~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

食べごしらえ おままごと

2013-05-04 15:36:41 | 日記
「食べごしらえ おままごと」これは昨日から読み始めた

石牟礼道子の本の題名です。

石牟礼道子といえば、水俣病の「苦海浄土」でしょ。と言われ

そうですが、恥ずかしながらこの本が初めての石牟礼道子なのです。

私は、食べることが好きだから食べ物の本にも目が行くのですが、

まさか、石牟礼さんの世界に食べ物から入っていくとは自分でも

思っていませんでした。

1ページ読んだところで、文章の上手さに唸ってしまいました。

久々に日本語の豊かさを堪能させてくれる、作家に出会ったという

気がしました。

向田邦子も食べ物のことをよく書き、私も好きなのですが

石牟礼さんの食べ物には、畑の泥や海の匂いや魚の血合まで

感じられ、それを獲ったり作ったりしている人の生活が

文書の端々から自然に感じられるのです。

食べ物を通しての人との繋がりや暮らしは、かつての日本の

いたるところにあった庶民の生活が掛け外のないもので

あったことを、真っ直ぐに心に伝えてくれます。

この本を読んでいたら、急におはぎを作って御近所に

配りたくなってしまいました。

大して上手でもないのに…

子供の頃、お彼岸になると恒例の様に母がぼた餅を

作ったものです。

大きな大きなぼた餅で、とても「おはぎ」なんて上品な

言い方が似合わないものでしたが、母がぼた餅を作る時は

心が弾み、あんこがもち米を包んで行くようすを

飽きもせずにじっと見ていました。

その記憶が私の中に残っていて、その時手伝った訳でも

ないのに、母の様に手が動いてくれるのです。

不思議なものです…

久し振りに作ったおはぎは、イスキアで頂いた初女先生の

おはぎには遠く及びませんでしたが、恥ずかしながら御近所に

お配りしましたら、持って行った私が恐縮してしまうほど遠慮され、

お裾分けという、そういう習慣が薄らいできていることを

感じないではいられませんでした。

甘いものをそんなに食べない主人が、一つ食べて親しくしている

ご近所さんに持って行くと言ってくれたことが、ちょっと

嬉しかったです。

三浦の海にデートに行った息子に、帰りに彼女におはぎを

持って行ってもらってと、メールをすると「一緒にご飯食べない?」

と、思わぬ返事が返ってきました。

本当に食べ物は、人と人を繋ぐものなんですね。

石牟礼道子さん、有難うございます。

貴方の本のお陰で、息子の彼女と初めての御対面となります!

コメント
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