みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0198「はずれ娘」

2018-04-13 19:08:07 | ブログ短編

「あたし、はずればっかり引いてしまうんです」頼子(よりこ)はうつむきながら言った。
「はぁ? 悪いがうちは何でも屋で、人生相談(じんせいそうだん)なんかしてないんだけど」
「でも、表(おもて)に何でも相談にのりますって」
「それは…」小太(こぶと)りの男は頭をかきながら、「まいったな…。で、どうしたいんだ」
「だから、はずれを引かないようにするにはどうしたら…」
「別にいいじゃないか、はずれを引いたって。それも、あんたの才能(さいのう)だ」
 男は何かを思いついたのか、彼女を街外(まちはず)れの倉庫(そうこ)へ連(つ)れ出した。薄暗(うすぐら)い倉庫の中では、闇(やみ)のオークションが開かれている。男は並(なら)べられている骨董品(こっとうひん)を見せながら言った。
「この中で、あんたが欲(ほ)しいと思うものはどれだ?」
「あたし、骨董品なんて分かりません。選(えら)べって言われても…」
「心配(しんぱい)すんな。俺(おれ)だって分かんねえよ。ここに並んでるのはどれもガラクタばっかりさ。でもな、たまに本物(ほんもの)がまぎれ込(こ)んでいるんだ」
 頼子は最後(さいご)まで悩(なや)んだ二つのうちの一つを選んで、「あたし、こっちがいいです」
 男は、彼女が最後に選ばなかった方をわずかな金で落札(らくさつ)させた。
 後日(ごじつ)、頼子は何でも屋に呼び出された。行ってみると、男は彼女の前に札束(さつたば)を置き、
「これがあんたの報酬(ほうしゅう)だ。おかげで、本物を手に入れることができたよ」
<つぶやき>はずれを引き続けても、いつか当たりに巡(めぐ)り合う。それに気付けるかどうか。
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