管内では,野生獣による農作物被害が近年,拡大しつつあります。特に,山間部にある大崎市鳴子の上原開拓地区は酪農地帯であることから,飼料用トウモロコシの栽培が盛んで,クマによる農作物の被害面積が急増しています。地元の酪農家から,被害を回避するための対策を求められたことから,地域に適応した飼料用トウモロコシの品種の選定試験も兼ねて,クマ被害回避のための試験ほを設置することにしました。クマはトウモロコシの子実が大好物であることから,まず,外周にソルガムを栽培して見えにくくした上で,電気牧柵を設置する計画をたてました。試験ほの酪農家は,生協に生乳を出荷する関係で,原料中に,内分泌攪乱化学物質を含まない除草剤の使用が義務づけられていましたが,その薬剤によりソルガムが枯れてしまうというアクシデントが発生しました。しかし,3種類の電気牧柵線を,その特徴(電流の強さ,視覚)を活かして約600㍍にわたって張った効果のため,お盆前には全品種が出穂揃いとなり,9月下旬の収穫調査まで三週間未満となった現時点まで,クマが電気牧柵の周囲に近づいた形跡はあるものの,いまだ被害はありません。近隣のほ場では,8月中旬からクマによる被害の報告があるため,不安は隠せませんが,このまま何事もなく推移して欲しいと考えています。普及センターでは,良好な試験結果が出れば,管内で獣害に苦しむ農家に対して,電気牧柵の普及啓発を図ってまいります。
<連絡先>
宮城県大崎農業改良普及センター先進技術班
TEL:0229-91-0726 FAX:0229-23-0910
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