彼女のもとに、ある動画(どうが)が送られてきた。そこに映(うつ)っていたのは彼女の彼氏(かれし)と…、見知(みし)らぬ女性。これは…、まさに浮気現場(うわきげんば)の映像(えいぞう)だった。
彼女は、彼を呼(よ)び出して問(と)い詰(つ)めた。
「これは誰(だれ)よ。あたしと付き合ってるのに、浮気するなんて許(ゆる)せない!」
だが彼は、「こんなの、知らないよ。これは俺(おれ)じゃないし、こんな女、会ったことも…」
彼はまったく認(みと)めようとはしなかった。そこへ、また別の動画が送られてきた。そこには、さっきとは違(ちが)う女性との密会(みっかい)が映されていた。彼女は、彼にその動画を突(つ)きつけて、
「何よこれ…。他にも女がいるのね。信じられない。どういうことか説明(せつめい)しなさいよ」
「だから、俺じゃないって言ってるだろ。きっと、誰かの悪戯(いたずら)だよ。本気(ほんき)にするなよ」
「でも、これはあなたでしょ…」彼女はふと妙(みょう)な考(かんが)えが浮(う)かんできた。それは、
「まさか…、あたしも、浮気相手(あいて)の一人なの? そんな…」
そこへまた動画が送られてきた。彼女は恐(おそ)る恐る再生(さいせい)してみた。そこに映っていたのは、彼と一緒(いっしょ)にいる自分(じぶん)の姿(すがた)だった。彼女は思わずスマホを投(な)げ捨(す)てた。それは、リアルタイムの映像のようだ。おびえる彼女と、カメラを探(さが)す彼の姿を捉(とら)えていた。
突然(とつぜん)、スマホの着信音(ちゃくしんおん)が鳴(な)り出した。彼女は震(ふる)える手でスマホを拾(ひろ)い上げる。一件のメッセージが届(とど)いていた。彼女は、そのメッセージを開(ひら)いてみた。そこには、彼の名前(なまえ)と、次の言葉(ことば)が続いていた。〈あたしはいつまでも待(ま)ってるから。早く帰(かえ)ってきて〉
<つぶやき>戦慄(せんりつ)です。まさか送信元(そうしんもと)は彼の奥(おく)さんだったりするのでしょうか…。怖(こわ)いよ。
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