みけの物語カフェ ブログ版

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0232「招き猫パワー」

2018-06-17 18:42:55 | ブログ短編

 私の実家(じっか)には、古ぼけた招(まね)き猫(ねこ)が床(とこ)の間(ま)の端(はし)に飾(かざ)られている。たぶんおじいちゃんが手に入れたのだろう。私が物心(ものごころ)ついた頃(ころ)には、その場所にちょこんと座っていた。
 小さい頃、その招き猫をオモチャがわりに遊(あそ)んでいた、微(かす)かな記憶(きおく)が残っている。今思えば、何でそんなことをしていたのか全く分からない。おじいちゃんという人はおおらかな人で、怒(おこ)ることもなく私のことを笑(わら)いながら見ていた、と後(あと)で母に聞かされた。そのおじいちゃんも今は亡(な)く、何だか招き猫も寂(さび)しそうだ。
 右手を挙(あ)げているのが金運(きんうん)を、左手は人を招く。と、いつの頃からか私の脳裏(のうり)に焼きついていた。だぶん、おじいちゃんに教えてもらったのかもしれない。私は招き猫の埃(ほこり)をはらいながら、昔(むかし)に思いをはせていた。きっとこの子のおかげで、今まで無事(ぶじ)に過(す)ごせていたんだわ。右手を挙げているから、ずっと金運を呼び寄せてくれていたに違(ちが)いない。
 今、私の部屋(へや)には小さな招き猫の貯金箱(ちょきんばこ)が鎮座(ちんざ)している。いろんなものを招き寄せてもらおうと思って、両手を挙げている可愛(かわい)いのにした。お金も欲しいし、素敵(すてき)な彼だって私には必要(ひつよう)よ。これは、別に欲張(よくば)ってとか、そういうことじゃないからね。
 でも、招き猫にお願いするだけじゃダメだってことは分かってる。それなりの、努力(どりょく)はしないといけない。そこが一番の問題(もんだい)よね。なまけてちゃ、絶対に前には進めない。この子に手を合わせながら、自分を叱咤激励(しったげきれい)している毎日です。
<つぶやき>神頼みも、努力があってこそなのです。そこのところを、お忘れなきように。
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