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スカラー電磁波
スカラー電磁波には、色々な別名がある。「スカラー波」や「テスラ波」、あるいは「物質波」と名づけられていることもある。
電磁波から生成されるが、電磁波とは大きく異なる。
スカラー電磁波は、電磁場から生成される。
ある電磁波の波を打ち消す、逆位相の波を、その電磁波と組み合わせると、この「スカラー電磁波」が生み出されるという。
このような操作を簡単に行う道具として、「無誘導巻きコイル」というものが製作され、これを用いて実験が行われたらしい。この「無誘導巻きコイル」を思いついたのは、大橋正雄という人のようだ。
大橋正雄による基礎研究
大橋正雄は「物質波」と呼んで、「スカラー電磁波」の生成メカニズムを研究した。次の3冊の本が出版されている。
[1]「波動性科学」大橋正雄著、たま出版刊(昭和63年)1988
[2]「新波動性科学入門」大橋正雄著、たま出版刊1993
[3]「悟霊の法」大橋正雄著、たま出版刊(平成7年)1995
大橋正雄は物理学のあちらこちらに「クチバシ」をさしこんで「バグ」(虫、プログラムなどの欠陥)をついばもうとしている。それが正しいかどうか、なかなか難しくて、よくは分からない。しかし、「物質波」と呼ぶ「スカラー電磁波」についての考察は、かんたんに無視することができない。
原子の中で、陽子のまわりを回っている電子のが、マイナスの電気を帯びて運動しているにもかかわらず、かすかな電磁波のようなものを、まったく放射していないのは、確かにおかしい。それは、一つの電子軌道を占めている、ペアの電子が、互いに反発しあって180度離れたまま回転し、その状態で発生する電磁波が、常に逆位相となって打ち消し合い、これが「物質波」(=スカラー電磁波)となっているからであると、大橋正雄は論じている。
この理論で、一つ問題となるのは、電子を一つしかもたない水素原子は、どのようになっているのかということである。これについての説明は見つからないが、この問題は保留しておこう。
大橋正雄の推論によれば、私たちのような生命体も、物質的には原子や分子で構成されているので、「物質波」(=スカラー電磁波)を生み出しているはずである。生命体にとって、この「物質波」は、生命活動を支えているエネルギーとなっているのではないか。古くから、生命体には「気」や「プラーナ」というものが備わっていると言われる。これらは「物質波」に関係しているのではないか。このような考えをつなぎ合わせてゆき、生命体には固有の周波数というものがあるだろう。これは「物質波」の周波数の違いによって影響を受けるだろう。
微生物ともっと大きな生物とでは、おそらく、周波数が異なっているのではないか。それでは、微生物の生命活動を支えている周波数の「物質波」ではなく、それに近いが、異なる周波数の「物質波」を照射すれば、その微生物の生命活動を混乱させて、死に至らせることができるのではないか。ここの論理は、少しぶっそうだが、相手が微生物であるなら、生物学の研究所などでも行われていることである。
大橋正雄は、このような推論のもと、「無誘導巻きコイル」を利用した電子回路の装置を作り、微生物にさまざまな周波数の「物質波」を照射すると、どのようになるかを実験した。
上記資料[2 ]の「第五章 実験で仮説の証明」のところに、その実験の詳細が記されている。その「実験対象」は、大橋正雄の「背中左側にできた五円硬貨ほどのゼニタムシ」であったという。生物学を学んでいたこともある私には、ちょっとめんくらうような物語だ。生物に照射して生死を確かめるというのであれば、シャーレに寒天培地をながし込み、適度な雑菌なり、枯草菌なりを繁殖させてコロニーを作り、対照実験もやらなければならないから、同じような微生物コロニーが発育したシャーレを2つ用意して、その1つだけに「物質波」を照射すればよい。生物実験を科学的に行うなら、このような手順ですむことである。
ともかく、大橋正雄の「背中左側にできた五円硬貨ほどのゼニタムシ」に「物質波(=原子波)」を照射するという生体実験が実行された。その結果、患部のかゆみがなくなり、カサブタがとれ、何ごともない、普通の皮膚へともどったのだそうだ。
そこには「何らの後遺症もなかった」と記されているが、その後に、「しかし、同日の夜になって、口の中の上あごが荒れ、舌でさわるとザラザラしていた。喉もおかしく、カサカサした咳が出た。…」と、明らかに「後遺症」と考えられる症状が列記されている。こんなことなら、水虫治療薬をゼニタムシの幹部に塗っておいたほうがましだっただろう。
まあ、ゼニタムシの治療としては、あまりの「後遺症」の多さのため、効率的なものとは言い難いし、対照実験が組まれていないので、科学実験としての説得力にも欠けるが、どうやら、微生物の生死に対して「物質波(=原子波)」が影響するということは確からしい。
それが確かだとしたら、いきなり人間による生体実験を行うというのは、むちゃなことだ。ゼニタムシは微生物であり、人間は比較的大きな生物かもしれないが、人間の組織の中には、微生物と同じメカニズムで活動している部分がたくさんある。血液の中にある白血球は、ほとんどアメーバーのようなものだし、腸や喉には、繊毛細胞がならんでおり、ゾウリムシなどと、そんなに変わるものではない。
ゼニタムシを死滅させるような「物質波(=原子波)」の周波数によって、人間そのものは死滅しないだろうが、人間を構成している微生物サイズの細胞群が死滅する可能性があるはずだ。
大橋正雄は、他にも、いろいろな微生物や小動物を対象として、「物質波(=原子波)」の周波数に関する研究を続けた。しかし、本人の体に実験の影響がでてきたらしく、このような実験を続けることができなくなった。
大橋正雄は、「物質波(=原子波)」が「重力波」と同じであると推論し、「無誘導巻きコイル」を利用した「地震予知機」の研究へと進む。この研究についての説明が続いてゆくが、やがて、問題点が現れる。地震予知機の心臓部である「無誘導巻きコイル」には、今回何も電流を流していないものの、そこへとやってきた、自然界の中にある「物質波(=重力波)」により、「無誘導巻きコイル」から二次的な「物質波(=重力波)」が誘導されて出ると考えざるをえなくなったという。なぜかというと、地震予知機から何メートルも離れているところで生活している者に、微生物実験のときと同じような異常が出たからである。
このような実験については、資料の[2] だけでなく、[3] においても詳しく説明されている。[3]「悟霊の法」は、宗教的な内容に見えるが、大橋正雄は、このような現象に対して科学的に取り組もうとしている。「分裂病」や「酒乱」は、目に見えない霊が影響を及ぼしているので、その霊に対して説得して、それらの精神的な病気を改善の方向へ向かわせようというものである。
最近、「ホ・オポノポノの教え」が注目されている。これは、心の中で、自分自身をコントロールしている、見えない存在に対して語りかけるというもののようだ。大橋正雄の「悟霊の法」は、他人をコントロールしている、見えない存在に対して語りかけるというものである。違いはあるが、よく似ている。
大橋正雄は[3]「悟霊の法」の「付 ―― 霊的実在の科学的証拠」というところで、「霊」や「物質波」の関係について論じている。完全な説得力はもっていないものの、公の科学者と呼ばれるような人々が避けて通るような問題に、ある種の切り口を生み出している。
ほんとうは大橋正雄の考えたことのほうが正しいという可能性がある。もちろん、その全てではないが、あらすじとしては、こちらのほうが的を射ているように思える。
ただし、仮にそうだとしても、そのことを証明するには、もっと論理的に、多くの基礎研究を「物質波(=スカラー電磁波, =重力波)」について行う必要があるだろう。
ところが、この「物質波(=スカラー電磁波, =重力波)」を「無誘導巻きコイル」を利用して調べようとすると、それに電流を流さなくても、自然な状態で、誘導された「スカラー電磁波」が出て、研究者に作用してしまうらしい。
この問題に関しては、次のような対策を講じる必要がありそうだ。
まず、たやすく「スカラー電磁波」を生み出す「無誘導巻きコイル」の使用をやめ、別々になっている、同じ様式のコイルを2つ使って、回路の配線を工夫して、「無誘導巻きコイル」と同じように、「スカラー電磁波」を生み出す。このとき、離しておいた2つのコイルに対して、「スカラー電磁波」の効果が局所的なものとなるかどうかを調べる。
実藤 遠の文献調査
このためにも、ぜひ必要なのは、「スカラー電磁波の検出器」である。大橋正雄は、スカラー電磁波(=物質波)を検出できないとあきらめていたが、実藤 遠の著書[4][5]を手掛かりにしらべてゆけば、スカラー電磁波の研究者であるT.ベアデンのアイディアによる「スカラー波検出器」というものがあることが分かるだろう。
[4]「スカラー波理論こそが科学を革命する」実藤 遠著、技術出版1994
[5]「宇宙のスカラー的構造」実藤 遠著、技術出版1996
実藤 遠は文化系の研究者のようで、文献調査のような基礎研究を行っている。大橋正雄が行ったような実験は、やっていないか、明らかにしていないか、そのような実験についての記述は見つからない。宇宙の空間についての次元については、少し的が外れているかもしれない。大橋正雄が行ったような実験のようなものがないので、推論だけで論理が展開しており、説得力に欠ける。まあ、当たっているかもしれないが、外れているかもしれない、というような印象を受けるしかない。
スカラー電磁波は取り扱い注意
このような、未知の現象については、推論や理論を組み上げる前に、もっと多くの、基礎的な実験による知識の集積が必要となる。それには、時間や人材や、測定機器といった、ある種の、経済的な余力が必要となる。大橋正雄や実藤 遠らは、自らの現状のなかで、できることに取り組んだのであろう。偉そうなことは言えない。私なぞ、さらに悪い状況だ。
実藤 遠によれば、ロシアやアメリカは、すでに「スカラー電磁波」を利用した兵器を開発しているという。「それなら、日本も」というような発想ではなく、この「スカラー電磁波」を兵器としてしか利用できないような、愚かな状態から脱するため、これについての基礎研究を進め、平和的な視点から、これを利用してゆくべきである。これは、大橋正雄や実藤 遠の願いでもあり、私は、それを繰り返しているだけにすぎない。
ただし、ここで再度繰り返しておこう。
「スカラー電磁波は取り扱い注意」であるから、必要な手順を踏んで、無意味な悪影響をもたらさないようにする必要がある。
(Written by Kinohito KULOTSUKI, Oct 5, 2011)
参照資料
[1]「波動性科学」大橋正雄著、たま出版刊(昭和63年)1988
[2]「新波動性科学入門」大橋正雄著、たま出版刊1993
[3]「悟霊の法」大橋正雄著、たま出版刊(平成7年)1995
[4]「スカラー波理論こそが科学を革命する」実藤 遠著、技術出版1994
[5]「宇宙のスカラー的構造」実藤 遠著、技術出版1996