める。
だんだん人が増えてきて、
村が出来、町が、そして都市が出来る。
以前には全く何もなかったところに、
たくさんの人が住める都市を作り上げた。
彼らは開拓者たちだよ。
そうして、国家が出来上がってくるにつれ、
政府は、たいてい
人の全く住んでいない地区の開拓を進めるために、
資金を出して開拓者を援助したりするものだ。
国は大きくなればなるほど、
もっともっと大きくなろうとするものだからね。
これは人生に、人間の心に内在している傾向だよ。
より大きく、より広がるように、
より多く手に入るように、より完璧に、
より住みやすくなるように。
それから自分たちの子孫にとってはもちろんのこと、
それ以外の人々にとっても益々
住みやすくなるような可能性を残してあげるために。
宇宙世界の宇宙親交は、
最も高い階級水準の意識に従って、
全ては神聖なる計画のもとに、
数百年もの昔から、
たくさんの惑星惑星(ほしぼし)に
生命の種をまいてきたんだよ」
ペドゥリートの心の声
「これまでアミは、宇宙親交が
銀河系に生命を誕生させる任務を負っているなんてこと、
一度も口にしたことがなかったから、
生命はひとりでに生まれてくるものだと思っていた…」
シルクは続けた。
「宇宙親交は、様々な種の
知的な人類から成り立っている文明なんだよ。
その中には、ずっと古い昔から
我々と同化している種もあれば、
同化してまだ歴史の浅い種もある。
全ての文明が、
進化したと認められるための条件を満たして、
一定の基準まで達した時には、
我々のメンバーとして迎えられるんだよ」
続く…
前回記事「地球人」の続きです。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12010664440.html
宇宙親交の仲間入りをするには、
国や国境をなくし、すべての国家や民族が
ひとつにまとまる段階に達しなければならない。
つまり、その惑星全体が、
世界政府によってまとめられた
ひとつの国に変わらなければならない。
惑星の独裁政府というのも
ひとつの世界政府と言えるけれど、
宇宙親交の望んでいる世界政府とはまるで別物で、
本当の世界政府は、宇宙の基本法…
つまり、普遍的な愛…にぴったりと
適合していなければならない。
それがもし実現できれば、
もう不正も苦悩もなくなるから、
その時初めて、その文明は
宇宙親交のメンバーとして受け入れられる。
シルク「そうして受け入れられた文明は、
宇宙親交の援助を受けながら進歩、発展していき、
ある水準に達した時には、
任務を与えられるようになる。
今度は自分たちが、
まだ知的生命のいない世界の生命を改良し、
援助していくんだよ」
シルク「任務にあたって銀河当局は、
そこで働く種にふさわしい重力を持つ、
若い惑星を割り当てる。
彼らは基地をつくり、
それから数千年、数万年もそこに住むことになるんだ。
君たちは、我々と違った時間の観念を持っている。
数百年前、私の民族はこの世界にやってきた。
最初に軌道に乗った基地をつくり、
そして地底都市をつくった。
そしてここに移り住み、
そこからはっきりとした目的のもとに、
生態系を改良する仕事に取りかかったんだ。
もう既に生存していた種に変化を与えたり、
新しい種を我々の遺伝子研究所で創造したり、
別の世界から連れてきた種を
地球の環境に適応させるようにしたり、
それから気候や海に関わるものにも手を入れたりした。
我々の民族はもともと宇宙から来たけれども、
私をはじめ、ここにいる大部分の人たちは、
この惑星に何世代にも渡って
長く住み続けている家系に属している。
だから、自ら切り開き、耕し、
暮らしている農場を農民が愛するように、
この地球をとても愛しているんだよ。
何より、この美しい世界は、
我々の先祖やその子孫、
つまり我々自身が住んでいるところだ。
だから、我々は、自分たちを
地球人であると心から思っているんだ。
我々の方が、君たちよりもずっと長く、
この地球に住んでいるんだからね」
シルクは話を続けた。
「現代の人類は、交配によって創り出されたんだよ。
我々の研究所で、地球のサルの遺伝子と、
よその惑星からやってきた我々の遺伝子とをかけ合わせて」
ペドゥリートは、全身ゾッとした。
「彼らがぼくたちを創り出したんだ!
…自分たちの遺伝子を使って!」
シルク「そして新しく誕生した人類が
ちゃんと生き延びていけるように、
ウマだとかラクダだとかゾウだとか、
ニワトリやイヌといった、
あとあと人類の役に立つような動物たちを
創ったり改良したり、
米や麦やトウモロコシや、
色々な果物を創ったりしたんだよ」
ビンカとペドゥリートは呆然とした。
キア星でも、事情は大体同じだった。
シルク「現在の人間は、天と地の子であるんだよ。
だから、時には人間以下のようになり、
時には超人間的になる。
動物的な本性と星の本性とが共存しているんだ」
シルクは、今までの話を要約しようとした。
「地球の人間を創造した目的は、
新しい種の人間を創り、後に、
その人間が親交に入れる水準まで進化した時に、
それに協力出来るようにしてもらうためだ。
君たちが考えるように、
"宇宙大戦争"に協力してもらうためではなく、
数え切れない文明化のための仕事や
銀河系生命の改良に協力してもらうためなんだよ。
一度同化してしまえば、宇宙親交から
科学的、技術的、精神的な援助が受けられる。
そうするともう、苦悩や不安や死を
永遠に過去のものとする事が出来るんだよ」
続く…
「アミ 小さな宇宙人」シリーズと題して、
3冊分を私の主観でまとめて書いてきましたが、
いよいよ今回が最終回です。
過去記事「種の起源」の続きになります。
http://s.ameblo.jp/happylife3749/entry-12011553492.html
ペドゥリートがシャンバラの住人
シルクから聞いた話を要約します。
シルクは、ぼくたち一人ひとりには、
ぼくたちの種の進化のために割り当てられた責任があり、
その為に、一人ひとりが
自分の劣った部分を乗り越えることが
どうしても必要になってくると言っていた。
それはあくまで個人的な仕事で、
個人が内的成長を遂げるために努力することによってのみ、
人類全体が進化していけるのだという事を、
特に強調していた。
そして彼は、ぼくたちに、
自分が人類の進歩に奉仕していると信じ込んでいる
少なからぬ人たちのように、
"黙示録の預言者"や"死の使者"にならないようにと、
特に注意強調していた。
実際、彼らがやっていることは、
不安や恐怖や絶望の種を蒔くことであり、
人々の恐怖心を無意味にあおる
"メッセージ"を広めることであり、
それは人類の頭脳の質をさらに低下させるだけのものだから、
救世の望みは、ますます小さくなっていく事になる。
しかしシルクは、人々が苦悩することも、
大量の死者を出すこともなく、
ぼくたちの惑星が良い方向に
変化していく可能性は残っていると言った。
でも、これはいつもしっかりと
自覚しておかなければいけないけれど、
"もう時間がない"。
つまり、もうぼくたちは時間を
無駄にできないという事だ。
それから、喜び、健康なユーモア、
楽天主義、希望、責任、悪意のない魂、
信念、許し、隣人への助け、本物の愛などが
ますます必要不可欠なものになっていき、
それが人類にとって、
そして一人ひとりにとって、
高い水準の存在へ移るのに必要な
エネルギーになると言っていた。
反対に、どんなものであれ、
恐怖、絶望、堕落などの種を蒔く者からは、
距離を置くことが必要だと付け加えた。
そして自分たちの性格上の劣った部分に対して、
もう少し自分自身に厳格になるべきであり、
友達や指導者を選ぶときにも、
もっと厳しく判断すべきだという事だ。
最後にシルクは、次にあげる欠点は、
どんな犠牲を払ってでも
自分たちの中から追放すべきで、
もしそれらの欠点が大きければ、
新しい世界の一員になる事は出来ないと言っていた。
それは、羨望(ねたみ)、利己主義(エゴイズム)、
暴力、物質主義、人の不幸を望むこと、
(知的、感情的、物質的、性的な事に対する)無責任、
恩知らず、不機嫌、
それからぼくたちの全ての宗教が
そのおきての中で戒めていること。
ぼくは、ねたみと利己主義が
最初に挙げられていた事に
とても興味を惹かれた。
だってぼくたちにとって、
それはとても日常茶飯な事だったからだ。
ぼくたちは、シルクに
感動と感謝を込めて別れを告げた。
ビンカとぼくは、シャンバラで学んだ全ての事に、
とても強い印象を受け、大きな感動を覚えていた。
特に、ぼくたちの世界が思っていた程
ひどいわけじゃないという事や、
大きな変化の時期が訪れるのは、
そんなに先でもないという事が分かったのは、
大きな収穫だった。
アミ「でも、その変化が恐ろしいものじゃなくて、
何かしら美しいものであって欲しいなら、
自己を高めるための努力をしなくっちゃ」
…終わり
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)/エンリケ バリオス