徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫)

2016年01月30日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

松岡圭祐の作品は結構読んでいます。「万能鑑定士Q」シリーズや「特等添乗員αの何事件」シリーズや、「探偵の探偵」など、推理小説としての面白さもさることながら、日常・非日常的に関わらず広範に及ぶトリビア満載なので、雑学教科書のような味わいもあるのが松岡流、でしょうか。もっとも「探偵の探偵」はちょっと暴力シーンが多くて、少々読んでいる最中の不快感があるのですが、「水鏡推理」は主人公の女性が探偵事務所でアルバイトした経験を持つとはいえ、文科省の一般職という役柄なので、きな臭いことにはならず、安心して読める感じです。

さて、その主人公ですが、正義感を発揮するあまり組織の枠をはみ出してしまう文科省ヒラ一般職事務官・水鏡瑞希がひょんなことから文部科学省の研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォースに配属され、その素晴らしい観察眼と推理力で、次々不正研究、捏造実験などを看破していきます。

主人公がちょっと天然で美人さんのところも、観察眼の鋭さや圧倒的な知識に基づく推理力で謎を解き、不正を正していくところなどは「万能鑑定士Q」の主人公と類似し過ぎているきらいはありますが、先入観なしに読めば、勧善懲悪的な爽快感のある推理小説で、面白いエンタメかと思います。

一貫したメッセージは「国民の血税をインチキな研究のために湯水のように使うな」ということですね。正論過ぎて、それ以上何も言うことはございません。

ラブ要素はほんのり、だけですね。どうやら両想いっぽい、というのが分かる程度。

続編が2月に発売されるようですが、今から楽しみです。

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