みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

アナログ図書室

2014-03-27 | people
自宅から徒歩20分ほどのところにあるコミュニティハウスに
小さな「図書室」があるのを見つけた。
ひとり2冊まで、2週間本を借りることができる。

知る人ぞ知る…という感じでひっそり運営されており、
私が行くとだいたい、利用者は誰もいない。
受付におじいさんとかおばあさんがひとり座っているだけだ。
私が椅子に座って本を読み始めているのにも関わらず、
掃除機でガーガーと掃除を始めたりする。
掃除機のノズルは遠慮なく私のところまでやってくるので、
私は「すみません」と言っていったん別のところに移動する。
まあ、ちょっと失礼な話だ。

しかしこの図書室、普通の公立図書館では400人待ちの本が
なんでもなく置いてあるのだ。
予約というシステムがないので、運がよければあっさりと
新刊を借りていくことができる。
逆に、タイミングが悪ければいつまでたっても遭遇できないのだが
もともと利用者が少ないので、出会える確率は高い。
うひひ、掃除機なんかに負けるもんか。通ってやるぞ。

もうひとつおもしろいのが、
今や、図書館といえば本も図書カードもバーコードで
管理されているのが主流だけど、ここは、すべて手書きなこと。

受付カウンターに本を持って行くと、名前を聞かれる。
そして「えーと、○○さんね」と言いながら、
おじいさんなりおばあさんなりが、図書カードの束を手繰って
私のカードを探し当てる。
そしてそのカードと、バインダーで閉じられた貸出表の両方に
本のタイトルと日付を鉛筆で書きつけるのである。

初めて行った日、おじいさんが受付してくれた。
1冊は、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」であった。
おじいさんは、本を手に取るなり
「長いな!」
と言い、カードと貸出表に
「色彩を持たない」とだけ書いた。

えー、それでいいのー?
と、内心ウケた。

そしてもう一冊は、
「片づけられない女のためのこんどこそ! 片づける技術」(池田暁子・著)
という本だった。
わざとやっているわけではないんだけど、申し訳ないことにまた長かった。
おじいさんは
「これもか!」
と嘆き、
「こんどこそ!」と書いた。

えっ、「片づけられない」じゃないんだ!
おもしろい、おもしろすぎる。

このテキトーさは他の面にも通じている。
一度、返したはずの本が、返したという記録が残っていなくて
「返しました?」と聞かれたことがあった。
「返しましたよ」と答えたら、「あ、そうですか、それならいいです」だって。
ええっ、調べないのー? 私がウソついてたらどうすんのー?

このアバウトさと信頼で、この図書室は平和に回っている。
でも昔の図書館って、こんなもんだったよね、きっと。

できればこのまま、ここだけ時間が止まっているような図書室で
いてほしいなあと思う。
なんなら、タイトルは私が自分で記入するからさ。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ステキ☆ (おそら。)
2014-03-29 01:19:15
いいですね、アナログ♪
今や小学校の図書室でさえ、バーコードになりつつあります。
図書カードに名前書くのとか懐かしいですよね。「この人、何年先輩なんやろう…」とかカード見ながら想像して。
適当と見せかけて、信頼の上に成り立っている図書館ですね。いつまでもそのままであってほしいですね♪
返信する
Unknown (noriko)
2014-03-29 18:51:14
アナログ感がいいですね~(*^.^*)
近くなら通ってしまいそう♪
図書館ってのもまたいいです。
近くに素敵な空間が出来ましたね(^_^)
返信する
おそら。さん (michiko)
2014-03-29 23:20:42
ドリカムの歌(眼鏡越しの空)みたいに、
本についてる貸出者カードに
好きな男の子の名前が書いてあったりすると
ドキドキしたり… なんてことも今はないのかな(^^;)

この図書室は、公立図書館のように
返却ポストがないので必ず受付で対面しなくてはならず、
絶対期限を守らなくては…と思います(笑)。
返信する
norikoさん (michiko)
2014-03-29 23:24:44
息子の習い事の場所の近くで見つけたんだよ~(´▽`)
待っている間にそこで過ごすのが至福の時です。
近くに喫茶店とかお店とかがないので、
冬は暖房きいてて助かりました。
たぶん受付をシルバー人材派遣とかにお願いしていて
パソコンとか不慣れだからかなと思うんだけど
なんでも手書きで処理って、逆に新鮮です♪
返信する

コメントを投稿