みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0910「しずく97~誘い」

2020-06-19 18:06:40 | ブログ連載~しずく

 学校(がっこう)の体育館(たいいくかん)。その真ん中で、剣道着(けんどうぎ)姿(すがた)の水木涼(みずきりょう)が座禅(ざぜん)でもしているように静(しず)かに目を閉じて座(すわ)っていた。彼女一人だけの静まり返った体育館に、川相初音(かわいはつね)が顔を出した。
 初音は足音(あしおと)を忍(しの)ばせて涼に近づいて行く。そして涼の後ろへ回ると、彼女をつかまえようと手を伸(の)ばした。それは一瞬(いっしゅん)だった。涼の竹刀(しない)が目の前に突(つ)き出てきたのだ。初音は思わず後ろへのけぞり尻餅(しりもち)をついた。
「なんだ、初音じゃない。何してるのよ?」涼はふーっと息(いき)を吐(は)く。
「も、もう…。危(あぶ)ないじゃない。怪我(けが)でもしたらどうするのよ」
「あんたが近づいて来るからでしょ。そんな心配(しんぱい)しなくても、当(あ)てるつもりないから」
「どうして分かったの。あたしが来てるって?」
「さぁ…、何となくかなぁ。今日は、塾(じゅく)じゃないの? そうかぁ、私と遊(あそ)びたいんだ」
「ち、違(ちが)うわよ。そうじゃなくて――」
「あのさ、しずくって娘(こ)のこと憶(おぼ)えてる? 同じクラスだったみたいなんだけど…」
「しずく…」初音の顔つきが変わった。「そんなこと訊(き)いてどうするの? それより、あたしたちと手を組(く)んだ方がいいわよ。そうしないと…」
「なに言ってんだよ? もう、秀才(しゅうさい)の言うことは難(むずか)しすぎて――」
 初音は笑(え)みを浮(う)かべて、「あたし、知ってるのよ。あなたが、能力者(のうりょくしゃ)だって…」
<つぶやき>初音はどうしようというのでしょう。涼は、彼女と手を組んでしまうのか…。
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