雪が降っています。
ドアを開けたら、そこは別世界。
ふっと、弘前が思い出されました。
ランディさんと山田スイッチさんと一緒に
初女さんを訪ねた帰りに寄った青森県立美術館
そこで観た雪の中に立つ奈良美智さんの
「あおもり犬」が、記憶の中から立ち上がって
来たのです。
あおもり犬も初女さんのお墓も森のイスキアも
みんな雪の中にあるのですね。
目の前に降る雪と青森の風景が重なりました。
初女さんの訃報を聞いて、飛んで行った列車の
車窓から見た雪景色は、色のない世界でした。
もうすぐ、初女さんの命日
何だか雪が堪えます。
今朝、糠床にかぶを漬けた時、初女さんとの
最後のぬか漬けを思い出しました。
こんなふうに、思い出が立ち上がって来るのは
やっぱり2月が近づいて来たからでしょうか…
初女さんは冬の中にも春を感じている方でした。
冬が北国の人の心を育むのでしょうか…
初女さんのご遺体が、弘前のお家を出る時
突然舞った雪は、初女さんだったのは…
『津軽では、毎年十月に初雪が舞い
翌年の三月まで雪に覆われます。
岩木山の麓では、五メートル近く雪が
積もることもあり、森のイスキアは
すっぽりと雪に埋もれてしまいます。
たいへんなことも多いのですが、
私は冬が嫌いではありません。
厳しい冬を耐え忍んだ野菜や果実は力強く
うまみがぎゅっと詰まっています。
冬の中には春の種があり
凍てつく寒さは、やがて大きな恵みを
与えてくれます。
佐藤 初女 』
奈良美智 あおもり犬