旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

肝障害と貧血

2011-11-08 23:13:50 | 診療

こちら豪雪地帯では太った人が多く、アルコール好きの方も多くいます。雪見酒はいいですものね。

(以下、個人情報保護のためにぼんやりと警告です)肝機能異常と貧血のある方が外来を訪れました。

アルコールはたくさん飲めば肝臓をやられます。休刊日ならぬ休肝日をつくるとよいですよ。「2-2-2の酒飲みになりましょう」なんて昔、涌谷町の健康教室で説教してました。

最初の2は1日2合以内(日本酒の場合、ビール党は大瓶1本、焼酎なら1合以内かな)。

次の2は週2日は休肝日をつくりましょう。(週休2日制)

3つ目の2は時々2日つづけて肝臓を休ませましょう。(肝臓連休制)

他にもいろいろな言い回しがあるかもしれません。

きょうは肝臓を傷めるとどうして貧血になりやすいか、という話です。

貧血は赤血球が小さくなったり、少なくなったり、壊れやすくなったりして起こります。

まず大酒飲みは食事をほとんど摂らない。すると栄養不足。ビタミンB12や葉酸が不足すると赤血球が骨髄でうまく作れなくなって、赤血球の1個1個が大きくなって数が減り貧血になります。

それから肝臓が悪いと肝臓への血流が悪くなって、痔になったり、食道静脈瘤や脾臓が腫れたりします。痔や静脈瘤から出血すると赤血球が減って貧血になります。

さらに肝臓でのみ合成されるLCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)が低下すると、赤血球膜のコレステロールが増えて、標的赤血球と呼ばれたり、メキシコ帽子(メキシカンハット)と呼ばれたりする赤血球の形が変わります。おそらく赤血球が大きくなり、柔軟性もないと脾臓でも壊されやすくなるのでしょう。

というようなわけで、昔は肝臓が悪くて貧血があれば輸血という考えの医師が多かったのでしょうが、今回はまず禁酒から始めることにしました。肝臓が元気を取り戻せば、貧血も治るでしょう。ぼくのキンケツ(金欠)病は一向に改善の兆しが見えませんが…。