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フリッツ・ラング監督『激怒』

2019-03-15 06:13:00 | ノンジャンル
 先日渋谷のユーロスペースの「第8回死刑映画週間」で、フリッツ・ラング監督の1936年作品『激怒』を見ました。以下、あらすじを「Movie Walker」のサイトのものを改訂するという形で書きますと、

「ジョー・ウィルスン(スペンサー・トレイシー)は真面目な勤め人で許嫁のキャサリン(シルヴィア・シドニー)を深く愛していましたが、お互いに貧乏なため、未だ結婚できませんでした。ジョーにはチャーリーとトムの二人の職のない弟がいました。キャサリンは西部に良い仕事が見つかったのでそちらへ行くことになり、2人は別々に働いて貯えをした後、結婚するのを楽しみにしていました。その後1年間、二人は働き続け、ついにジョーから彼女の許へ「金が貯まった」という手紙と新車とともに写っているジョーの写真が速達で届けられ、ジョーは彼女の許へ出発することになり、新しい自動車に乗って彼女の住んでいる田舎町へ昼夜乗行で駆け付けます。途中近道をしてセージの町を通る時、彼は誘拐者の一味として捕縛されてしまいます。町の娘を誘拐した中の一人が、ジョーと同じくピーナッツ好きだったこと、誘拐当時のアリバイがなかったことが捕縛された唯一の理由でした。誘拐犯が逮捕されたという一報は次から次へと尾ひれをつけながら、町の人々の間に拡散していき、やがて犯人を匿っている保安官、そしてジョーが捕縛されている警察署そのものを襲おうと町の人々は暴徒化して、警察署に襲いかかります。保安官は直ちに知事に情報を告げ、州兵の派遣を要請しますが、知事は選挙が近いことから、州兵の派兵を中止してしまったので、警察署は保安官とその部下たち(そのうちの一人がジョン・キャラダイン)で守るしかなくなります。保安官たちは暴徒に催涙ガスを浴びせたりして抵抗しますが、弾も切れ、暴徒の数の多さに圧倒された警察署の門がついに突き破られ、なだれこんで来た暴徒に保安官は倒され、部下たちは逃げてしまい、ジョー一人が牢獄の中に閉じ込められます。そして鍵が牢屋の中にあるため、牢獄を開けることができない暴徒たちは、警察署に放火し、ジョーを焼き殺そうとします。そこへキャサリンが噂を聞いて、無実の彼ジョーを救うため町へかけつけますが、牢獄の窓から見えたジョーの姿を垣間見ると、その場で失神してしまいます。一方で、警察署の放火はニュース映画のカメラ班が好奇の目をもって撮影していました。この時になって知事が派遣した州兵がようやく到着し、暴徒たちは散り散りばらばらになって逃げだします。新聞やラジオでは誘拐犯の死が報じられる中、ジョーはいきなり弟のところへ帰って来ます。ひどい火傷を負ったからか、照明を消して、暗くしろと言うジョー。彼はリンチに加わった町の人々に復讐するため、自分は殺されたことにして、町の人々を殺人罪に追い込もうとします。そのうち誘拐の真犯人たちが捕らわれてジョーの無罪が明白になり、暴徒のうちの22名がジョーにリンチを施したとして殺人の罪で起訴されることになります。町の人々は宣誓した後も護身のために嘘をつき続けたため、検察側は裁判で証拠物件としてニュース映画を映写させ、そのために22名の有罪が決定的になります。チャーリーとトムは22人の命を救うため兄に出頭を乞いますが、復讐の念に燃えているジョーは聞き入れず、そのためには弟へも拳銃をつきつけます。そこへ彼の生存を知ってやって来たキャサリンが現われ、彼女も「一緒に結婚するために復讐はあきらめて。22人を殺すのなら、私と弟さんも合わせて25人も殺すことになるわよ」と彼を説得しようとしますが、説得は失敗します。一人で部屋を飛び出すジョー。ジョーは映画の冒頭ででてきた、結婚生活を送るためのベッドなどが飾られたショーウィンドウを見ているうちに、急に自分が間違っていたことに気づき、部屋に急いで戻り、キャサリンを大声で呼び続けます。次の日、裁判所では裁決が行われ、22名のうち、多くの者が有罪とされていきます。そこへジョーが現われ、「自分は許さないが、自分の生を受け入れる」といった趣旨の演説を行います。映画はそんなジョーがキャサリンと抱擁するところで終わります。

文句無しの傑作でした。復讐と暴力、正義と暴力の問題をついた作品でもあったと思います。ちなみにこの作品は、フリッツ・ラングがナチスの風が吹き荒れるヨーロッパからアメリカに移住してきて撮った第一作です。