先週NHKスペシャルで「総理秘書官が見た沖縄返還~発掘資料が語る内幕~」という番組がありました。NHKのホームページでの説明によると
というものです。
その中で、いくつかの「新事実」が明らかにされていて、今の「安保法制」論議にも関連して興味深いものでした。
私が興味深かったのは、1972年の沖縄返還に至る初期の段階での「核抜き」ということに関する日米の交渉の攻防に関することです。
当時は、まだ東西冷戦の厳しい関係が続いていた時期ですし、ベトナム戦争も行われていた時期です。その中でアメリカの極東戦略において「核配備」というのは重要な位置づけをされていたのだろうと思います。また、日米の関係についても大きな実力差があり、政治的経済的な全体としての「対米従属」の程度は今よりも大きなものがあったのではないか、と思えます。
そのような中でも、当時の日本政府は「核抜き」ということを「国民の総意」として強く主張した、ということが明らかにされていました。交渉の中で三木外相があくまで譲らないので、交渉後にアメリカ側の交渉責任者が「激怒していた」との証言もありました。
今だったらどうなのだろう?と考えてしまいます。力関係的に当時ほど「対米従属」しなければならない理由はなくなっているように思えるのですが、逆に「日米同盟」という名のもとに、よく言えばアメリカに寄り添い、悪く言えば従属する関係が強められているように思えます。
外交交渉というのは、そもそも異なる利害や主張がある、ということを前提にして、その調整をつけていくものです。こちらの主張を強く出せば、相手方が気に入らないのは当然のことです。相手の機嫌ばかり気にしていたら、自分の主張は通らなくなります。かと言って、自分の都合ばかり言っていても、客観的状況に適合していなければ、かえって自分の立場を悪くしてしまいます。
・・・こういう外交交渉を、1960年代の日本の政治家は結構頑張っていたのだな、と感じました。「政治の劣化」ということがよく言われますが、外交交渉にそれが表れてしまうと死活的な問題になってしまいます。
1972年、アメリカからの沖縄返還を成し遂げた佐藤栄作元総理。この歴史的交渉を間近で見た秘書官が残した資料が見つかった。沖縄返還を巡っては、これまで民間人の密使である若泉敬の手記は明らかになっていたが、官邸中枢の記録が大量に見つかったのは、初めてのことだ。
佐藤政権は、沖縄返還をどのようにして成し遂げたのか。そして、アメリカ政府との間で、どのような駆け引きがあったのか。資料をもとに、現在の基地問題や日米関係へとつながる、戦後日本の転換点・沖縄返還における政権中枢の決定とその過程に迫る。
佐藤政権は、沖縄返還をどのようにして成し遂げたのか。そして、アメリカ政府との間で、どのような駆け引きがあったのか。資料をもとに、現在の基地問題や日米関係へとつながる、戦後日本の転換点・沖縄返還における政権中枢の決定とその過程に迫る。
というものです。
その中で、いくつかの「新事実」が明らかにされていて、今の「安保法制」論議にも関連して興味深いものでした。
私が興味深かったのは、1972年の沖縄返還に至る初期の段階での「核抜き」ということに関する日米の交渉の攻防に関することです。
当時は、まだ東西冷戦の厳しい関係が続いていた時期ですし、ベトナム戦争も行われていた時期です。その中でアメリカの極東戦略において「核配備」というのは重要な位置づけをされていたのだろうと思います。また、日米の関係についても大きな実力差があり、政治的経済的な全体としての「対米従属」の程度は今よりも大きなものがあったのではないか、と思えます。
そのような中でも、当時の日本政府は「核抜き」ということを「国民の総意」として強く主張した、ということが明らかにされていました。交渉の中で三木外相があくまで譲らないので、交渉後にアメリカ側の交渉責任者が「激怒していた」との証言もありました。
今だったらどうなのだろう?と考えてしまいます。力関係的に当時ほど「対米従属」しなければならない理由はなくなっているように思えるのですが、逆に「日米同盟」という名のもとに、よく言えばアメリカに寄り添い、悪く言えば従属する関係が強められているように思えます。
外交交渉というのは、そもそも異なる利害や主張がある、ということを前提にして、その調整をつけていくものです。こちらの主張を強く出せば、相手方が気に入らないのは当然のことです。相手の機嫌ばかり気にしていたら、自分の主張は通らなくなります。かと言って、自分の都合ばかり言っていても、客観的状況に適合していなければ、かえって自分の立場を悪くしてしまいます。
・・・こういう外交交渉を、1960年代の日本の政治家は結構頑張っていたのだな、と感じました。「政治の劣化」ということがよく言われますが、外交交渉にそれが表れてしまうと死活的な問題になってしまいます。