著者のユン・チアンは1990年代初めに、一族三代の苦悩を描いて世界的ベストセラーとなった「ワイルドスワン」を著した後、この毛沢東の取材に取りかかり400人以上にも上る関係者(巻末にその名前がある)にインタビューして、2005年に本書を発表(日本)した(他国ではもっと速かったかも)。そしてこれも世界的ベストセラーとなり評判を呼んだという。
10年も前のことで記憶になかったが、ふとしたことから本書が目にとまり感銘を受けたワイルドスワンの作者でもあるので、今年になって中古を手に入れ読んだもの。上下2巻で1100ページにもなるので夏から読み始めてやっと読了となった。
冷酷非情なマオ、平時で7千万人もの人を死に追いやったとも言われ、敵は勿論、仲間も部下も親族さえも自分の権力剥奪・維持のために容赦なく粛正していく様子が痛々しく読み進むのが苦痛になることもあった。人肉食さえも行われたというくだりは信じられなかった。
晩年(80歳だったか)は流石に体も弱ったうえに、粛正を重ねてきた結果信頼できる部下も少なく、更に暗殺におびえ寂しく亡くなっていったという。
今の中国をみる上でも必読書ではないかと思う。