自転車にまつわる四方山話(よもやまばなし)

自転車に関する気ままなブログです。

廣崎製作所 クレセント ロードレーサー その7

2011年01月21日 21時29分38秒 | 完成車
クレセントで実現したかったのが、ワイヤーケーブルの内蔵です。
「ロードレーサー」の名の下でワイヤーケーブルの内蔵は、邪道と言われるかも
しれません。
ブレーキケーブルだけではなく、ディレーラーケーブルも内蔵することです。
それは、随分以前に見た東叡社で製作されたロードレーサーの印象が強く残って
いたからです。
競技用ではなく、楽しく乗る、所有する喜びがあるロードレーサーだから重量など
それほど気にすることなくお願いできる工作です。
私は、簡単にできると思っていました。
ところが大きな問題が・・・


カンパニョーロのカートリッジBBです。
(この写真は1995年モデルでBB右ワンにツバが付いています
クレセントの1992年モデルは、右ワンにツバがないタイプです。)

廣崎氏は、「このBBセットでは内蔵できない」と言うのです。
なぜでしょう?

それは、カートリッジBBだからなのです。
カンパは、このモデルからカートリッジタイプになりました。それ以前は、カップ&
コーンタイプでシャフトも独立しています。
右ワン・左ワンの間にはウォーターシーフをはさんで水の進入を防いだりします。
ウォーターシーフを取り付けなければ、BBの中心はシャフトだけなのでワイヤーを
逃がす隙間が取れたのです。
ところが、カートリッジタイプタイプでは、BBの中に隙間がなく、ディレーラー
ワイヤーを通すことができないのです。
残念ながらカートリッジBBをあきらめ旧タイプのカップ&コーンタイプに代えるか
内蔵をあきらめるしかないのでしょうか。

廣崎氏の答えは、「BBを作りましょう」でした。
依頼者の願いをかなえるのがオーダーの醍醐味。それが、廣崎氏のポリシーなのです。

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廣崎製作所 クレセント ロードレーサー その6

2011年01月20日 23時47分23秒 | 完成車


採寸を終えるとパイプの選択です。
当時、コロンバス(COLUMBUS)では真円チューブから楕円チューブへのラインナップの広がりと
クロモリ、ニヴァクロームの選択肢の広がりとパイプの種類が増えた時期でした。
楕円パイプでは、MAXやMINI MAXといったものがありました。

ミヤタが販売した「コガミヤタ フルプロリミテッド」はMAXの楕円パイプを採用した上で
ラグ仕様でした。変形パイプをラグで接続するという凝ったフレームをマスプロメーカーが
製作したことに驚きました。

私が選んだのは、結局、TSXというSL、SLXの流れを汲む真円のパイプです。
トップチューブとダウンチューブにらせん状のリブを施し、ねじれに対する強靱さをアップ
しているとのことです。



ラグは、イタリアンカットでお願いしました。細かくラグの種類まで指定はせず、「格好良
く仕上げて下さい」とだけ告げました。

フォーククラウンは、なで肩のチネリを選びこの仕上げもお任せです。



廣崎氏は、フォークラウンの形状、種類によってもフレーム全体の硬さや乗り心地は変わる、
と説明してくれました。
ステムによってもその硬さが異なりステアリングに影響するそうです。そういったパーツ
特性の集合体が自転車であり、乗り心地を決める要素になるようです。
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廣崎製作所 クレセント ロードレーサー その5

2011年01月19日 23時15分43秒 | 完成車
廣崎氏がパーツを揃えてから製作を開始するもう一つの理由は、採寸精度向上です。
フレームをオーダーする場合、シートチューブ550mm、トップチューブ540mmなどと
指定しますが、その時使うサドルの厚みは?ステムの長さは何ミリでハンドルの形
状は?更にブレーキレバーは何を使ってどの位置で取り付ける?etc.etc.
パーツによって微妙に異なる形状が、ポジションにも微妙な影響を与え、せっかく
格好いいセッティングを目指して組み上げたパーツの取り付け位置を崩さなければ
ならなくなることを避けたい、からなのです。





廣崎氏との採寸は、日頃乗っているロード(当時は、キヨ・ミヤザワ)を基本に
揃えたパーツと使っているパーツとの寸法比較を行い、取り付け位置の確認と
そこからフレーム寸法を逆算するというものでした。

ハンドルで言えば、それまで使っていたチネリのジロ・デ・イタリアと3Tの
ツール・ド・フランスでは、ドロップのカーブや突き出しも異なります。
特にこれに取り付けるブレーキレバーは、エルゴパワーを選んだことからブラ
ケットは太く大きくなりました。
ステムも然りでした。
ノギスとメジャーであっちこっちを測りました。

結果、トップチューブは542mmという競輪選手並みの細かい寸法指定となりました。
余談ですが、シートチューブ長さは、どこからどこまでだかご存じですか?
実は、色々な測り方があるようです。
BB中心からシートチューブの上端
BB中心からトップチューブとシートチューブが交差する中心
BB上端から・・・
寸法が同じだから同じとは、言えないかもしれません。
既製のフレーム等を購入の際は、よく確認をした方が良いと思います。

スケルトンは、「楽しく乗れる」ようにオーソドックスなものとし、フロント
フォークのオフセットは50mmと多めにとり直進安定性を重視しています。



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LEZYNE レザイン インフレーター (携帯ポンプ)

2011年01月18日 23時19分27秒 | 工具
デザインが気に入っているLEZYNE レザインのインフレーター(携帯ポンプ)です。



このポンプは、バルブ接続部がホース形状になっているため空気を入れる際に力を込めても、
バルブ部分を傷めにくいことから気に入って使っています。
デザインもシンプルで仕上げも美しく、作りの精度も非常に良くできています。





ホースは、こんな形でセットされています。
ノブの先端、内側部分にネジが切ってありホースを差し込んでネジでとめます。
ゴムキャップのカバーも付いています。





ホースの両側にバルブ挿入金具が付いていて、フレンチとウッズ両方が使えます。


こちらは、フレンチ用です。



こちらが、ウッズ用。




バルブに差し込む金具の反対側をポンプ先端にねじ込みます。



作りの良さがお分かり頂けますか?
インフレーター(携帯ポンプ)によっては、チューブラータイヤの空気圧を十分上げられないものも
あります。このレザインのポンプは、ホースタイプのため力を込める時に安心感があります。
ただ、気になるところがひとつだけ。
ポンプの本体にホースが収納されるので、自転車に装着し乗車していると中のホースの金具がポンプ
本体に当たるようでカチカチと音を立てることです。
非常に些細な音ですが、最初はどこから発しているのか分からず気になって仕方がありませんでした。
今は、金具のローレット部分にビニールテープを巻いて音鳴りを押さえています。

このポンプにはカーボン仕様もあります。価格は、ほぼ倍!
さすがにちょっと手が出ませんでした。


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廣崎製作所 クレセント ロードレーサー その4 (ERGOPOWER エルゴパワー)

2011年01月17日 23時00分00秒 | 完成車


ロードレーサーをオーダーするのですが、この自転車で競技に出ることを目的にしないので「楽しく乗ることができる」こと、廣崎氏に腕をふるって頂くので「所有する喜びが持てる」こと、せっかく時間を掛けて作るのですから「飽きがこない」ことを目標におきました。
先進的な奇抜さを求めるのではなく、オーソドックスな中にも「オッ!」と思わせるような自転車にしたかったのです。

揃えたパーツは、カンパニョーロのレコード(92年モデル)。「エルゴパワー」と名付けられたカンパ初のインデックス機構を持った手元シフトのできるパーツセットです。







シマノSTIが先行し、カンパが大きく遅れをとったと言われ、ようやくリリースしたのがこの「エルゴパワー」でした。
シマノと異なるのは、ブレーキワイヤーだけではなくシフトワイヤーもハンドルの沿わすことができ、ハンドル周りをすっきりさせることができることです。(シマノは、シフトワイヤーを外出ししていましたが、後にこの方法に変わりました。)

チェンホイルとフロントディレーラーは前モデルと同じで、ブレーキ本体はデルタの後期モデルがセットでした。
デルタブレーキは、前期モデルと後期モデルの両方を「キヨ ミヤザワ」で使用していたので、このフレームでは使わずにこのセットの直後にリリースされたデュアルピボットのサイドプルを選びました。
このサイドプルは、その後も随分長くカンパの看板ブレーキとして販売されました。



廣崎氏がパーツを揃えることを望まれるのは、パーツとパーツの取り付け位置にこだわるからです。
リムも種類が違えば高さも微妙に異なり、ブレーキ本体との兼ね合いによりシューの位置が変わります。ブレーキであれば、ブロックが取り付け部分の中央にくるようにしたいというのが主張です。そしてそれがオーダーの醍醐味だとのことでした。

余談ですが、メーターも用意していました。
「VETTA C-500」というワイヤレスのものだったのですが、この発信器を「直付けしたい」と廣崎氏に言われました。「内蔵はどうかな?」とも。さすがにそれは「止めて!」とこちらからお願いしました。
メーターは他のパーツに比べると耐久性やモデルの変更が短く、すぐに使えなくなるかもしれません。そのための直付けは、勘弁してもらいました。


役割を終えた VETTA C-500
コードレスのサイクルコンピューターとして、かなり早い時期に販売されました。
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