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ロック歌舞伎?『新版 義経千本桜』を観る

2015年07月23日 19時18分41秒 | Weblog

 『新版 義経千本桜』を観て来た。歌舞伎の十八番を現代風に解釈し、ロックミュージカルのような仕立てだった。姪っ子の3男は声優志望だったが、上京して舞台俳優の仕事をするようになった。東京での公演が多いが、今回は名古屋市北文化小劇場で演じるというのでぜひ観に行きたいと思った。北小劇場は数ある中でも花道を有していて、歌舞伎もどきの芝居には向いている。客席は300席を切るけれど、花道の横には升席もあり、昔懐かしい感じもする。

 歌舞伎の『義経千本桜』は平知盛や維盛の悲劇が中心だが、30-DELUX主催のこの新版はこれに義経と弁慶の互いの思いを絡ませ、さらになお、『ベルサイユのバラ』にも通じ、義経は女性だったという設定になっていた。義経は後白河法皇から頼朝を討てと鼓を授かるが、兄に刃を向けられないと拒否する。しかし、頼朝の手の者が義経に襲い掛かる。弁慶は義経こそ源氏の頭領になるべきだと主張するが義経は受け入れず、落ち延びる道を選ぶ。

 ここでの会話が面白い。義経は弁慶に「なぜ、兄を討つのか?私を頭領にして歴史に自分の名を残したいのか?何がしたいのだ?」と迫る。弁慶はただ義経を守り、義経に従うことが自分の使命と思ってきたが、そんな自分の中に世間を見返したいという野心のあることに気付かされる。そして最後は無心で義経に従う。泣かせてもらったのは吉野の地で、強請り騙りの悪行を繰り返す権太が最後によいことをするのだが、これが裏目になって死ぬ場面で、分かっていても涙がこぼれるから不思議だ。

 義経は女性だったということから、義経役を演じたのは元宝塚の女優の水夏希さんで、弁慶も静御前も佐藤忠信も若い俳優さんだった。2時間半に及ぶ芝居だが、その半分以上が乱闘シーンで、あんなに動くことが出来るのは若くなければ絶対無理だと思った。それにしても義経も弁慶もよく切り合いが続けられる。殺陣はチームワークというが、一歩間違えたなら大怪我になる。何度も練習を繰り返してきたのだろう、その成果は充分に発揮されていた。

 俳優が若いためか、観客も圧倒的に若い。それに何と言っても女性が多い。宝塚ファンのように好きな俳優の追いかけをしている。「2時間も車を走らせて来た甲斐があった」と後の席の女性は話していた。グッズの販売に列が出来て、ブロマイドやパンフレット、ポスターや冠バッチなどを買い求めていた。姪っ子の3男はまだ固定ファンはいないと言うが、熱狂的な女性ファンが出て来たら姪夫婦はどう反応するのだろう。楽しみだ。

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