昨日の日曜日は日帰り上京しました。遠距離介護セミナーに招かれ、質問に答えました。
このセミナーはNPO法人パオッコの主催です。法人理事長の太田差惠子さんは1996年、親世代と子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、今や厚労省を動かしている方です。
昨日の会はまず樋口惠子さんの基調講演がありました。「遠距離介護のこれからー大介護社会の家族と介護ー」と題して、世帯の変化、すなわち非婚化・少子化によって三世代世帯が激減。ひとり世帯、老夫婦のみ世帯、高齢者と独身の子世帯が急増。遠距離介護が必然。これからはワーク・ライフ・ケアのバランスを取りながら生きることが必要と語りました。
集まった方々は首都圏で仕事をし、田舎に老親を残して、介護のために往復している人たちです。医療・介護施設や行政の対応に強い反発を持っておられる方々も含まれている雰囲気でした。もちろんそれらのサービスに感謝し、身を粉にしながら奮闘しておられる方々もたくさんおられたようです。
ぼくは開口一番、日本の社会は不健康だと思いませんか、と切り込みました。ヨーロッパでは都会から田舎への人口移動があるらしい。日本人はもっともっとUターン、Iターンがあってよい。都会の競争社会がそんなに住みよいか。
かかりつけの医師はなるべく在宅医療に熱心な医師に切り替える。在宅療養支援診療所がひとつの目安。
介護では認知症の親をどうみていくかが大きな課題。たとえ遠距離であっても認知症の方の世界にどう入っていくか。愛情ある演技力が求められる。
どうも何人かの方は、田舎の医者・ケアマネジャーの言葉に深く傷ついている様子でした。行政の対応も酷いそうです。なぜ?
医師の側も、故郷にいる親の面倒をみないで、たまに帰ってきて文句を言う親不孝のクレーマー家族という先入観でその人たちを観てしまうのでしょうね。
大切なことは早目に本人に意志を尊重した家族会議を開いて、病気になったとき、急変したとき、そして看取りのときの対応をよく相談しておくことでしょうね。死生観が問われます。
田舎もそれなりにがんばっているのですから、やさしく協働したいものです。