旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

講演のお知らせ

2018-05-18 06:05:28 | ケアマネジメント
明日はぜひ、札幌市大谷地にある北星学園大学に足を運んでください。

13:00~14:10 市民公開講座があります。主催は日本ケアマネジメント学会です。

「地域まるごとケアーあるがまま、ないがままー」がテーマです。

京極での悪戦苦闘の物語を語りたいと思います。

 地域をまるごとケアできると考えるのは医師のおごりかもしれません。どんなに有能な仲間がいても、それは難しい。
 でも、地域をまるごと愛そうとすることは尊い想いで。家族愛と同様、地域愛に燃える人がいないと地域はさみしい。
 定年退職後、縁あって北海道豪雪地帯にある人口3100の町の診療所に赴任しました。
 地域医療の現場で三つのモデルを考えてきました。医療介入モデル・生活支援モデル・人生観察モデルを患者さんの状況により使い分けるものです。
 医療介入モデルは病気で悪くなった部分を取り除く治療中心のモデル。衣食住など患者さんの生活改善、そして介護予防の面での支援、介護・福祉との連携が必要となる生活支援モデル。さらに人生観察モデルは、認知症、癌のターミナル・ケアのように、治療が難しい場合は、「そばにいる」ことしかできない。その時、どう臨んだらよいかというモデルです。その人の人生に寄りそい、その人の心の声を聴くようにします。でも、言葉で言い表せないこともあるので、その人の生活史を知り、直観を働かせ、あるがままを尊重し、絆を大切にしようとします。
 特に人生観察モデルが求められるケアが必要なのは認知症の人、看取られる人、心身の障がいを持たれる方々へのケアです。
 最近、認知症の方を診ることが多くなっています。認知症についての啓発活動をしたり、小学生を含め住民全員がサポーターになれるような地域づくりを進めています。
認知症は4つ病型に分類され、その5割はアルツハイマー型認知症です。物忘れのほか場所・時間・人の見当識、段取りする力が落ちる特徴があります
 オーストラリアの認知症当事者クリスティーン・ブライデンさんが考える「私」の構造は三層になっていて、一番外側の認知機能、すなわち短期の記憶、場所、時間、人の認知が崩れていく。次に第二層の感情、喜怒哀楽をコントロールする働きが弱ってしまう。そのうちにアパシーといって、感情表現すらできなくなる。しかし彼女は、そうなっても芯にある「スピリチャルな自己」は死ぬまで残ると表現しています。
 「スピリチュアルな自己」を実際にどうケアするか、難しいです。しかし、方法はいくつもあります。看取りのときも、心身の障がいを持たれた人のケアにも通用するつながりのあり方が今、問われています。「ないがまま聴く」ことも必要な技法です。