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中島京子他『放課後。』

2008-11-01 15:29:47 | ノンジャンル
 昨日、父の死去に伴う諸手続のために市役所と法務局と社会保険事務所を回り、しなければいけない手続きの多さに辟易しました。また、回ったところを、不親切で感じの悪い順に並べると、社会保険事務所、法務局、市役所となりました。この順序は、仕事の質の悪さと比例しているようにも思えますが、皆さんはどうお感じになっているでしょうか?

 さて、6人の作家による短編集「放課後。」を読みました。すべて小学生から高校生までを主人公にしたものです。
 草野たき「ランチタイム」は、ヨーロッパの暮らしに憧れて、現在の秋田県での生活に耐える中2の女の子が、母から自分を大切にすることを教えられる話。
 梨屋アリエ「月の望潮」は、登校拒否の妹と、同級生の女子を愛する高1の男子の話。
 深沢美潮「放課後の約束」は、高3の時に、相手が越えられない壁に突き当たったら、越えられるように手助けするという約束を交わした2人の女性が、成長して実際に壁にぶつかり、自分の力でそれを越えていこうとする話。
 川上亮「彼女の不機嫌そうな革靴」は、革靴作りの教室の先生である20代後半の女性と付き合う、高2の男の子の話。
 中島京子「ゴセイト」は、放課後だけ現れる生徒「ゴセイト」と、わたしとの交流の話。
 折原みと「道草少女」は、小学校の下校時に、謎のお姉さんと一緒に遊んだり、交番の警官と仲良くなったり、病弱なおじさんの家に行ったり、スナックのおばさんにイナゴの佃煮を食べさせてもらったり、貧乏なおばあさんから貰った飴を母に捨てられたりした話、です。

 一番面白かったのは、やはり中島京子さんの短編で、ゴセイトがわたしの考えていることを知っていたり、彼が恋している男子のことをなぜか詳しく知っていたり、その男子の服を着て来たりと不思議なことが立続けに起こるのですが、最後にはその男子に恋していたのはゴセイトでなはくわたしで、ゴセイトがいたことも記憶の中で曖昧になっていくという話の展開が見事だと思いました。また、川上亮さんのは、延々と主人公の独白を聞かされ、また紋切り型の心理描写でちょっとうんざりさせられますが、10才ほども年上の女性に高2の主人公の告白が受け入れられるシーンが好きでした。高校生以下を主人公にした小説が好きな方にはオススメです。