学校からの帰り道、彼女は同じクラスの吉岡(よしおか)君に呼(よ)び止められた。
彼は唐突(とうとつ)に言った。「君(きみ)は、僕(ぼく)のことが好(す)きなの?」
彼女は一瞬(いっしゅん)かたまった。どうして、そういうことを言うんだろう?
彼はさらに続けて、「だって、僕のこと、いつも見てるじゃないか」
彼女は首(くび)を振って、「いやいやいや、そういうんじゃなくて…。ただあたしは、朋香(ともか)から、吉岡君があたしのこと好きなんじゃないのかって聞いたから、気になっちゃっただけで…」
彼はちょっと驚(おどろ)いたような顔をして、「えっ、何でそうなるんだよ。君は高橋(たかはし)が好きなんじゃないのか? 僕はそう聞いたけど…」
「誰(だれ)がそんなこと…。あたしは、高橋君のことなんか何とも思ってないわよ」
「えええっ、そうなんだ。ああ、なるほど…、分かった。じゃあ…」
彼はそのまま行こうとした。彼女は、彼を引き止めて、「ちょっと、待ちなさいよ。吉岡君はどうなのよ。あたしのこと好きなの? 好きじゃないの?」
彼はちょっと困(こま)った顔をして、「ええっと、僕は…、そういうのは…」
「はっきり言ってもいいのよ。吉岡君だって、あたしのこと見てるじゃない」
「あれ…、そうだったかな…。たぶん、それは、気のせいだと思うんだけど…」
「そんなことないわよ。いつも目が合うじゃない。もう、男でしょ。好きなら好きって言いなさいよ。そしたら、あたしだって考えてあげてもいいのよ」
<つぶやき>好きかどうかを確(たし)かめるのは難(むずか)しいよね。吉岡君は、どう思ってるのかな?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます