旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

なつかしい人あらわる

2014-06-30 23:23:13 | 交友
夕方突然に市立恵那病院長の細江雅彦君がクリニックに奥様と一緒にあらわれました。

自治医大の4期生岐阜県出身です。自治医大時代は高久ゼミの2期生で一緒に内科英語テキストを輪読したりしたのでした。

岐阜県立下呂病院時代はお宅にお邪魔して泊めてもらいました。連れて行ってもらった下呂温泉もいい湯だったのを思い出します。

北海道にはきのうPC学会の講習会に参加、これから函館を回って、明日は恵那に戻られるとのこと。しばし旧交をあたためました。

これからは在宅医療の力を入れたいとのこと。地域への情熱は健在です。

議員さんたちも必死

2014-06-28 23:55:51 | 地域協働
道東のある町の議員の皆様が寿都町とわが町を訪ねてくれました。

寿都の診療所で家庭医療をわがクリニックで地域医療を学ぼうということです。

地域医療について理念と実際を解説させていただきました。

たいへんうれしいことであったのですが、なぜはるばる道東から西の端に近い寿都や京極まできてくれたのでしょう。

医師の姿勢が問題のようです。年俸を毎年100万円ずつ昇給要求する。患者はできる限り診ない。町民は町外の医療機関に走る。

んーん。困りましたねえ。

改革方針を指定管理者制度にして、経営を町外の医療機関にゆだねる・・・あたりから手がけていくのが近道かもしれませんね。

松本市は元気です

2014-06-21 23:23:10 | 地域協働
昨日、東京の会議を経て、長野県松本市に移動しました。

老人保健健康増進事業検討委員会の懇親会に参加。二次会はなつかしい友人たちとカラオケ。

さて、本日はまず「生活アシストセンター松本」を視察。1階が健康増進型デイサービス見事(みごと)。基本理念は「ピンピンきらり わたしらしく、いつまでも」。

2階はサービス付き高齢者住宅「千歳緑(ちとせみどり)」20室あります。

デイサービス見事は「男が通いたくなるデーサービスをつくりたい」という発想のもと、「夢のみずうみ村(山口県)方式にならって①一日の過ごし方は自己選択、②利用者ができることからはスタッフは手を引く、③施設内通貨を使ってリハビリテーションへの動機づけを行い、④健康運動指導士による運動プログラムを実施するものです。

自分でプログラムを決めて実施する・・・セルフコントロールは健康の素です。そこが生かされているのがとても良いしくみと思われました。

さて委員会ではこの取り組みの有効性を示していくにはどうしたらよいかという議論になりました。

長野県はもともと元気のよい人の多い件です。医療費は安く、寿命は長い。さらに松本市は「健康都市宣言」をしているのです。

個人の変化をみていくことはできますが、集団として変化をみることはなかなか難しそうです。コントロール群をおくとよいのでしょうが、協力してくれる施設はどうでしょう。

内面的な健康指標も使えるとよいのかもしれません。

研究はともかく、デイサービスも創意工夫がなされ、多様性を重視しつつ変革されていくことを期待したいと思います。勉強になりました。

スピリチュアルケアを身近なものに

2014-06-17 06:15:41 | 読書
岡本拓也『誰も教えてくれなかったスピリチュアルケア』(医学書院 2014年4月)を読みました。書評というか、推薦の言葉を書いてみました。

的確な日本語訳のない用語は理解が難しい。スピリチュアルケアもそのひとつである。「霊的」「魂の」「精神の深い部分の」などいずれの訳語もピンとこない。

新進気鋭のホスピス医岡本拓也君がこの問題に取り組んだ。その基礎となっているのが構造構成理論である。岡本君は単著第一作『わかりやすい構造構成理論』(青海社)でケアに関わる理論的枠組みを示した。

そして今回、その哲学的基礎の上に立って『誰も教えてくれなかったスピリチュアルケア』を上梓した。

本書がめざしているのは、スピリチュアリティ、スピリチュアルな経験、スピリチュアルペイン、そしてスピリチュアルケア、これら4つの概念の相互関係を明らかにすることである。

まずは第1章でケア担当者が日常臨床で用いている技法を解説する。物語への傾聴、音楽、食事、ユーモアと笑顔、愛することなど、さりげなく交わされるふれ合いの中にケアの真髄を見出すことができる。

2,3章は個別性の理解をふまえて、「スピリチュアルな経験」を解説する。すし職人であった方の「しめサバ握りの物語」はホロッとさせられる。そして、4章から5章ではスピリチュアリティの内容を考察する。それを深めていくことによって、人間が経験によって築いていく「意味・価値・目的」の具体内容を明らかにし、人間だれもにに備わっているスピリチュアリティの本質に迫る。医療では重要な課題なのに、医学ではほとんど無視されてきた領域に光を当てる。

そして6章はスピリチュアルペイン、7章はスピリチュアルケアを定義づける。ここで著者が強調するのは、スピリチュアルペインやケアが、ある限られた分野の特殊な状況で生じることではなく、日常生活のただなかで感じ合う痛みであり、ケア担当者があらゆる場面で持つべき態度・姿勢であることである。

本書を読んで抵抗を感じるとすれば、それは構成構造理論の用語がしばしば使われていることであろう。著者はそのために「より詳しく学びたい人のためのコーナー」「Q&A」を使ってやさしく解説する。そのなかにも珠玉の言葉がちりばめられている。

ケア担当者すべてが活用できる本である。特にプライマリ‐ケア分野で全人的アプローチの振り返りに役立てていただきたいと願う。