旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

「支える」より「寄り添う」(柏木哲夫先生)

2015-04-26 11:03:43 | 診療
4月25・26日 盛岡市で開催された日本在宅医学会で柏木哲夫先生のご講演の座長を務めました。

講演要旨をお伝えします。

柏木哲夫先生「緩和ケアのこころー支えること、寄りそうことー」


ケアには
差し出すことのできる技術力
支えることのできる技術力と人間力
寄り添うことができる人間力
背負うことのできる宗教の力
が必要である。

 宗教 人間力を超えたものも必要な時がある。

がんの病期における基本的態度がある。
  治療期  励ます
  再発進行   支える
  末期がん  (支え切れなくなるため) 寄り添う

「支える」と「寄り添う」の相違
  支えるは下からの力。支えないと支えられる人は落ちてしまう。             寄り添うは横からの力。寄り添えば人は進むことができる。

がんの末期の人が「死んでゆく力を持っている」ことに気づいた。

   励ます               寄り添う
    人を外から動かす            逃げ出さず空間を共にする
    自分はあまり関与しなくてよい      参加する
    上から                 横から

     励まされると腹立つことがある(震災後がれき処理中)
     「大変ですねえ」と言って参加する方が良い
   
 技術の提供と人間の提供
  支える技術      寄り添われると   感謝と安らぎが生まれる   

   ある緩和医療医の  
     「症状のコントロールができたら私の仕事は終わりです」という言葉に驚いた。
     
     症状を緩和して(技術を提供して支えること)  終わってよいか

     「支える」客観的効果が感じられるたら、それで終わってよいのか。

    引っ張り症候群
      クスリが効いているようで死の準備ができない  引っ張り症候群
      死の受容への準備に対する援助ができない
   寄り添う人に求められるもの
      人間力
   聴く力  共感する(イメージで 医師と患者を入れ替える)、 
   受け入れる   思いやる   理解する  耐える  引き受ける
   寛容な力  存在する力(逃げ出さない)
   ユーモアの力

   聞くと    聴く
   耳      耳と心 目と目を合わせて心を耳にして
   hear listen

   ユーモア     ラテン語   Humores  体液

   フランクル   ユーモアは必須 自己距離化 距離を置かせる働き
    
    川柳はユーモアをうまく表現できる
    「お守りを  医者にもつけたい  手術前」
    Coping Humor
俳句より  四季を(死期)を考えない川柳が良い
   
      寝正月でいいから家に帰りたい
        がん細胞   正月くらいは  寝て暮らせ     


キューバの医療(再掲)

2015-04-23 07:14:24 | ケアマネジメント
NEJMの2013年1月24日号に「キューバの医療モデル」が報告されていました。

・・・走っている車は1950年代より前のもの。クレジットカードも、スマホも使えない。でも医師は多く、誰もが家庭医を持っている。医療費は只。家庭医はナースや他のワーカーとともに働き、都市部では一人の家庭医は約1000人の患者(住民)を担当し、プライマリ‐ケアと予防サービスに力を入れる。カルテは手書きでシンプル。
 すべての患者はリスクに応じて4段階に分けられる。喫煙者はⅡ、慢性肺疾患はⅢなどであり、それぞれの人数が行政に報告される。血圧や糖尿病の状態や予防接種、健診の状況も報告される。
 すべての患者が年1回以上家庭訪問を受け、必要があれば専門医に紹介され治療を受ける。
 構造化された予防中心のシステムは寿命を延ばし、予防接種率は世界一、乳児死亡率を大幅に改善してきた。栄養と教育が大きな貢献をした。教育水準も高く、健康教育が義務教育のなかでも重要な位置を占める。喫煙率も大きく低下。
 私的医療は皆無。医師は住まいと食糧補助金が国から提供されるが、給料は月20ドル。教育は自由。尊敬されるが、個人的財産を増やすことはない。
 専門医は少なく、医療技術も高くはない、製薬産業も独自。・・・・・

春の雪、されど春

2015-04-08 06:46:31 | 日記
きょうは久しぶりで雪が降りました。気温も結構下がりました。

今週から、新しく専攻医(後期研修医)が1名研修を開始し、北大医学部から実習生も来ており、昨晩は二人の歓迎会でした。

二人とも地域医療、総合診療、家庭医療をめざしているので、診療所での勉強はビシッビシッと身についているようです。

歓迎会はサポーターの会の皆さんも参加してくださり、大いに盛り上がりました。

志ある若い医師の参加は町にとってもプラス面が大きいと思います。

実地訓練も優しく厳しくがんばりましょう。