実務家弁護士の法解釈のギモン

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嫡出否認の規定は合憲?(1)

2017-12-06 11:04:06 | 家族法
 つい最近、嫡出否認の訴えが夫からしか提起できないことが憲法違反か否かが争われた事件が報道され、少し話題になった。
 何が問題になっているかというと、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定され、その推定を覆す方法は、法律上、夫から嫡出否認の訴えを提起するしかないのである。つまり、妻や子の側から嫡出を否認することができないような条文構造になっているのである。

 このことが一般的に問題となってくるのが、夫と別居中に他の男の子供を身ごもる場合である。婚姻中に身ごもった以上、たとえ別居中であっても、夫の子と推定され、血縁上の父親を法律上の父親として出生届を提出することができないのである。
 こうした場合に、妻や子から、夫に対して嫡出否認ができればいいのだが、法律は、これを用意していないのである。夫に頼んで嫡出否認の手続を取ってもらう方法ももちろん考えられるのだが、夫が協力しなかったり、暴力夫でそのようなことを頼める状況でないこともあったりするらしい。
 結局、夫の子として出生届を提出することもためらわれることも多いようで、そのような場合は、出生を届け出ないままとなってしまうこともあるらしい。これが、無戸籍問題を発生させている。

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