新婚初夜(しんこんしょや)の二人が、ベッドの中でこんな会話(かいわ)をしていた。
「君(きみ)は、僕(ぼく)の持ってる金(かね)が欲(ほ)しいんだろ?」
「そうよ。お金がなかったら、あなたなんか相手(あいて)にしなかったわ」
「ふん。君みたいに正直(しょうじき)な女は初めてだよ。本心(ほんしん)をあっさり言ってしまうんだから」
「だから、私を選(えら)んだんでしょ。いいのよ、他に好きな女ができたら、愛人(あいじん)にしても」
「それは助(たす)かるね。君も、好きなだけ遊(あそ)んでもいいんだよ」
「私は、男には興味(きょうみ)ないの。お金さえあれば満足(まんぞく)よ」
――それから一年が過(す)ぎて、この二人の生活は大きく変わってしまった。
「もう愛人とは別れるって言ったじゃない。何でまだ付き合ってるのよ」
「なに勝手(かって)なこと言ってるんだ。愛人を作れって言ったのは君じゃないか」
「あの時と、事情(じじょう)が変わったの。お腹(なか)の中には、あなたの子供(こども)がいるのよ」
「もう、僕たち別れよう。慰謝料(いしゃりょう)や養育費(よういくひ)はちゃんと払(はら)ってやるよ」
「いやよ。私は離婚(りこん)はしないから。この子のためにも、私たちやり直(なお)しましょ」
「なに言ってるんだ。君は僕のことなんか何とも思ってないじゃないか」
「あなたはこの子の父親なのよ。愛人なんかに財産(ざいさん)を盗(と)られるなんて、まっぴらよ!」
<つぶやき>お金のために人生を踏(ふ)み外さないで下さい。思いやりの気持ちが大切(たいせつ)です。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます