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平松恵美子監督『あの日のオルガン』

2019-03-06 04:05:00 | ノンジャンル
 神奈川県厚木市にある施設「アミューあつぎ」にある映画館で、平松恵美子監督・脚本の2018年作品『ある日のオルガン』を観ました。パンフレットからあらすじを一部改変して転載させていただくと、

「東京・戸越保育所の主任保母・板倉楓(戸田恵梨香)は怒っていた。太平洋戦争末期、警報が鳴っては防空壕に避難する生活が続く1944年。国民学校生徒は集団疎開、幼稚園は閉鎖、保育所は〈戦時託児所〉に名を変え増加し始めていた。「私たち、ただ子どもたちを預かってるんじゃありません。あの年で芽生えてくる豊かな感性を文化的な環境で育んでいるんです。これじゃ、今まで培ってきたこと、台無しじゃありませんか」と嘆く楓に、「さすが。戸越保育所の怒りの乙女!」と鼓舞するのは、愛育隣保館の主任保母・柳井房代(夏川結衣)だ。楓が模索していた保育所の疎開について賛同した彼女は、自身の保育所とのパイプ役になればと、天真爛漫な保母・野々宮光枝(大原櫻子)を連れ、その意思を伝えるために戸越保育園を訪れる。
 楓と房江は協力し、戸越保育所と愛育隣保館の父母たちを集め、疎開保育所に関する会議を行なった。「こんなちっちゃい子どもらの疎開なんて、本気で言ってんのか」「先生は独り者で子どもを産んだことないからこんなことが言えるのよ」厳しい声がある一方で「俺は疎開させたい、すぐにでも。空襲は人を選ばない」「淋しいだの辛いだの、大人の我が儘よ。遠く離れてたって生きてる方がずっといい」と賛同する父母たちも現れる。そんな父母たちの痛切な想いを聞き、楓は疎開保育所の建設を決意する。
 疎開資金は、恩賜財団大日本母子愛育会が引き受けてくれたものの、どこに疎開するのか? 空襲の怖れがなく、地元のひとが食糧を分けてくれるといった、都合のいい場所はあるのか? 戸越保育所の所長・脇本滋(田中直樹)が、疎開先をようやく決めてきたが、それは妙楽寺という荒れ寺だった。
 1944年11月24日、B29による空襲が東京を襲い、200人もの人々が亡くなったその翌25日に、幼児の集団を引率し、疎開保育園へと出発した保母たち。国鉄高崎線桶川駅から6キロの道のりを歩き、なんとか辿り着いたものの、親から離れた幼い子どもたちとの生活は問題が山積みだった。協力者であるはずの村民の代表者たちからは「消費班」と蔑まれ、ひとつしかない便所は汚くて臭いだけでなく毎朝行列、おねしょも頻発し、お風呂もない。しかし、ぐっすりと寝入っている子どもたちの姿をみて、楓は「この光景、覚えておこう。今日聞いたのは警報じゃなくて、みっちゃん(光枝)の弾くオルガンと子どもたちの歌声だけ。私たちには健康な身体とほどほどの脳みそがある。それを使って一つずつ解決しよう。そして、私たちの文化的生活を作ろう」と保母たちに語りかけるのだった。
 おねしょは保母が児童と添い寝することで解決し、その他にも毎日わき出てくる問題との戦いの日々が続く中、疎開先の世話役・作太郎(橋爪功)らに助けられながら、保母たちは子供たちと向き合い、毎日ひたむきに励ましあいながら奮闘していた。」

そんな中、脇本に赤紙が届けられる。楓は心の支えを失い、仕事を放りだそうとするが、脇本は楓に保母としての責任を果たすように説得し、戦場へと向かう。
そして、1945年3月10日、東京で大きな空襲があったとの知らせが届く。楓はたまたまその日に東京に出る用事があり、大空襲に遭遇し、左手に大やけどを負い、肉親も失う。
彼女は肉親を荼毘にふした後、保育園で預かっている子どもたちの肉親の生死を尋ね歩き、その結果を持ち帰り、子供たちにその結果を知らせるように保母たちに命じる。甘えん坊の男の子に肉親が皆いなくなったことを伝える光代は、石を川に投げ込みながら、男の子と対話するが、男の子の肉親がすべて亡くなったことを話す際、泣き崩れてしまう。それを聞き、石を投げ続ける男の子。
やがて疎開保育園にも空襲の警戒警報が発令されるようになる。毎晩のように発令される警戒警報。ある日、また警戒警報が鳴り、保母たちは子供たちを起こすが、かなたにある前橋市が赤く燃えているのを見た楓は「もういい! もう逃げられない!」と叫ぶ。
そしてその翌日、日本は敗戦する。次々と引き取られていく子供たち。最後の子が復員した父に引き取られると、楓は泣き崩れ、それを見た光枝らは「あの楓先生が泣いてる」と言って、もらい泣きするのだった。そして「53人の子供が疎開保育園で助けられた」という字幕で映画は終わる。

最初は過剰な演技に鼻白むところもありましたが、東京大空襲以降は画面がきりりと引き締まり、何度も涙してしまいました。ただ、ラスト、楓先生や光枝らのその後の略歴が字幕で語られていないのが惜しいと思いました。現在映画館で上映されている映画です。わざわざ足を運んでお金を払って見る価値、あります!!