みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0339「夫婦が別れる時」

2018-10-05 18:51:59 | ブログ短編

「ねえ、泊(と)まってもいい? 今日は帰りたくないの」
 静香(しずか)は今にも泣(な)きそうな顔をして鼻(はな)をすすった。さっきまで楽しくおしゃべりしていたのに、どうしたのか? でも、好恵(よしえ)には何となく分かっていた。何かあるんだなって。
「どうしたの? 旦那(だんな)さんと喧嘩(けんか)でもした?」
「ううん、そんなんじゃ…。最近(さいきん)変なの。あたし、どうしてあの人と結婚(けっこん)したんだろ。あたし、あの人のことホントに好きだったのかな?」
「はぁ? なに言ってんのよ。さんざん私にのろけ話(ばなし)しといて」
「だって、結婚ってバラ色って言うじゃない。全然(ぜんぜん)、そんなんじゃないんだもん」
「浮気(うわき)でもされたの? それとも…」
「彼は、そんな人じゃないわよ。そういうことじゃなくて、何か、違(ちが)う気がするの」
「独身(どくしん)の私にはよく分かんないけど…。一緒(いっしょ)に暮(く)らしてればいろいろあるんじゃないの。ほら、今まで気づかなかったことが、目についてくるとか」
「そうね…。あたし、怖(こわ)いの。彼がなに考えてるのか…。ホントに、あたしのこと愛してるのかな? ねえ、どう思う? あたし不安(ふあん)なの。今まで二人で笑(わら)えたことが、何か、笑えなくなってるの。あたし、笑えないの。どうしよう…。あたし、どうすればいい?」
 静香の頬(ほお)に涙(なみだ)がつたう。好恵は彼女の肩(かた)を抱(だ)いて、「もう、考えすぎよ。彼は、ちゃんと静香のこと愛してるわ。それは、あなたがいちばん分かってるじゃない」
<つぶやき>今まで気にしなかったことが気になりはじめ。それがさよならの始まりかも。
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