友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

大人の恋愛ドラマ

2012年03月23日 18時56分34秒 | Weblog

 火曜日の夜、テレビで中山美穂と佐藤浩市の『最終駅』を、昨夜は小泉今日子と中井貴一の『最後から二番目の恋』を観た。日本人も上手に恋愛映画を作るようになった。映像もきれいで、カメラアングルや背景の使い方もいい。『最終駅』の方は、大阪を出発して札幌へ向かう日本一の長距離を走る寝台特急が舞台。列車から日本海に沈んでいく夕日が人気のようだ。そんな寝台特急の最後尾がふたりの部屋だ。ふたりは別れるつもりで、最後の思い出にこの列車を選んだ。

 大阪駅を出る列車には佐藤しかいない。「やはり、来なかった」と佐藤は思う。中山は立派な妻であり母である。これ以上、不倫を続けていくことは出来ないだろう。分かっていても、何ともやりきれない気持ちでいる。そこへ京都から中山が乗り込んできた。彼女は追いつくために必死になって走り、やっとの思いで京都駅で乗り込むことが出来たのだ。すれ違いは感情のすれ違いにも表れる。重なってはまた離れ、離れては重なっていく。恋の宿命である。

 佐藤浩市よりも少し端正な顔付きの男性の方が、あるいはもっと普通のサラリーマンっぽい男性の方がよかった気がした。佐藤は幼い時から中山を見てきたから、彼女が強い人間であることは知っているし、だから自分の家庭が壊れた時に彼女に会いたかったのだろう。彼女はまた、完璧な女を努めているうちにそのウサを彼にぶつけていた。それがふたりを男女の関係にしてしまったようだ。何がどのようなきっかけであっても、出会うことで埋められるものがあるなら、それはやはり愛なのだと思う。

 佐藤は途中の駅で降りてしまう。中山も彼を追って降りてしまう。雪の中を探し求める中山、この映像はもう少しダイナミックでしかもロマンチックであってもよかった。とにかくふたりは再び出会い、ホテルで一夜を過ごし、中山は大阪へ帰る切符を、佐藤はこのまま北へ行く切符を買う。時間をずらして出発した二人なのに、雪のために列車は遅れる。大阪行きの列車がやってくるが、中山は乗らなかった。そこへ北行きの列車が来る。列車は出発する。呆然と見送る中山。その時、階段から佐藤が降りてくる。やはり結末はこうなるのか、こうなる以外に描きようはないなと思う。

 『最後から二番目の恋』はラブコメディーで、小泉今日子と中井貴一のやり取りが可笑しくて最後まで笑わせてもらった。『最終駅』よりも、こんなコメディーが出来ることの方に感心してしまう。二つの物語の主人公は40代から50代で、いわば大人なのだが、若い人たちの恋愛よりも味合い深いものがある。大人だって寂しい時はあるし、人恋しい時もある。何もかも分かったような振る舞いをしなくてはならないけれど、そんな自分がたまらなくなる時もある。「老いていくことは、今まで出来たことが出来なくなること」とNHKの『カーネーション』の主人公は言っていた。

 確か、『最終駅』という映画が昔あった。ストーリーも俳優も覚えていないけれど、ロマンチックで悲しい映画だった気がする。イタリア人のデ・シーカ監督の作品だったと思う。最近、同じ題名で、トルストイの晩年を描いた映画が作られた。見に行こうと思っているうちに終わってしまった。タイミングが合わなければ、チャンスを逸する。ドラマが描く教訓である。

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