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ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」などを務めたライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。

京都で学ぶものづくり。未来のプロを育てる「京都芸術デザイン専門学校」。憧れの授業見学へ

2012-02-08 | アート

京都は、日本のものづくりの拠点。
伝統工芸にはじまり、京セラ、島津製作所など最先端技術まで、あらゆるものを作り出す都です。

京都の北東、白川通沿いにある「京都芸術デザイン専門学校」は、未来の日本のものづくりを担う若者たちが、ものづくりの基本技術や姿勢を修得する学校です。


京都に暮らし始め、ものづくりの面白さに目覚めたミモロ。
ある日、特別に、授業を見学させていただくことに。

ミモロが見学するのは、ファッションデザインコースの1年生の授業です。
案内された教室では、すでに生徒さんたちが、熱心に作品づくりの真っ最中!


「京都芸術デザイン専門学校」には、2年制のビジュアルデザイン、インテリアデザイン、ファッションデザイン、マイスターレッツ(皮革製品やアクセサリーの制作)、そして本年度からコミックイラストの5つのコースと、4年制の情報デザインコース、あわせて6つのコースで学べます。

芸術系の大学と違い、専門学校の強みは、ものづくりの現場で役に立つ、基本が修得できること。
まさに、ものづくりのプロを目指す人のための学校です。


「わーみんな熱心…なんかとても楽しそう!」とミモロ。

この1年生の授業を担当する藤澤先生に伺うと「ここでは、プロダクションの基本を学びます。つまり服作りのベーシックな部分ですね。型紙やパターンの作り方から始まり、ミシンやプレス機の使い方など、1年間で、実際にいろいろな作品を作るんですよ」と。
(先生は、とてもシャイで後姿だけ…)

それぞれの生徒さんは、思い思いの作品を手掛けているので、やっている作業もいろいろです。

ミシンを使っている人。プロ仕様のミシン使いを学びます。

教室の棚には、ミシンがズラリ。
生徒ひとりひとりが、十分使えるよう設備も万全。
ミモロもミシンに興味津々。

「ちょっとやってみる?」とドレスを縫っていた人が、ミモロに声を。

「そう、そこを抑えて…上手、上手…」。ミモロも真剣に練習を。

そばでは、中国からの留学生が、黙々と作業中。
1年生といっても、もうすぐ2年生。1年間で修得した技術は、さすがです。

ミモロも次々、いろいろな作業を体験。
「あ、アイロンかけだー」。洋服を作るには、きちんとアイロンがかけられることも大切。
ミモロもさっそくトライ。

ミモロ、そこにいたら、ぺっしゃんこになっちゃうわよ。気を付けて!
クリーニング店にあるような本格的なプレス機。プロ仕様の設備も、実際に使い方を体で、覚えることができるんです。

ドレスを作ろうとしている人のところで、布のカッティングを体験。

鋭い歯が付いたローラーを廻して、布を型紙に沿って切ってゆきます。
「そう、ゆっくり…ゆっくり…」返事もできないほど、真剣なミモロです。

それぞれが、自分のペースで作業を。テキストを確認して、服の構造を頭にいれたり、微妙な調整をしながら、針と糸で、ドレスのギャザーを寄せたり



ものづくりの楽しさと大変さも、学んでゆきます。

ここには、全国から生徒が。また留学生も多数。
イタリア出身のジュリアさんもそのひとり。「日本が大好きなので、ここでものづくりを学びたい」と。


「土地柄、あるゆるものの本物や一流の技に触れる機会が多いのが、京都の強み。クリエーターにとっては、本物に触れ、自分の五感を刺激するのは、とても大切ですね。学校の中だけでなく、京都中が、まさに学びの場。実際にいろいろな分野の職人さんたちに会うことだって、京都だからこそできるんです。京都での多くの経験を通じ、若い人たちには、プロとして、未来の日本のものづくりを担ってほしい。私たちは、全力でそんな若者たちを育ててゆきたいと思っています」と、教学部長の仲野達夫先生。

ものづくりだけでなく、「京都芸術デザイン専門学校」では、実際にプロが活躍する現場に研修に行ったり、すでに第一線で腕を振るう先輩たちの話を聞きに、企業訪問も行っています。

未来のものづくりの現場で、必要とされる人材育成。長い歴史の中、さまざまに培われた技術やものづくりの姿勢、京都という土地が、これからの日本のものづくりに、果たす役割の大きさを感じます。



「すごーく楽しかったー。もっといろいろなものを作っちゃおう!」と創作意欲を刺激されたミモロでした。

「先生をはじめ、生徒のみなさん、今日はどうもありがとうございました」byミモロ。

*「京都芸術デザイン専門学校」に関する詳しい情報、また入学に関するお問い合わせは、ホームページからご覧ください。


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西陣の古き風情漂うフォトギャラリー「町家写真館」。京都の写真家、水野克比古先生の作品を拝見。

2012-02-01 | アート

織物の町、京都西陣の千両ヶ辻にあるフォトギャラリーは、京都の美しい風景を長年、撮りつづける写真家、水野克比古先生の作品が鑑賞できる場所。

細い路地をあちこち曲がり、何度も通行人に道を聞きながら、ミモロはやっと到着しました。
「ここだぁーやっと見つけたー」。レトロな趣の住所表示板が、格子の横に。

「京都の写真といえば、水野克比古先生!」と、出版業界では、超有名な写真家の水野先生。
京都のさまざまな表情をとらえた作品は、広告やカタログ、カレンダー、絵はがきをはじめ、多くの媒体に登場。きっと目にしたこともあるはずです。

その先生の作品が、ゆっくりと見られるのが、この「町家写真館」です。


ギャラリーになっているのは、明治時代に建てられた町家で、京都の風情満点。見学するには、予約が必要なので、あらかじめ連絡したミモロは、胸をときめかせて出掛けました。

「こんにちはーお邪魔しまーす」。もちろん中も、京都らしい趣がいっぱい。

「あ、ミモロさんですね。どうぞゆっくり写真を見て行ってくださいね」と、迎えてくださったのは、
水野克比古先生と義理の息子さんで写真家の秀比古さん。

「はーい、見せていただきまーす」というと、アンティークの家具によじ登ります。そんなことしちゃ…


「だって見えないんだもん…」
ミモロが見たかったのは、京都の有名な寺社仏閣を四季折々の花々と共に案内する『京都名所百景』(光村推古書院刊1600円)という最新の写真集です。

美しい四季の景色が次々に現れる写真集は、見ているだけで、そこの匂いや音、光が感じられるもの。
「あ、親切に、アクセスも掲載されてる…まるでガイドブックみたい…」
英語での併記もあり、海外の方にもプレゼントしたくなります。

お座敷には、大きなパネルの写真がいろいろ。
東福寺の紅葉のパノラマ写真。まるでミモロは、そこにいるみたい…。
大きさがピッタリだったようです。

奥行のある京都の町家。建築を見る楽しみも。

好きな写真集を、お座敷でゆっくり鑑賞します。


時が立つのも忘れるひとときです。

しばらくして、「あれ、ここはお台所?」とミモロは、座敷の脇を覗きます。

「ちょっと行ってみようー」そこにあった下駄をはいて、土間へ。
ここは、薪のかまどや水場などがある、昔の暮らしがそのまま残る京都らしい台所です。「よいしょ…」京都の台所は、縦長で、玄関脇から中庭へと続きます。吹き抜けになった天井には、天窓があり、外光が入るようになっています。「でも冬は、きっと寒かったよねぇー」とミモロ。

京都の町家は、トイレもお風呂も母屋から離れたところにあるのが一般的。冬の寒さはこたえます。

「でも町家は、夏は、クーラーいらず。中庭から表へとスーッと風が吹き抜けて、本当に涼しくて過ごしやすいですよ。確かに、冬は、すごく寒い。エアコンも、ストーブもきかない。隙間だらけですからね。だから炬燵は必需品ですね」と水野先生。

ミモロの暮らすのはマンション。「夏は、すごーく暑かったんです。家にいて熱中症になりかけました。冬?うーやっぱり寒いでーす」と。「きっと京都に暮らすと、いつか町家に住みたくなりますよ。それから、京都に住むなら、一か所じゃなくて、いろいろな場所に住むと面白いですよ。地域ごとにかなり感じが違うのが京都の町、岡崎と西陣じゃ、町の雰囲気も全然違うでしょ?」「なるほど…」と、先生のお話に頷くミモロです。

「こっちはお庭?」トコトコと廊下の方へ。
風情のある庭を廊下から眺めるミモロです。

「絵はがきもいろいろあるんだぁー」と、廊下にあったディスプレーに。なにもそこまで近づかなくても…

先生のお話を伺ったり、作品を鑑賞したり、町家を歩き回ったり…あっという間に時間が流れた楽しいひととき。「また来てもいいですか?」とミモロ。「ぜひお雛祭りにいらっしゃい…」と水野先生。「ハーイ」とお返事してお別れしました。


水野先生は、京都生まれの京都育ち。この西陣は、幼いころからの遊び場です。

地元の活性化イベントなどにも参加している水野ファミリー。「町家写真館」がある千両ヶ辻界隈の町家で、創作着物や創作箔画、植物染料染めの小物などを展示する「西陣 美の辻」というイベントを、春と秋に開催しています。秋には、「千両ヶ辻 伝統文化祭」にも参加。

また2月下旬から3月上旬にかけて、「西陣の町家で雛祭り」も開催。水野克比古、秀比古両氏の作品展と共に、江戸時代から昭和の雛人形と雛道具が「町家写真館」のお座敷を飾ります。この期間は、予約不要。 

京都観光協会の「京の冬の旅 キャンペーンイベント」でも「京都西陣 千両ヶ辻ウォーキングと北野天満宮「梅園」」というプラン(要予約)を実施しています。詳しくは、京都観光協会のホームページで。


*「町家写真館」京都市上京区大宮通元誓願寺下ル 電話075-431-5500 イベント開催時期を除き、見学は、予約が必要です。

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今年3月31日で閉館になる「由布院美術館」。懐かしい小学校のような建物ともお別れ。

2012-01-29 | アート
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湯布院の町の中央部にある「由布院美術館」。
ここは、放浪の詩人画家、佐藤渓(さとうけい)の作品を所蔵し、展示する美術館です。

佐藤渓は、大正7年(1918)に広島県に生まれ、28歳から本格的に詩や絵画の制作に専念。全国各地を放浪しながら、作品を描き、昭和35年(1960)に湯布院で42歳の若さで亡くなりました。

この美術館は、彼の作品を多数所蔵。繊細かつ大胆、無邪気かつ妖艶、明朗かつ暗鬱とも言うべき、独特の世界観を表現した絵画は、見る人の心に何かを訴えるもの。

今年、開館20周年を迎えるのですが、残念ながら3月31日をもって閉館することに。
湯布院のアートのひとつの拠点が、惜しまれつつ姿を消します。


「由布院美術館」は、佐藤渓の作品と共に、多くの人を惹きつけたのが、木造の小学校のような展示スペースです。

「なんか懐かしい感じがするよねぇー」とミモロ。校庭を思わせる中庭には、古いポストの姿も。


中庭をグルリと囲むようにある展示スペースも開放的な造り。

どこからも、湯布院の自然が間近に感じられるようになっています。

「あ、由布岳が見える!」2階の喫茶スペースの窓からは、雄大な由布岳の姿が。


「もっとよく見えるところがあるんだよ」とミモロは、敷地内の小さな山の上に登ります。


「ほらね!よく見えるでしょ…」
確かに、いっそう大きく見えますね。そこからは、湯布院ののどかな田園風景も一望。


「あ、万華鏡も見なくっちゃ…」とミモロは、常設展示されている、いろいろな万華鏡を見に展示室へ。

万華鏡は、19世紀初頭にスコットランドで発明され、日本には、1819年には伝わっていたそう。


内側に鏡を貼った筒を覗くと、中に入った色とりどりの小さなチップが、筒を回転させるたびに、さまざまな模様となって見えてきます。

次々に変化する模様は、まさに動くアート。決して2度と同じものを見ることがない移ろいの芸術です。


ミモロも展示されている万華鏡を覗きます。「わーキレイ…」
筒を回すと次々に形が変わる万華鏡の世界に、もう夢中。「わー、スゴーイ、ワー」と声を上げながら覗くミモロ。

いろいろな種類の万華鏡を次々にトライ。そのたびに「わー、スゴーイ、ワー」と声を。

「なんか別世界にいるみたいだった…フー」。あまりに万華鏡を見すぎたのか、ちょっとミモロはボーっとしています。ミモロ、しっかり!大丈夫・・・・。

「ちょっとここで休憩しよう…」とミモロは、テラスの椅子に座って、中庭に渡る風や温かな陽光を浴びつつひと休み。

「3月末で、ここは閉館になっちゃうんだね…」と、ちょっと寂しそうにポツリ。

20年に渡り、湯布院にアートの風を吹かせた「由布院美術館」。
閉館の理由は、湯布院の霧とか。温暖の差が激しく、また盆地の温泉地のため、湿気が多く、作品への影響がはなはだしいそう。所蔵する佐藤渓の作品は、姉妹館である「別府聴潮閣」に展示される計画だそうです。


「次に湯布院に来ても、もう、ここには入れないんだねぇー」と、美術館を後にする前に、もう一度振り返り、木造の小学校のような建物をグルリと見渡すミモロです。

「さようなら…バイバイ…どうもありがとう…」ミモロは、小さな声で、お別れを…。

閉館まで、残り2か月。その間に湯布院を訪れる機会があったら、ぜひ、ここに。

今後、この建物やスペースが、どのように使われるかは、まだ検討中だそうです。

*「由布院美術館」の詳しい情報は、ホームページから。どうぞ…。



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湯布院アート旅。人形作家、中西ちせさんの凛とした人形たちが並ぶ「ギャラリーMUNE工房」。

2012-01-28 | アート
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温泉地,湯布院は、アートの町としても知られています。町中には、音楽をテーマにした「由布院 空想の森artegio MUSEUM」、現代彫刻を展示する「末田美術館」、世界の万華鏡などを展示する木造小学校のような「由布院美術館」をはじめ、木工、陶器などのギャラリーもいろいろ。
町の散策のポイントに巡りたい美術館やギャラリーです。

アートの町、湯布院のギャラリーのひとつに「ギャラリーMUNE工房」があります。

ここは、人形作家、中西ちせさんの作品が展示されているギャラリーで、年に数回、絵画や版画、人形などの個性豊かな作家たちの企画展も開催し、若い才能などを応援しています。


中西ちせさんの作品は、凛とした美しさと、そこはかとない、やさしさを湛えた陶土で作った人形。


ちせさんの人柄を感じさせる作品です。

中西ちせさんは、大分県湯布院町生まれ。京都などで作品づくりを学んだ後、実家のある湯布院でギャラリーを始めました。彼女の作品は、京都、東京、長野をはじめ、フランスのパリなどでの個展でも評判に。

ギャラリーの中に、スラリとした姿の人形が、静かに時を過ごしています。


ミモロも興味津々で、ひとつひとつ作品を見て歩きます。
「この子かわいいー」と作品のそばに。
「お人形好きなの?」とミモロに話しかけるちせさん。
「ハイ、素敵なお人形、洗練された感じですね」と。
小さな顔とスラリとした体形のちせさんの人形の前で、ミモロの頭の大きさと太目な体形が目立ちます。

「人形には、魂がはいっているんですよ…。ミモロちゃんは、とても愛されてますね。だから、みんなをしあわせにするオーラを感じますよ」と。ちせさんの人形には、生きることの喜びが表現されているよう。
ちょっと上を向いた姿は、凛として、未来へと逞しく生きようという意志を感じます。


ふと窓辺を見ると、「あ、犬がいる…」とミモロは、駆け寄ります。
金属製の犬のオブジェ。
ちせさんが、飼っていた愛犬がモデルだそう。
「乗ってみる?」と聞かれ、お言葉に甘え乗せてもらうことに。

「ここに来ると、心が落ち着く感じ…」とミモロ。

湯布院に行ったら、立ち寄りたいギャラリーです。作品の購入もできます。

*「ギャラリーMUNE工房」大分県由布市湯布院町川南808-2 電話0977-85-3115
訪れるとき、電話をすることをおすすめします。「由布院駅」から車で5分。「山のホテル 夢想園」のすぐそばです。

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三重県伊賀に窯を構える、今、注目の若手陶芸家、岸野寛さんの工房へ。

2011-11-22 | アート
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滋賀県の信楽にお出かけしたミモロ。「MIHO MUSEUM」で仏教文化を鑑賞した後、大きな牛肉がのったカレーを食べて、ひと心地していると、お友達が、
「ミモロちゃん、近くに今、注目の若手の陶芸家の工房があるんだけど、ちょっと寄ってみる?」と尋ねます。「えー陶芸家さんに会えるの?行く行く!」と、陶芸に興味のあるミモロは、すぐにお返事。

曲がりくねった山道を進んでゆくと、「あれ、ここ三重県なの?さっきまで滋賀県にいたのにー。信楽って、三重県との県境に近かったんだー」。東京生まれのミモロは、どうも関西地方の地理に疎いよう。

到着したのは、伊賀焼の陶芸家、岸野寛さんの伊賀丸柱にある「寛白窯」です。


緑茂る山の古い民家を改造した住まい兼ギャラリー。家の前では、大きな壺がミモロたちを迎えます。

「ところで伊賀焼って、どういう焼物?」と、こっそり尋ねるミモロ。
では、伊賀焼のお話の少し…。
伊賀は、奈良時代から始まったといわれる歴史ある焼物の産地で、平安時代から鎌倉時代に本格的な産地に成長。室町時代から桃山時代にかけて、茶の湯の発展に伴い、伊賀焼の土の風合いが醸し出す独特の侘びの景色が、茶人の心をとらえることに。その後、時代の流れにより、茶道具だけなく、土鍋、食器、花器など、幅広くいろいろな日用雑器が作られ、現在も多くの人々に愛される焼物のひとつです。


「ごめんくださーい!」

すでにお友達が、訪れることを連絡してくれたよう。「どうぞ、お待ちしてました。上がってください」と笑顔で迎えてくれた岸野さん。
お座敷に上がると、そこには、器、壺などさまざまな作品が、静かに時を過ごしています。



岸野寛さんは、京都生まれ。京都市立銅駝美術工芸高校陶芸科を卒業後、伊賀土楽窯の福森雅武氏に師事。10年の修行の後、伊賀丸柱に「寛白窯」を築窯したのは2004年のこと。蹴轆轤と薪窯での作陶を行う陶芸家です。

ミモロは、ご挨拶もそこそこに、ひとつひとつ作品を拝見することに。
白釉と焼〆の壺。

「わーダイナミックな作品!」

「なんか温かい感じがする白い壺…」と思わず寄り添うミモロです。


座敷や廊下に置かれた作品を次々に見て回ります。

岸野寛さんの作品は、実に多彩。野趣を漂わす焼〆、柔らかく、温かさを纏った白磁をはじめ、志野、井戸、甲愛、刷毛目など、それぞれの異なった表情は、小さな盃から、飯茶碗、皿、徳利、花器、大壺、そして茶器へと姿を映してゆきます。また器の息遣いや鼓動を感じさせるフォルムは、使う人の心に寄り添うよう。使うほどに、いっそう心惹かれる作品です。

「ミモロちゃん、お茶の用意ができました。どうぞこちらへ」と岸野さんの声。
廊下を滑るように、走って玄関そばのお座敷へ。

「わー美味しそう…」奥様手作りの栗の甘露煮とお抹茶が。

岸野さんが作られた茶碗と小皿でのおもてなし。栗の自然な甘さと共に、心がほんわかしてきます。

お友達と話が弾む間、ミモロは、ひとり縁側でのんびり。

庭の向こうに見えるのは、薪窯。ミモロは、さっそく見学に。

そばには、たくさんの薪が用意されています。
「ここで、作品ができるんだねぇー」と、作品を出し終え、空っぽの窯を覗いたり、薪に登っていると、

「ミモロちゃーん、そろそろおいとましましょう」と母屋からお友達の呼ぶ声が。
「ハーイ、今行きまーす。置いてかないでー」と慌てて戻るミモロです。


「今日は、どうもありがとうございました」と車の中から手をふるミモロを、笑顔で見送る岸野さん家族。
ちょっと恥ずかしそうな息子さんの姿も可愛らしく。

「なんかすごーくセンスがいいお家だったね。とても自然で、それでいて洗練されてる感じ…ああいう暮らし方って、憧れちゃう!栗の甘露煮も美味しかったし…楽しい日だったー」
また、素敵な方に知り合えたミモロです。

*旅のお知らせ:岸野寛さんをはじめ、佃真吾さん(木工)、新宮州三さん(木工)、村田森さん(陶芸)、大宅稔さん(コーヒー豆)による「鹿ケ谷にて 五人展」が、京都、鹿ケ谷山荘で、11月23日~27日(11:00~18:00)に開催されます。 鹿ケ谷山荘:京都市左京区鹿ケ谷徳善谷町4-16 075-751-2304
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