旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

聴き方の次元が違う

2013-05-31 07:17:57 | 診療
そう先日、町の名士がクリニックにやってきて「夜間の看護師の電話応対が悪い、最後は謝ったけど。所長のあんたが指導しなさい」

そのとき電話応対のそばにいたスタッフに様子を尋ねたら、「指導する必要はないと思います、。ふつうに丁寧に応対してましたよ」

1週間考えてみましたが、電話という媒介物が魔ものです。

顔が見えません。表情がわかりません。目が見えません。相手がどのような人か分かりません。顔と顔を突き合わせれば、理解できることが電話ではできません。

電話をかけてくる患者さんや家族は不安です。声のトーンや抑揚で電話相手の人となりや思いを想像します。

クスリの疑問でしたら「私には分かりません」でなく、「すぐ調べて説明させていただきます」「医師に聞いてから、こちらから電話します」

まだまだ訓練が必要なようです。勉強勉強。

セルフ・コントロール!

車の中でカンファレンス

2013-05-30 22:57:30 | 診療
わが京極町に生まれ育ち、一人暮らしになって、体調を崩しわがクリニックに入院。少し元気になって西の隣り村の特養にお世話になっていたのでした。元気もなくなり、食欲もなくなったので、連絡がありました。

「病院には行きたくない。点滴もしてほしくない」と本人が言っているとのことでした。

特養にお願いした責任上、往診しました。脱水があるようでした。

枯れるように亡くなるのかな、と考えつつ、少しだけでも補液すると体が楽かなあとも考えました。

同行したわがクリニックスタッフが患者さんの背景を特養の相談員さんに聞きはじめたので、あわてて制止しました。わが町の患者さんなのにそれはないでしょう。

ああ、これはぼくの責任です。往診前にカンファレンスしてから行くのでしたねえ。予備知識がすっかり抜けていたなんて。せめて20分の車のなかでもできたのでした。

6月には南の隣り町の特養に移ります。札幌の病院に入院していた妻と合流予定です。何とか少しでも元気になって再会してほしい。頓珍漢な往診でごめんなさい。


健診事後指導

2013-05-29 22:48:52 | 地域協働
午後から町が年に2回行っているミニドック健診の事後指導担当でした。

まあ正直のところ、あまりやる気の起きない仕事です。でも新しい気づきがいくつかありました。

ひとつは健診を受けにくるのは真面目な人たちなのだなあということが改めてよく分かりました。

そして自分の健康に真面目な人は地元のクリニックになかなか来てくれないのだなあということです。多くの人が隣り町の病院に通院しています。自分の体を心配する人は少しでも大きな病院に行きたがるようです。町で健診。診療は隣り町で。これがトレンドのようです。健診に来られる人は車があって、車があると隣り町に行きやすいですのものね。それに札幌の大きな病院にも通える恵まれた人たちです。

これではクリニックの赤字はなかなか改善されないだろうなあ。

この事後指導で、医師であるぼくが担当するのは「要精密検査の人に医療機関受診を勧める」ことなのです。自分が指示して一次検査を受けてもらったわけではありませんから、ほとんど説得力を持ちません。(ごめんなさい)

さて、次ははっきりものを言ってくれた人の登場です。ぼくからの簡単な医学的説明の後「俺もうすぐ帰りたい。保健師、栄養士の毎年同じ話聞いたってしょうがない。聞きたくない。むしろ、こっちから全部指導してやりたいくらいだ。何年も同じ話聞かされたら、頭悪くたって全部覚えるよ」

知識は伝えても、それを生かす知恵が働くように寄り添ってないのですね。対象者の性格も、価値観も把握するすべは持たないヘルスワーカーでよいのかなあ?

最近届いた(?)もしかしたらずっとぼくの机の上に積んであった「日本看護科学会誌」33巻1号に、こんな論文が載ってました。「対象者中心の保健指導を実践する保健師の技術」(包國幸代・麻原きよみ)

①対象者のありのままの人生を受け入れる
②共に創る関係を築く
③生活習慣改善の方法を共に創る

ケアマネジャーさんたちに何を語る?

2013-05-28 23:27:08 | 地域協働
来週老年学会が大阪で開かれます。関連の6,7学会が同時に開催されます。ぼくがかかわるのは日本ケアマネジメント学会です。老年医学会もあるのですが、なかなか参加できません。

ケアマネジメント学会は竹内孝仁先生のご尽力で認定ケアマネジャー制度を持っています。主任介護支援専門員よりも実力を持った方々を認定し、地域でリーダー的に後輩たちの指導に当たってほしいという願いも込められています。

この方々は「認定ケアマネジャーの会」を組織しています。会長は現在白木裕子さんです。今回白木会長からの依頼で「地域医療の立場からケアマネジャーへの期待」を語ってほしいと依頼されました。

もやもやしていたことを整理して語ろうと考えているのですが、なかなかまとまりません。パワーポイントの資料も作っては書き直しています。最初、前半に医療のゆがみを語ろうと考えたのですが、はたして意味があるのかと悩み、次には自分の青春、特に精神成長史を語りたいと思って悩み…。でもこちらのほうが皆さんに役立ちそうです。

でも年寄りの昔語りではインパクトはないかな?  今も少年のように生きているならよいのかな?  しばらく悩みながら準備です。でも資料はとうに締切日が過ぎています。

特養の方針

2013-05-27 22:51:54 | 地域協働
喜茂別町立クリニック(指定管理者渓仁会)の先生方がご挨拶にきょう午後に来られました。

スタートしたばかりで、お忙しい様子です。

先日竣工祝賀会のあった「喜らめきの里」ですが、入所者に医学的変化があったときの対応を相談しましたが、クリニックの医師が不在の時は遠いグループの医師が対応するとのこと。うーん。よろしいのでしょうかね?

このへんがきちんとしていないと結局地域の中核的病院である倶知安厚生病院に負担が大きくのしかかるようになります。もっともっと協議しないといけませんね。

今後は福祉施設看取りの問題も課題です。地域でのネットワーク医療は実現するのでしょうか?