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溝口健二監督『赤線地帯』

2008-11-22 15:25:55 | ノンジャンル
 今日はaikoさんの33才のバースデーです。ハッピバースデーツーユー♪

 さて、WOWOWで、溝口健二監督の遺作となった'56年作品「赤線地帯」を再見しました。
 売春禁止法の成立が迫り、店を閉めるかもしれないと嘆く吉原の女将(沢村貞子)。主人(進藤英太郎)は議員の集まりに顔を出した後、売春婦たちの本当の味方は自分たちで、売春禁止法が施行されれば困るのはお前たちだと、売春婦たちに語ります。売れっ子のヤスミ(若尾文子)は見受け話を持ち出す客に対し、15万の借金があると言い、男が何とかすると言うと、強引にセックスに誘います。ヤスミはそのようにして客から巻き上げた金を同僚に貸して、利ざやで儲けていました。新顔のハデな関西娘のミッキー(京マチ子)は、ルールを破って同僚の客を奪い、また店から借金をして買い物をしまくります。病弱な夫と赤ん坊を抱えるハナエ(小暮実千代)は、生活苦にあえいでいます。ユメには息子が訪ねてきますが、こんな姿を見せられないと息子を帰してもらいますが、多分こずかいをもらいに来たのだろうと思い、商売に励みます。店を出れば借金が棒引きになる判決が出たことをハナエに教えてもらったユメは、息子と一緒に住むために、仲間たちから祝福されて店を抜け出します。ハナエの夫は妻に体を売らせていることを苦に、首を吊ろうとしますが、発見したハナエはそんな夫を泣きながらしかります。ヤスミは父が疑獄事件を起こして20万の金を返さなければならなくなったため、この商売に身を落としたことを語り、世の中金だと吐き捨てるように言います。そこへミッキーの父が訪ねて来て、ミッキーのことを心配しながら母が死んだと言って彼女を連れて帰ろうとしますが、それが家の名誉を守るためであり、また父がもう再婚したと聞いて、父の今までの女遊びをなじり、ママが死んだのはお前のせいだと責め立て、追い返します。ユメが息子に会いに行くと、息子はユメをお前呼ばわりし、汚いと叫び、絶交を言い渡して去っていってしまったので、ユメは発狂し、精神病院に連れていかれてしまいます。ヤスミは嘘をついて客にまた10万を出させ、それを受け取ると一緒になる気などないと言い放ち、客はだったら会社から横領した金だったので返してくれと頼みますが、ヤスミは拒否し、客と揉み合ううちに、殺されかけます。その夜、売春禁止法が国会で否決され、上機嫌の主人はまた売春婦たちに、自分たちがお前らの味方なのだと説教します。そこへ家主から家を追い出されたハナエの夫がやってきます。数日後、回復したヤスミは寝具店を開店します。大ケガをした父のためにやってきた処女の田舎娘が、新たな売春婦としてデビューし、ミッキーはおびえるその子に見本を見せてやると、その娘がおずおずと男を誘い始めるところで、映画は終わります。
 悲惨な内容ですが、淡々とリアルに描かれていました。仕草から声までとても色っぽい若尾文子、貧しさに負けず強く生きる小暮実千代、人生を達観しているようで、実は母思いだった京マチ子、それぞれに見事に演じ、素晴らしいキャスティングだと思いました。店の手伝いをするおばあさん役の浦辺粂子の演技も堂に入ったもので、なつかしいとともに偉大な役者さんだったなあと改めて思いました。惜しむらくは黛敏郎の音楽で、厳しい内容の映画を現代音楽で異化させようとの意図だったのだとは思いますが、画面自体が素晴らしいものだっただけに、その内容に沿った目立たない音楽を使った方が良かったのではと感じました。いずれにしろ、傑作であることは疑いようがありません。文句なしにオススメです。