旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

たまには 恋愛小説を

2017-07-05 00:11:36 | 読書
久しぶりの感動。ぼくはめったに、いやほとんど小説を読みません。

友人が読んだと聞いて刺激されて、2016年4月発刊の平野啓一郎『マチネの終わりに』を読みました。

結婚した相手は、人生最愛の人ですか?
ただ愛する人と一緒にいたかった。
なぜ別れなければならなかったのか。
恋の仕方を忘れた大人に贈る恋愛小説。

とPRにあります。

ひとつのテーマは「過去は変えられるか」でしょうか?

こんな一節も、なるほど、そういうものかなあと考えさせられました。

「恋の効能は、人を謙虚にさせることだった。年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいという情熱の枯渇よりも、愛されるために自分に何か欠けているのかという、十代の頃ならば誰もが知っているあの澄んだ自意識の煩悶を鈍化させてしまうからである。」

「大事なのは、お前たちを愛していたということだった。
理解しがたいだろうが、愛していたからこそ、関係を断ったんだ。」

うーん。ラストシーンの一つ手前のコンサートでは芸術家の魂、ほとばしるエネルギーの源泉で火傷をしそうでした。少し温度が下がって、静かに森有正のことばを思い起こしました。

・・・・・
人間の「仕事」という問題は、人間感情の感情の問題と実に密接な関係があることが、今になってぼくにははっきりと分る。仕事というものはいったい誰のためにするのだろう?
仕事自体のため、と答える人もいるし、自分自身のためと、という人もいる。どちらも決して本当ではない。
仕事は心を持って愛し尊敬する人に見せ、よろこんでもらうためだ。それ以外の理由は全部嘘だ。
                『バビロンの流れのほとりにて』




「孤独」のすすめ

2017-01-24 23:58:27 | 読書
ああもう1冊本棚から出てきました。
ひろちさや『「孤独」のすすめ』です。

孤独と孤独感の違いものべられています。
孤独に生きるのではなく、孤独を生きることを薦めています。
馬鹿は問題を解決しようとして、結局失敗する人
阿呆は問題や悩みを解決しようとしません。
人生にすべては思うがままにならないと明らめます。

本の最後の最後に、金子みすゞの詩が紹介されています。


さびしいとき

私がさびしいときに、
よその人は知らないの。

私がさびしいときに、
お友だちは笑うの。

私がさびしいときに、
お母さんはやさしいの。

私がさびしいときに、
仏さまはさびしいの。


前田信雄『国民皆保険への途 先人の偉業百年』

2016-10-10 10:42:20 | 読書
前田信雄先生は1988年~1995年札幌医大医学部(経済学)教授を務められた。ぼくがまだ涌谷時代、道立病院の町移管(静内町)問題で町長や保健所長を連れて、はるばる涌谷町まで来ていただいた。

2年前くらいに電話で取材いただき、手にある資料をお送りした。社会保険旬報誌に「皆保険夜話―国保の来し方行く末」を連載しておられて、岩手県沢内村を書き、増田進先生の後継者のような形で取り上げていただいたのです。

本は定価5300円。学術的記録のためそうなのだそうです。壮大なスケールで、国民皆保険の歴史を論じた本著が、広く若い人たちに読まれることを期待したい。

ウルリヒ・ベック

2015-01-07 23:03:46 | 読書
年明けの新聞コラムでウルリヒ・ベックの逝去を知りました。

ドイツの社会学者です。

現代社会を「危険社会」として警鐘を鳴らしてきました。

医療についてもおかしな方向になっていることを指摘しました。

ドイツは内省的国家になれたのでしょうか。

原発の危険性は日本では現実のものになりました。

日本では内省的政治家がなかなか出現しません。