今まで彼女は、恋愛(れんあい)について他人事(ひとごと)のように思っていた。周(まわ)りの友達(ともだち)が彼氏(かれし)と付き合いだしても、それほど羨(うらや)ましいとは感じなかった。そんな彼女が、年下の男性から告白(こくはく)された。これは、彼女にとって青天(せいてん)の霹靂(へきれき)のようなものだ。
彼が言うには、彼女とは何度も顔を合わせていたそうだ。しかし、彼女の方はまったく記憶(きおく)になかった。それほど、彼女は男性に無頓着(むとんちゃく)というか――。彼女が親(した)しい友達に相談(そうだん)すると、
「あんた、どんだけ鈍感(どんかん)なのよ。目線(めせん)とか感じなかったの?」
彼女は首(くび)を傾(かし)げて、「えっ、目線ってなに? そんなの、分かんないよ」
彼女はどうしたらいいのか分からないようだ。今まで誰(だれ)とも付き合ったことがなかったから、何をどうすればいいのか見当(けんとう)もつかない。友達は見かねたように、
「せっかくだから、付き合っちゃえば。年下はいいわよ、きっと…」
それでも彼女は決断(けつだん)できなかった。今まで自由(じゆう)気ままに生きてきたから、誰かに合わせるなんて面倒(めんど)くさそうな気がしているのだ。友達はぐずぐずしている彼女に言った。
「人は、一人じゃ生きてけないのよ。この先(さき)も、ずっと一人でいるつもり?」
彼女は母親に怒(おこ)られている子供(こども)のように、「そ、そんなこと…、分かんないよ」
「とりあえず、付き合ってみればいいじゃない。これも人生経験(じんせいけいけん)よ。付き合っても好(す)きって気持ちになれなかったら、さよならすればいいんだから――」
<つぶやき>どんなことにも初めてがあるのです。いろんな初めてを試(ため)してみましょう。
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