肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

素敵な仲間とのお食事会 インターネットで結ぶ肝炎患者と支援者の会

2017年09月16日 | 患者会
 
東京での医療講演の前日、インターフェロン時代からのインターネットネットワークでつながった仲間が集まってオフ会がありました。辛かった時期、辛かった体験それを乗り越えて今がある。そんな話もしながら、今の充実これからの仲間の幸せを願ってみんなそれぞれに関わっている姿。とても感動的です。そんな仲間と出会えたこと。本当に宝物です。これからも多くの人を笑顔にしていけるように過ごしていきたいと思います。

第24回日本門脈圧亢進症学会総会行ってきましたー

2017年09月16日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
第24回日本門脈圧亢進症学会総会行ってきましたー。
写真は会場のビル、ビルに緑が沢山ありました。虫の声もしてて、人工的な自然がビルと共存してる感じ。東京コンベンションセンターっていう会場なのですが、ビル自体は東京スクエアガーデンって言う方がまだわかりやすいみたい。タクシーの運転手さんはなびを使って探す時代になっているって感じでした。

聞きながらのメモなので、誤字脱字内容間違いあり得ますことお許し下さい。
懇親会で、小原会長が、食道静脈瘤研究会と門脈圧亢進症研究会が始まってからちょうど50年とのこと。歴史ある分野になってるんですねえ。

プリナリーセッション
肝動脈化学塞栓療法による門脈血行動態の変化 山口大学 西村達朗先生
DEBとリピならリピの方が門脈血行動態に影響が強かったと。しっかり奥までいく感じですかねえ。

MREを用いた比進取的な食道静脈瘤の診断と管理 横浜市立大学 松井先生 
肝硬変の患者さんの食道静脈瘤の診断フォローアップで、内視鏡検査をしなくてもいい基準としてMREと血小板で4.2kPa未満、18万未満ならまず食道静脈瘤はなさそうっていうことでした。ただ、0ではないので、、、胃がんチェックをかねた内視鏡検査も有りと考えると、したほうがいいのかなあとは思ったりします。出てくる単語はわからないのが多かった。。。統計の単語なのかな。ううう。

急性期より経時的な肝血流と病態変化を捉えてた門脈血栓症の3例 聖マリアンナ医科大学 重福隆太先生
キセノンCTで、肝血流量の動脈と門脈の状態を把握していました。最初は動脈有意になって後から門脈有意になってとしっかりと綺麗なデータが出てきたのでわかりやすいなあと思ってみていました。側副血行路が発達しないと萎縮していました。

高齢者門脈圧亢進症の門脈・全身血行動態 田野病院外科 近森文夫先生
65才で40例ずつで検討 いつもながら詳細なデータをとりつつ検討しているので勉強になります。門脈の血行動態は年齢では変化はないが全身血行動態は変わってくると、演題とは少しそれるのですが恒例でのPSEでの注意点をきいてみました、きっと近森先生ならやっていると思うので、85才とかでのPSEでは合併症として肺炎など注意が必要とのこと

肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法後に生じた肝動脈門脈短絡路による門脈亢進症増悪合併症の検討 金沢大学 山宮先生
RFA後のAPシャント1割くらいの合併という報告もあり、今回は門亢症が生じた症例での報告でした。APシャントを閉じることがその後の肝予備能を左右すると言うことではやめに閉じるのがいいと司会の林先生からは意見がありました。
注意しなくてはならないですねえ。

C型代償性肝硬変に対するDAA治療前後の食道静脈瘤の変化 札幌厚生 中島知明先生
DAA治療後肝臓に与える影響、静脈瘤の治療を行った症例を中心に検討。治療を行っている症例では再発などの抑制効果はなかったよう。確かにできあがっている硬い肝臓の門亢症が改善するまでの期間は要注意だなあと思いました。
肝硬変で自然にSVRとなった症例で静脈瘤が改善していたのはとても勇気づけられました。今後門脈圧の改善に絡むデータがどんどん出てくれるといいなと思いました。
初期の静脈瘤だったら改善する可能性もあるんだろうなあと期待したいところですね。

小腸の静脈瘤の治療の報告はヒストアクリルを使って治療をしている報告がありました。いよいよ小腸領域が治療される時期に来たって感じですねえ。

門脈血栓症の治療戦略 シンポジウム
基調講演門脈血栓症の治療戦略 船橋市立医療センター消化器内科 松谷正一先生
門脈血栓の出はじめの肝臓と似たエコー輝度だと溶けやすいく、硬い高エコーや、低エコーになると溶けにくくなっているという画像を見せてもらって、勉強になりました。薬については、ATⅢ製剤が保険適応になったので、これとダナパロイドナトリウムを組み合わせるのが理想的な気がします。
内服の治療が安心してできるようになるともっと楽になるなあと思ってみていました。
ダナパロイドについては、北海道で検討したときに出た結果とほぼ同じような発表が多かったです。5日以内の投与ではあまり効いてないので14日はいいところなんだなと思いました。

B-RTO研究会に参加
パネルディスカッションの最新のBRTOというところでは、さまざまな工夫がされていることが報告されていました。
ちなみにB-RTOと記載していたのがBRTOと—無しに統一することになったそうです。ハイフンがあるかないかで別の手技になったりするので注意しましょう。
国際的にもハイフン無しが当たり前にもなっているそうで、金川先生がはじめたときはハイフンあるほうがいいってことだったと思ったけど。時代と共に変わっていくのねえと思いました。

BRTOに使うオルダミンという薬の適応が胃静脈瘤の退縮にひろがりました。BRTOに使うことができる薬の承認を広げることが医師主導臨床治験で行われ、その報告が最初の演題。45例集めるのが大変だったと。
いろんな手続きを踏み、解析など多くの方の協力で実現。1991年に開発された手技が、やっと保険適応の状態になりそうな形へ、私もいっしょに歩んできた手技なので、感慨深いです。それにしても沢山の先生が行う手技に成長してきてるんだなあ凄いなあと思います。過去のBRTO勉強会の時に分析されたことが今一度報告されているのは不思議な気持ちがします。論文化してないから、当時を知らない先生方には新しい話になるんだなあと変に納得して聞いている私でした。

ポルトシステミックシャント(Portsysutemic shunt syndrome PSS:門脈体循環短絡路症候群って訳すかなあ)これが肝臓の予後を悪くすると言う話が当たり前になってきて、脳症などにはBRTOなどによりシャントを閉じることで予後が改善するというのが言われるようになってきています。早いうちにする方がいいのかも知れないけどまだそこまでは言えないかなって発表が山口の石川先生からされていました。安全にできるなら私も早いほうがい胃のだろうなと思っている一人でもあります。
その中で脳症の患者さんの門脈は遠肝性で、胃静脈瘤の患者さんは求肝性が多いというのはなんとなく頷ける結果でした。この方向の変化が起きてくる前か後くらいにできるのがいいのかも知れない。

カテーテルや、コイル、NBCAなど使う薬剤の工夫もより手技を成功しやすい方法として進歩しているし。塞栓をする位置や方法もいろんな方法があり得るもんなんだなあと感心しきりでした。
PARTO(プラグを使う)、CARTO(スポンゼルとコイル)
コイルを使う際の径については、動脈のように1.2倍くらいではゆるいようで、1.5倍くらいは必要とこの辺のさじ加減が大変かなと。

今回も専門分野のエキスパートが集まって、いろんな議論が沸騰していて面白い学会でした。来年の3月の北海道の研究会もまた盛り上がってくれるといいなあ。