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高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

2008-11-17 16:25:39 | ノンジャンル
 高野秀行さんの'89年のデビュー作「幻獣ムベンベを追え」を読みました。コンゴのジャングルの中のテレ湖にいると言われる「ムケーレ・ムベンベ」というネッシー型怪獣を発見するために、高野さん率いる早大探検部の11人が33日間に及んで24時間監視をした記録です。
 出発するまでの日本における準備から、現地を発ってから日本に帰ってくるまでの様子が詳しくかかれ、特に現地に入ってからは毎日の記録が詳細に述べられていて、平均一日につき4ページが費やされています。その中には、60を過ぎていて30キロもの荷物を背負いながら、裸足でジャングルを走りまわる現地人の描写、カヌーに突っ伏したように横たわるゴリラの死体の写真、仰向けになって焼かれ調理されるサルの死体の写真、野性動物の解体やそれを食べることになれていき、最後にはヒトを食べることもできそうになる隊員の様子、日替わりで襲ってくるツェツェバエ、アブ、ミツバチ、アリ、ハエ、チョウの大群の描写、テレ湖が隕石の落下によってできたことを証明してくれそうな石の存在、別れの時の笑顔にはじける村びとたちの写真などがあり、とても楽しませてくれます。
 ただし、現在の高野さんのようにこなれた文体ではなく、いかにも大学生らしい生真面目で青臭い文体が鼻につくのも事実で、その点を除けばエンタメ・ノンフの萌芽とも言える作品だと思います。
 題材、描写ともに文句無しに楽しめるものです。ノンフィクション好きの人にはオススメです。