2021年のEICMAで発表された「ロイヤルエンフィールド社」のプロトモデル「1901年式-オリジン」は当時のスタンレー自動車ショーに展示された
同社の初号機で、開発当時のモデルを忠実に再現したものだったりします。現在の「ロイヤルエンフィールド社」は、英国を離れインドに拠点を持つ
会社となっていますが、そもそもインドは、かつての大航海時代から産業革命期に渡り「英国の植民地」だった事もあり、現在の状態に至ってると
されています。またこの「プロジェクト・オリジン計画」は現存する車両がなかったので、当時の拙(つたな)い設計図や、複数枚の写真を元に復元
されており、分かりにくい部分も多く、かなり難航して制作された1台となっています。また制作にあたっては、英国の技術者とインドの技術者合同で
行われており、搭載されてるエンジンは空冷式の単気筒で排気量が250cc、最高出力は1.75psで、クラッチや変速機を持たず、ペダルを漕いで発進始動
と言う仕組みとなっていました。またスロットル操作はハンドルに付いており、キャブレターとされる機械は一応備わってて、吸気システムはシリンダー
内が完全な真空になると開閉し、排気システムは何とガソリンタンクの右側にあるハンドルレバーを操作する事で、手動的に行われると言ったものだ
った様なんですよね。要は溜まった廃棄ガスをある一定の量まで貯めて、手動で排気するシステムとなってる訳です(笑)。さらにブレーキは自転車
同様で、フロントは左側についてるブレーキレバーを使用し、リアはペダルをバック向きに動かせば制動する構造となっています。今回のプロジェクト
を受けて、まさに1から制作されたエンジンは、当時と同じオリジナルの鋳造方法に乗っ取って行われており、その再現性は非常に高いものがあります。
また使われてるスチール(鉄)や真鍮(しんちゅう)は全てハンドメイドで加工されており、エンブレムやケーブルなども細かく再現されつつ作られてて
とても良い感じです。まさに当時の現存してる車両をオーバーホールしたかの様な、100年以上前に作られたオートバイである雰囲気を醸し出しており、
ガソリンタンクからラッパ式のクラクション、初期のバッテリーや革製シートなど細かい部分までしっかり味わい深い作りとなっています。また写真を
見てもお分かりですが、エンジンはハンドルの下に搭載されてて、革製のロングベルトを通してリアタイヤへ駆動を伝えており、当然ながらサウペンション
なんてものは付いておりません(笑)。まさに自転車にエンジンを搭載しただけの乗り物で、オートバイの起源を知る1台と言えそうです。日本で国産の
オートバイが本格的に作られる様になるのは戦後からなので、ヨーロッパ、特に英国ではいかに早い時点でもの作りが行われてたかを知る事にもなります。
さて、今日は唐突にクラシカルな「ロイヤルエンフィールド社」の初号機となる「1901年式-オリジン」を見てみましたが、いかがだったでしょう!(笑)