◉ 芒 (すすき)・芒野(すすきの)・芒原 (すすきはら)・芒散る (すすきちる)・糸芒 (いとすすき)・鬼芒 (おにすすき)・真赭の芒 (ますおのすすき)・まそほの芒 (まそほのすすき)・真赭の糸 (ますおのいと)・一叢芒 (ひとむらすすき)・一本芒 (ひともとすすき)
をりとりてはらりとおもきすすきかな ・・・・・ 飯田蛇笏 [山廬集]
ひとりゆけば芒のひかり空のひかり ・・・・・ 山口草堂
なにもかも失せて薄の中の路 ・・・・・ 中村草田男 [長子]
近郊の日当たりの良い原野や土手・荒地など、どこにでも見られる大型の草です。
花穂が獣の尾に似ていることから「尾花」とも呼ばれます。
「真赭の芒」とは、穂のつやつやと赤味を帯びた大きな芒で、
「まそほの芒」ともいい、紅糸にたとえて「真赭の糸」とも言いました。
秋の七草の一つに数えられ、
昔から親しまれて歌や俳句に詠まれました。
中空の茎の中に神霊が宿る、とも言われます。
十五夜の飾りに薄の穂は欠かせません。
薄(芒)は「茅(かや)」とも呼ばれ、
茎葉は屋根を葺くのに用います。
他に、炭俵を編んだり
寸莎(すさ)として土壁にまぜるなど利用されました。
また開花直前の穂で木菟(みみずく)を作ったりします。
* 末黒の芒(初春)・青芒(夏)・尾花(晩秋)・枯尾花(三冬)
[ イネ科ススキ属の多年草 ]
一本づつ芒を剪つて下さりぬ ・・・・・ みなみ
ススキ (薄/芒)
日本各地の日当たりの良い山野に自生します。
確りした地下茎を持ち、短く枝分かれして
地上に多数の茎を出します。
叢生(そうせい)する茎(偽茎)は大きな株を作ります。
草丈は、1~2m。
葉は線形、中央に太く硬い葉脈があり、
縁には硬く細かい鋸歯(きょし)があって
不用意に触れると手を切ることがあります。
花期は、7~10月。
茎頂に長さ20~30cmの大きな花穂(かすい)を付け、
中軸から10~20本の枝を出し、
長い柄と短い柄の小穂が対になって付き、
黄褐色を呈します。
小穂の長さは5~7㎜、基部に白い毛があり、
雄しべの葯(やく)は紅紫色です。
花後は白い毛が伸びて穂全体が白くなります。
観賞用の園芸品種もあります。
名は、すくすく立つ木(草)の意から
付いたと言う説もあります。
2021/11/01 撮影