旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

認知症の人とのコミュニケーション

2011-08-31 23:39:18 | 地域協働

介護支援専門員の研修改善ワーキンググループの会に出て、一方明日旭川での専門研修Ⅰ「認知症高齢者・精神疾患」の講義どうするか、考えながら日が暮れました。

認知症ではパーソンセンタードケアが言われていますが、研修も受講者中心でなければならないのに、今の研修は遠く離れている気がします。

もっともっと受講生の個別性が重視されないと、ニーズにマッチした研修にならないでしょう。座学で講義という形は最小限でいいですね。

専門研修で「認知症高齢者・精神疾患」を講義となれば、精神科医が出てきて診断・治療の話をしてお茶を濁す・・・となりそうですが、たまたま介護支援専門員協会が準備したガイドライン案がこの部分で、アセスメントやサービス利用の視点で講義すべきと勧めています。

なるほど良いケアプランをつくれるように、精神疾患を開設するのだなと理解できてよかったと思います。

さて、コミュニケーションが取り難い人をアセスメントするにはどうしますか。

ごくごく普通の人の営みを想像しながら進めることでしょうね。食事、排せつ、睡眠を中心に暮らしぶりを観察して、少しでも人間らしく、周囲の人との軋轢が少ないように考える。そして、生きてきた物語をあたためてさしあげて、語りを促す。

 


「ふれあいケア」編集会議

2011-08-30 23:09:51 | 日記

今日は夕方から「ふれあいケア」編集会議です。上京しました。

新患担当の外来を終えて、倶知安をたちまして新千歳空港をめざしました。な、なんと喜茂別から、車の前を白バイが走っているではありませんか。

白バイの運転手は髪が長い。女性のようです。制限速度はしっかり守ります。どこかで止まってくれると思いきや、ずっと同じ道を走ります。50㎞以上、白バイ先導で走りました。

おかげで空港に遅刻。搭乗締切に1分遅れてしまいました。

なんとか遅刻せず全国社会福祉協議会に着きました。

「ふれあいケア」は介護の仕事をしておられる方々のための月刊誌です。編集委員は福祉施設の施設庁の方や介護系職能団体の役員の方で、介護現場のいろいろな問題や悩みを聞くことができます。

医療従事者の集まりよりも、なんとなくホッとするのは福祉の心を持った方々の集まりだからでしょうか。私自身は異質な人間で皆さんにどう映っているのでしょう。

いま医療も、福祉・介護との連携をスムーズにし、福祉から学び取ることも多いことをしっかり受けとめなければならないでしょう。


後志町村地域医療人育成協議会総会

2011-08-29 23:09:20 | 地域協働

午後1時から総会が開かれました。

平成21年度に内閣府から「地方の元気再生事業」として採択され、任意団体であるこの協議会が結成されました。

会長は蘭越町長の宮谷内留雄さんが務めています。19町村が参画しています。医療に対する町村長の熱意はいろいろですが、少しずつ底上げができているのではないかと考えています。

少ない予算ですが(年80万円程度)、この協議会の課題は多く、今年は羊蹄山麓の一次救急、在宅・福祉施設での看取りなど山積しています。

今日も医師確保の問題など、協議しました。

牛歩だとは思いますが、将来地域医療を志す医師が多く集まってくれることを夢見て方策を立てていきたいと思います。

そう考えるぼくはこの協議会の事務局長をしています。


東北復興への期待―PC連合学会東北ブロック支部設立

2011-08-28 19:57:32 | 学会活動

日本プライマリ-ケア連合学会の東北ブロック支部の設立総会があり、仙台に来ました。

東北大学の濃沼信夫教授が支部長になり、顧問を宮城県医師会長の伊東潤造先生が引き受けてくださいました。

祝辞とともに講演「東北復興への期待」をしました。

要旨は前半、学会のこの5年の歩みと若い医師への期待を述べました。2月20日の学会若手医師部会で臨床診断能力だけでなく、患者さんの心の問題に強くなることと、社会システムに精通し、政策的な医療を行える医師になってほしいと述べてました。

それを紹介した後、後半部分で医師不足の東北地方で、特に被災した沿岸部でどのような医療が必要かを話しました。

医療ニーズの的確な把握、特にプライマリ-ケア部分がどうだったかの検証が必要でしょう。病院依存、クスリ依存の医療になっていないかどうか。

専門医療技術集積型の中核的な病院の一層の充実を図ること。東北大学のマグネットホスピタルを3か所設置すべきという考え方に賛同します。それ以外はプライマリ-ケアに徹するべきで、中途半端な病院は認めないという政策を行政も、住民も理解すべきでしょう。

中核病院以外は外来診療、在宅医療、福祉・介護との連携を重視した地域協働型プライマリ-ケアを実現すべきです。

といっても、喪失体験で心痛む人々には、あたたかく接することが大切でしょう。ゆっくりでいいから、災害の意味をかみしめ、故人との対話をしつつ、自分の生きる意味を回復していく、喪の作業(グリーフワーク)やスピリチュアルなケアが求められています。

そして若い方々が仕事できるように工夫していくことが必要でしょう。

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午後は震災関連のシンポジウムがありました。最後まで参加して、先ほど北海道に戻りました。

 


うつ病診療から学んだこと

2011-08-27 06:10:35 | 診療

 本日の講演の骨子です。北海道MD(軽症うつ病)研究会は10年間続けてきましたが、本日が最終回で、会長であったぼくが特別講演を担当しました。

・あらゆる患者がうつを併せ持つ
   脳血管疾患患者の多くがうつ的になる。糖尿病患者もうつ病の合併が多い。慢性疾患によって長期の療養をするとうつ的になる。うつ的素因のある人は慢性疾患にり患しやすい。どのような病気でも患者の心に配慮する必要がある。
・認知症うつ病の共存に配慮する
   わが国ではすでに300万人近くが認知症になり、その初期には本人は表現できない不安や戸惑いがあることが分かってきた。うつを合併したり、うつ病の人も認知機能が低下する。その際、どちらの病気か鑑別診断するよりも、両疾患が併存する可能性を考えてケアすべき。
・うつ病診断は難しいが、自己カンファレンス(リフレクション)を続けること
   近年双極性Ⅱ型が存在することが明らかになった。軽そうとうつが交互に起こる。「そう」ほど逸脱はしない。境界型人格障害との鑑別も難しい。
   新型うつ病も鑑別が難しい。統合失調症や発達障害との見分けが困難なこともある。
   うつ病の治療も軽症、中等症では抗うつ薬とプラセーボの効果有意差がない。重症者では差がある。したがって、鑑別がつかない場合、精神科への紹介が難しければ、総合医が根気よく診ていくことが最良である。
 
・労働環境を学びの環境に変える
   労働環境と本人の適性が合わない場合も多くなっている。環境がストレス源になるか、環境を学びの場と受けとめられるかどうかが発病を左右する。
 
・一番大切な治療法はつながりを持ち続けること
   故稲村博先生の「心の絆療法」を紹介した。特徴は逃げ出さない。根気よく付き合いを続けること。