この村に来て、今日でちょうど10年になったわねぇ。
その数ヶ月前に、たまたま来た時は、ちょうど桜が見ごろ。
枝を大きく広げた桜が何本か。
空いっぱいに埋め尽くす その満開の桜を見上げ、
「あぁ、ここで暮らしたい 」っていう衝動が胸いっぱいに広がった。
周りも、自然そのものの中で暮らしている、って感じたのよね。
その頃住んでいた町は、どんどん開発が進んで、
住んでいる家の周りは、細長い花壇以外は土が無い。
公園はあるけど、10分以上歩いた先。
「あぁ、土が見たい…」と本能のようなものを
ひしひしと感じながら暮らしてたわね。
(ほかにも、越したい理由はあったけど。)
念願叶って越してきてから、数日経って雨が降った。
家の前は土の道で、所どころ水たまりが。
その水たまりをよけて歩きながら、
「う~ん、、こういうのって、なんか自然な暮らし――」なんて思ったよね。
春。 桜が気になって毎日様子をうかがう。
朝、膨らみかけた蕾を見つけると「あ、いよいよ今日咲くかしら――」
お昼前「あ、もうチョットだね 」
夕方「うわっ、ついに咲いた~」
もう、抱きしめたくなるほど愛おしいのです。
こんな話をしだすと、キリがなくなっちゃうわね。
お付き合い、ありがとうございます。
今日のところは この辺で――。